Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye


      
                            
即事次岡部譯官韻
 

森鷗外
從軍萬里去家鄕,
休道詩人腸不剛。
太子河邊霜滿地,
秋風策馬出遼陽。




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即事(そく じ ) 岡部譯官(やくくゎん)(いん)() 
從軍(じゅうぐん) 萬里(ばん り )  家鄕(かきゃう)()れば,
()ふを()めよ: 「詩人 (はらわた) (つよ)からず」と。
太子河(たいし  が )邊  (しも) 地に滿つるも,
秋風 馬に(むちう)ちて  遼陽(れうやう)()でん。

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◎ 私感註釈

※森鴎外:小説家、戯曲家、評論家、翻訳家。軍医。文久二年(1862年)~大正十一年(1922年)。本名は林太郎。石見国(現・島根県)の生まれ。現・東大医学部卒業。軍医としてドイツ留学後、軍医総監、陸軍医務局長に進む。他方、文学に励み、訳詩集『於母影』…を発表し、『舞姫』『うたかたの記』『青年』『「ヰタ・セクスアリス』『雁』などを発表した。大正時代に入って、『高瀬舟』『阿部一族』『山椒大夫』などの歴史小説を発表し、更に『伊澤蘭軒』などの史伝体小説を書き、実証性と冴えた心理描写において、徹底した境地を示した。

※即事次岡部訳官韻:目の前の事柄(=沙河会戦での出撃前の状況)を詠んだ詩。 ・即事:目の前の事柄や風景をよんだ詩。ここでは、遼陽会戦の後、退却したロシア軍を追撃し、両軍は沙河で対陣した。その際の出撃前の詩。 ・次:詩の応酬や共感のため、作詩の際、全く同一の韻字を同一配列で使う。…の詩に次韻する。「次……韻」((…の詩の)韻に次す)。 ・岡部:岡部次郎のこと。日露戦争に通訳の官として従軍する。元治元年(1864年)~大正十四年(1925年)。長野県出身。同人社に学び、英・米・仏・独に留学し、シカゴ大学で学位取得。ハワイ革命に義勇軍として活躍。帰国後、外務省翻訳局を経て、北海タイムス主筆。日露戦争に従軍。戦後、営口に住み、居留民団長となる。後、衆議院議員。 ・訳官:通訳。

※従軍万里去家郷:軍隊に付き従って、遥々(はるばる)と故郷(ふるさと)を去って(きたので)。 ・家郷:故郷。 *詩中、「家郷」と表現するか、「故郷」と表現するかは、平仄との関係で決まる。
○○とすべきところで用いるとすれば「家郷」で、●○とすべきところで用いるとすれば「故郷」を用いる。ここでは、「家郷」(○○)が適切。

※休道詩人腸不剛:詩人(=ここでは岡部訳官や軍医である森鴎外といった、非軍人的な軍の一員)は、はらわたが強くはない、と言いなさるな。 ・休道-:(…と)言いなさるな。言うをやめよ。 ・休:やめよ。やめる。婉曲的な禁止。 ・道:言う。 ・詩人:ここでは、岡部訳官や作者・森鴎外を指す。当時、作者は軍医監(少将相当)で、第二軍軍医部長。 ・腸:はらわた。 ・剛:強い。剛(こわ)い。堅い(意志が強固である)。気性が激しい。

※太子河辺霜満地:太子河(たいしが)の辺りは、霜が地に満ちて。 ・太子河:〔たいしが;Tai4zi3he2●●○〕遼寧省を流れる川。遼寧省の東部に発し、渾河の南を東から西へ流れ、遼陽市の北を通る。燕の太子・丹が投身自殺した川と云う。 ・霜満地:霜が辺り一面に降りる、の意。十月の沙河会戦の時の気候。戦場を詠った詞に北宋・范仲淹の『漁家傲』「塞下
秋來風景衡陽雁去無留意。四面邊聲連角起。千嶂裡,長煙落日孤城閉。   濁酒一杯萬里,燕然未勒歸無計。羌管悠悠霜滿地。人不寐,將軍白髮征夫涙。」がある。

※秋風策馬出遼陽:秋の風の中、(雄々しくも)馬をむちで責めてせきたてて、遼陽を出発して(沙河(さか)へ向かうのだ)。 ・秋風:秋の風。沙河会戦は、明治三十七年(1904年)十月九日から十月二十日まで。 ・策馬:馬をむちで責めてせきたてる。 ・策:むちうつ。馬を責めてせきたてる。明末清初・呉偉業の『遇南廂園叟感賦八十韻』に「薄暮難再留,暝色猶靑蒼。
策馬自此去,悽惻摧中腸。顧羨此老翁,負耒歌滄浪。牢落悲風塵,天地徒茫茫。」とある。 ・出:出立する。出撃する。ここでは、遼陽会戦の後、遼陽を占領した日本軍は、退却したロシア軍を追撃。沙河の線でロシア軍の反撃を受け、日ロ両軍は沙河で対陣した。その際の日本軍側の出撃を謂う。 ・遼陽:〔れうやう(りょうよう);Liao2yang2○○〕旅順と奉天(現・瀋陽)の間、遼東半島の付け根にある都市。(旅順→遼陽→沙河→奉天)。当時、清の満洲地域(現・中華人民共和国の東北部、遼寧省にある)都市名。明治三十七年(1904年)、日露戦争での両軍会戦地。ロシア軍は十五万八千の兵をもって防御網を展開し、日本軍は十二万五千の兵で攻撃した。結果、日本軍は首山堡を確保して、遼陽を占領。ロシア軍は奉天へ退却した。

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◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「郷剛陽」で、平水韻下平七陽。この作品の平仄は、次の通り。

○○●●●○○,(韻)
○●○○○●○。(韻)
●●○○○●●,
○○●●●○○。(韻)
平成30.1.22
      1.23
      1.24



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