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 これは井古綆先生の詩で、読みも井古綆先生のものです。
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看坂上之雲劇第一部其二


幼時庭訓啓蒙昧、
嚴父薫陶慈母愛。
颯爽青年共上京、
秋山兄弟入軍隊。
貧家孝子正當然、
郷信無端父永眠、
虗實攻防滿黄海、
參謀大任忽乗船。
俄国儲君邏卒襲、
湖南事件風雲急。
假遭恫喝底阿諛、
日本三權此分立。
風雲告急望黄海、
満載兵員行動怪。
酷似商船察雇傭、
撃沈嚴命擧初功。
東郷令聞從今響、
砲火無邊入戰中。
三國霸權稱正義、
他郷只闘漁夫利。
交戈連累總無辜、
鰈域人民奈流涙。





幼時の庭訓 蒙昧を啓き、  
厳父の薫陶 慈母の愛。  
颯爽たる青年 共に上京し、  
秋山兄弟 軍隊に入る。  
貧家の孝子は 正に当然、  
郷信端なくも 父の永眠。  
虚実の攻防 黄海に満ち、  
参謀の大任 忽として乗船。  
俄国の儲君 邏卒が襲ひ、  
湖南の事件は 風雲急なり。  
し恫喝に遭ふとも 底んぞ阿諛せん、
日本の三権 此に分立。  
風雲急を告ぐる 黄海を望めば、  
満載の兵員 行動怪し。  
商船に酷似するを 雇傭と察し、  
撃沈の厳命は 初功を挙ぐ。  
東郷の令聞は 今従りとどろき、
砲火は無辺 戦中に入る。  
三国の覇権は 正義と称し、  
他郷 只闘ふは漁夫の利のみ。  
交戈の連累は 総て無辜、  
鰈域の人民 流涙を奈んせん。  

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※「幼時庭訓啓蒙昧…」:秋山兄弟の尊父秋山久敬の永眠に感ず。
※「日本三權此分立…」:時の大審院長『児島惟謙・こじまいけん』は大津事件に際し、ロシアの報復を恐れて犯人を極刑にしようとした政府の圧力に抵抗、罪刑法定主義と司法権の独立を守った。
※「風雲告急望黄海…」:『高陞号事件・こうしょうごう じけん』日清戦争の豊島(ほうとう)沖の海戦の際、清国軍隊をのせてイギリス国旗を掲揚した輸送船高陞号を日本の軍艦が撃沈した事件。イギリスの世論が一時激昂したが、適法とされて鎮静。(広辞苑より)日本の巡洋艦「浪速」の東郷平八郎艦長当時の階級は大佐。
※「三國霸權稱正義…」:当時の朝鮮半島の庶民に想いを馳せた。日清戦争の発端は『東学党』の乱のもとといわれる

・忽: たちまち。
・俄国: ロシア。
・儲君: (ニコライ)皇太子。
・邏卒: 巡査の古称。
・湖南事件: 大津事件。参照
・阿諛: (ロシアに)おもねる。
・雇傭: 傭船高陞号をさす。
・令聞: 名声。
・無辺: 限りなく。
・三国: 日本、清国、ロシアをさす。三国それぞれの思惑(漁夫の利)があって、東学党の乱で国内が乱れたことにスキがあり、ここ鰈域が戦場となった。
・連累: まきぞえ。
・無辜: 罪の無い人。
・鰈域: 朝鮮の別名。古来近海でカレイがよく獲れるので言われた。


2009.12.19




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