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彦通叔祖約游雲水寺 | |
南宋・楊萬里 |
竹深草長綠冥冥,
有路如無又斷行。
風亦恐吾愁寺遠,
殷勤隔雨送鐘聲。
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彦通 叔祖 約して雲水 寺に游ぶ
竹 深く 草長 じて 綠冥冥 として,
路 有れども 無きが如く 又た行 を斷つ。
風も亦 た 吾の 寺の遠きを愁ふるを 恐れて,
殷勤 に 雨を隔てて 鐘聲を送る。
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◎ 私感註釈
※楊万里:南宋の学者、詩人。字は廷秀。号して誠齋。吉水(現・江西省吉水県)の人。靖康二年/建炎元年(1127年)~開禧二年(1206年)。生涯、抗金に勤めた。南宋の「中興四大詩人」の一。
※彦通叔祖約游雲水寺:彦通大おじと約束して、雲水寺に遊んだ。二首のうち、これは其二。 ・彦通:作者・楊万里の大おじの字。 ・叔祖:大おじ。父のおじ。祖父の弟。 ・約:約束する。誘う。招く。案内する。 ・游:遊ぶ。ぶらぶら歩く。 ・雲水寺:不詳。雲山寺?
※竹深草長緑冥冥:竹藪は深く、草は伸びて、緑は奥深く。 ・草長:草が成長して伸びる意。「長」は仄は:〔ちゃう;zhang3●〕で「のびる、成長する」意で、 平は:〔ちゃう;chang2○〕で「ながい」意。ここは、前者の意。この詩の平仄上も、この句の第四字目は●(仄)とすべきところ。 ・冥冥:〔めいめい;ming2ming2○○〕奥深いさま。暗いさま。暗く、ぼんやりしているさま。高く遠いさま。遠く微かなさま。無知なさま。 ・緑冥冥:緑色が奥深い。なお、中国語では、この形式の表現が多い。「紅乎乎」「紅嘟嘟」「紅光光」「黑乎乎(黒忽忽/黒糊糊)」「黒圧圧/黒鴉鴉」「綠森森」「緑油油」「紅噴噴」「紅通通」「白皚皚」「黄塊塊(=黄块块)」…。
※有路如無又斷行:路はあっても無いかのようであって、またしても行く手を遮る。 ・如無:無いかのようである、の意。 ・又:またしても。また。 ・斷行:列をばらばらにする。また、思い切って行う。ここは、前者の意で、作者たちの列の行く手を遮ること。
※風亦恐吾愁寺遠:風も亦、わたしが寺院の遠いことを愁えるのを心配して。 ・亦:…もまた。…も。 ・吾:わたし。作者を指す。兼語文で、聯の前半の部分の目的語であり、後半の主語ともなる。「〔風亦恐吾(=目的語)〕愁寺遠」であり、「風亦恐〔吾(=主語)愁寺遠〕」でもある。「吾」は目的語でもあり主語でもあって、両者を兼ねている。即ち、兼語文。 ・愁寺遠:寺院が遠いことを愁える、意。
※殷勤隔雨送鐘声:懇ろに、雨の向こうから(目的地の寺の)鐘の音を送り届けてくれる。 ・殷勤:〔いんぎん;yin1qin2○○〕懇ろである。手厚い。 ・送:送り届ける。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「冥行声」で、平水韻下平八庚(行声)、下平九青(冥)。この作品の平仄は、次の通り。
●○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
○●●○○●●,
○○●●●○○。(韻)
2018.9.7 9.8 9.9 |
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