探春 | ||
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盡日尋春不見春,
杖藜踏破幾重雲。
歸來試把梅梢看,
春在枝頭已十分。
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春を探 る
盡日 春を尋 ねて 春を見ず,
杖藜 踏破 す幾 重 の雲。
歸來 試みに梅梢 を把 って看れば,
春は枝頭 に在りて已 に十分。
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◎ 私感註釈
※載益:北宋の人か。この詩の作者か。 *この詩、唐詩か、宋詩か…不詳。
※探春:春をさがす。春(=すばらしいもの)を方々に捜すが、見つからない。しかし、春(=すばらしいもの)は、身近にあったのだ、という訓(おし)え。 ・春:理想、すばらしいもの、悟り等を寓している。「終日尋春不見春,芒鞋踏破嶺頭雲。歸來偶把梅花嗅,春在枝頭已十分。」「盡日尋春不見春,芒鞋踏遍隴頭雲。歸來笑拈梅花嗅,春在枝頭已十分。」「終日尋春不見春,杖藜踏破幾重雲。歸來試把梅梢看,春在枝頭已十分。」と、似たものがあり、どれが元なのか分からない。
※盡日尋春不見春:一日中、春を探したが、春は見あたらなかった。 ・盡日:一日中。終日。 ・尋春:春を探す。春をたずねる。 ・不見:見あたらない。会わない。また、顔を見ない。 ・見:まみえる。おめにかかる。会う。
※杖藜踏破幾重雲:杖をついて、いくつもの雲の重なりを踏み歩いた。 ・杖藜:〔ぢゃうれい;zhang4li2●○〕杖をつく。(アカザの茎で作った)杖をつく。アカザをつえつく。「杖藜」で一語として使う。「杖」:つえつく(動詞)。「藜」:アカザ。茎はつえとなり、若葉は食用となる。なお、「藜杖」はアカザ(の茎で作った老人用)のつえ。 ・踏破:ふみ歩く。歩きまわる。「-破」は意味を強める助字。=蹈破〔dao3po4〕(蛇足になるが、「踏」は〔たふ;ta4〕で、「蹈」は〔たう;dao3〕で、別字)。跋渉。 ・幾重:いくつかの/いくつもの重なり。いくえ。
※歸來試把梅梢看:(出かけていた土地から)帰ってきて、(自宅の庭先の)梅のこずえをこころみに手に執って見れば。 ・歸來:(よその土地から)帰ってくる。「歸」には、本来あるべきところ(自宅・故郷・祖国・墓所)にかえる意がある。 ・試:こころみ(に)。ためし(に)。 ・把:〔は;ba3●〕持つ。執(と)る。つかむ。握る。 ・梅梢:梅のこずえ。梅の枝の先端。 ・看:手をかざして見る。(物を)臨み見る。見守る。(主体的・積極的・意識的に眺め、見つめること)。蛇足になるが、「見」は、見える。認める(受動的に見えてくる)。また、前出・「見」同様、まみえる。おめにかかる。あう。
※春在枝頭已十分:春は枝の先に、とっくに完全に、あった。 ・枝頭:〔しとう;zhi1tou2○○〕枝の先。こずえ。 ・已:とっくに。すでに。 ・十分:満ち足りること。じゅうぶんに。完全に。李建の『惜花』に「白髮今如此,紅芳莫更催。預愁多日謝,翻怕十分開。」とある。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「春雲分」で、平水韻上平十一真(春)、十二文(雲分)。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
●○●●○○○。(韻)
○○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)
2013.1.28 1.29 |
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