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再病中書懷呈仲良 | |
南宋・楊萬里 |
病中嫌雨又嫌晴,
自是情懷未若平。
兩日雨多端不惡,
市聲洗盡只簷聲。
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再び病中に懷 ひを書して仲良 に呈 す
病中 雨を嫌 ひ 又た晴を嫌 ふ,
自 ら是 れ情懷 未 だ平かならざるが若 し。
兩日 雨 多きも端 に惡 しからず,
市聲 洗ひ盡 されて只 だ簷聲 のみあり。
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◎ 私感註釈
※楊万里:南宋の学者、詩人。字は廷秀。号して誠齋。吉水(現・江西省吉水県)の人。靖康二年/建炎元年(1127年)~開禧二年(1206年)。生涯、抗金に勤めた。南宋の「中興四大詩人」の一。
※再病中書懐呈仲良:再び病中に思いを表して仲良に示す。これは其の二。全詩はWikisourceにある。 ・懐:心にこめておもう。 ・呈:示す。さしだす。 ・仲良:作者の友人、張材の名と云う。
※病中嫌雨又嫌晴:病中は雨を厭(いと)い、また、晴をも厭(いと)う(もので)。 ・又:また(しても)。
※自是情懐未若平:自然と、思いは、平らかにはなっていない。 ・自是:おのずから これ。自然と、昔から。「是」は、指示詞ではない。南唐後主・李煜の『相見歡』に「林花謝了春紅,太匆匆。無奈朝來寒雨晩來風。 臙脂涙,留人醉,幾時重。自是人生長恨 水長東。」とある。 ・情懐:心中の思い。 ・若-:…のようだ。ごとし。=如。「若」は●(仄)とすべきところで使い、「如」は○(平)とすべきところで使う。ここ(この詩の承句第六字め)は●(仄)とすべきところ。この字、「苦」ともする。その場合、「はなはだ、ひどく、度が過ぎて」の意で、「おのづか)ら是(こ)れ 情懷(じゃうくゎい) 未(いま)だ苦(はなは)だ平かならず。」の意となる。
※両日雨多端不悪:(しかしながら、この)二日間は、雨が多くて、まことに良い。 ・端:まことに。はたして。いったい。ほんとうに。 ・端不悪:まことに佳い。「端・不悪」(ほんとうに・よい)。
※市声洗尽只簷声:(というのは、)市(いち)の賑(にぎ)わいが洗い流されて(静かになって)、軒端(のきば)の雨だれの音がするだけだ(からだ)。 ・市声:市(いち)の賑(にぎ)わい。南宋・陳起の『買花』に「今早神淸覺歩輕,杖藜聊復到前庭。市聲亦有關情處,買得秋花插小瓶。」とある。 ・只:ただ…だけ…。 ・簷声:軒端(のきば)の(雨)音。軒(のき)の雨だれ。≒檐滴。檐溜。 ・簷:〔えん;yan2○〕のき。ひさし。=檐。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「晴平声」で、平水韻下平八庚。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○●●●○○。(韻)
2020.10.17 10.19 10.20 |
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