禾熟 | |
北宋・孔平仲> |
百里西風禾黍香,
鳴泉落竇穀登場。
老牛粗了耕耘債,
齧草坡頭臥夕陽。
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禾 熟 す
百里西風 禾黍 香 しく,
鳴泉 竇 に落ちて穀 場 に登る。
老牛 粗 ぼ了 へたり耕耘 の債 ,
草を坡頭 に齧 りて夕陽 に臥 す。
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◎ 私感註釈
※孔平仲:北宋の人。字は義父。毅甫ともする。臨江新喩(現・江西省新余)の人。兄に孔文仲・孔武仲がいる。宋の英宗の治平二年(1065年)の進士。旧法党の呂公著に推薦されて秘書丞、集賢校理…となる。後、党争にまきこまれ、衡、韶、英州(現・広東省英徳県)に流された。文名は兄の孔文仲、孔武仲とともに高く、三孔と称された。
※禾熟:イネが熟(じゅく)す。 ・禾:〔くゎ;he2○〕イネ。 ・熟:熟(じゅく)す。
※百里西風禾黍香:見わたす限りの秋風で、イネとキビが香っており。 ・百里:約40キロメートル余。宋代では、1里は400メートル強。「百里」は一邑(村、一地方)で人が一日程度で移動できるできる距離。 ・西風:秋風。 ・禾黍:〔くゎしょ;he2shu3○●〕イネとキビ。
※鳴泉落竇穀登場:音を立てて湧き出す泉は、排水溝の孔(あな)に流れ落ちて、穀物が脱穀場に出て来た。 ・鳴泉:音を立てて湧き出す泉。 ・竇:〔とう;dou4●〕孔(あな)。まるいあな。あなぐら。また、くぐりど。ここは、前者の意。 ・穀:たなつもの。穀物。
※老牛粗了耕耘債:老牛は、耕耘の作業の果たすべき責任をほぼ了(お)えて。 ・粗:〔そ;cu1○〕ほぼ。あらまし。ざっと。 ・了:おわる。まとめる。 ・耕耘:田畑を耕し、雑草を取り去ること。耕して作物を作ること。 ・債:〔さい;zhai4●〕果たすべき責任。
※齧草坡頭臥夕陽: 丘の上で夕日に寝転んで、草を囓(かじ)っている。 ・齧:〔げつ;nie4●〕かじる。かむ。 ・坡頭:〔はとう;po1tou2○○〕つつみのほとり。山の坂。丘。 ・臥:ふす。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「香場陽」で、平水韻下平七陽。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○○●○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
●○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2020.7.23 7.24 7.25完 9.27補 |
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