Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


登柳州城樓寄漳汀封連四州

柳宗元

城上高樓接大荒,
海天愁思正茫茫。
驚風亂颭芙蓉水,
密雨邪侵薛茘牆。
嶺樹重遮千里目,
江流曲似九迴腸。
共來百越文身地,
猶是音書滯一鄕。



高田風光    桂林 仇均世氏 撮影・提供


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柳州りうしうの城樓に登りて しゃうていほうれんの四州に寄す       

城上じゃうじゃうの高楼  大荒たいくゎうに接し,
海天かいてん愁思しう し   正に茫茫ばうばう
驚風きゃうふう 乱れうごかす  芙蓉 ふ ようの水,
密雨みつ う  斜めに侵す  薜茘へいれいかべ
嶺樹れいじゅ かさなりて  千里の目をさへぎり,
江流 曲がりて 九廻きうくゎいの腸に 似たり。
共に来たる  百粤ひゃくゑつ 文身ぶんしんの地,
音書いんしょ  一郷いちがうとどこほる。



                      ****************


◎ 私感註釈

※柳宗元:中唐の詩人。773年(大暦八年)~819年(元和十四年)。字は子厚。任地に因んで、柳河東、柳柳州とも呼ばれる。河東(現・山西省)の人。韓愈と並んで古文運動を提倡、その勃興に寄与した。政争に巻き込まれ、永州司馬、更に柳州刺史に左遷された。『江雪』「千山鳥飛絶,萬徑人蹤滅。孤舟簑笠翁,獨釣寒江雪。」は、特に有名。

※登柳州城樓寄漳汀封連四州:柳州城の城郭の高殿に登って、漳州(漳浦)・汀州(長汀)・封州(封川)・連州(連県)の四つの地方(に左遷された仲間の許に、手紙で)この詩を送る。 *異域・柳州での鬱屈した生活を詠う。 ・柳州城樓:作者が柳州刺史として滞在していた柳州の城郭の高殿。 ・寄:手紙で詩歌を送る。第八句で「猶自音書滯一鄕」と詠われている通り、実際上の文通は不可能だったに違いない。ただ、作者としては、この詩を「寄」(送り届け)たかった。その思いが込められた一語。 ・漳汀封連四州:漳州(現・漳浦)・汀州(現・長汀)・封州(現・封川)・連州(現・連県)の四つの地方。「順宗(永貞)の革新」に柳宗元とともに参加し、「永貞の内禅」の後、ともに失脚した同志の韓秦、韓曄、陳謙、劉禹錫らが左遷された地方名。「漳」は「漳州(現・福建省南端の漳浦)」、「汀」は「汀州(現・福建省西部の長汀。山を夾んで瑞金と隣りあっている。)」、「封」は「封州(現・広東省西端の封川)」、「連」は「連州(現・広東省西北の連県)」。全て、南部の南嶺のまた南の異民族の地の名。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)69-70ページ「唐 嶺南道東部」及び57-58ページ「唐 江南西道」にある。

※城上高樓接大荒:城郭の上の高楼は、(中原を離れた)遠隔地に接近しており。 *高殿(たかどの)に登ってみれば、すぐ目に入るのは ・城上:城郭の上。 ・高樓:たかどの。 ・接:近づける。まじわる。合う。つながる。 ・大荒:〔たいくゎう;da4huang1●○〕中原から遠く離れた所。日月の没する所。遠地。

※海天愁思正茫茫:広く大きい空の物悲しげなさまは、茫茫として果てしがない。 ・海天:ここでは、広く大きい空の意。 ・愁思:うれえ思うこと。うれえ。うれいの心。名詞。ここでの「思」は
詩中の(去声)となるところでの使用で、「思」の(去声)での意は、名詞:「こころ」。 ・正:ちょうど。まさしく。まさに。あたかも。常に。 ・茫茫: 〔ばうばう;mang2mang2○○〕広々として果てしないさま。ぼうっとしてはっきりしないさま。唐・韋應物に『寄李儋元錫』「去年花裏逢君別,今日花開又一年。世事茫茫難自料,春愁黯黯獨成眠。身多疾病思田里,邑有流亡愧俸錢。聞道欲來相問訊,西樓望月幾迴圓。」とあり、明末清初・呉偉業は『遇南廂園叟感賦八十韻』で「薄暮難再留,暝色猶靑蒼。策馬自此去,悽惻摧中腸。顧羨此老翁,負耒歌滄浪。牢落悲風塵,天地徒茫茫。」と使う。

※驚風亂颭芙蓉水:荒れ狂う風がハスの花のある水面を乱し波立たせて。 *この聯は、近景での「月に叢雲(むらくも)花に風」が起こっているのを詠う。 ・驚風:激しい風。荒れ狂う風。 ・颭:〔せん;zhan3●〕そよがせる。(風が物を)動かす。波立てる。 ・芙蓉:ハスの花。また、モクフヨウ(木芙蓉)。アオイ科の落葉低木。ここは、前者の意。

※密雨邪侵薛茘牆:しげく降り続ける雨は、よこしまにも(斜めになって)、マサキノカヅラでできた壁に染み込んでくる。 *異域の苛烈な情景を詠う。 ・密雨:しげく降る雨。 ・邪:〔じゃ(しゃ);xie2○〕ななめ。=斜(しゃ;xie2○)。よこしま。 ・侵:おかす。しだいに入り込む。 ・薛茘:〔へいれい;bi4li4●●〕オオイタビ。暖地の山地に生ずるクワ科の匍匐性常緑低木。隠者の衣。『楚辭・九歌・山鬼』に「若有人兮山之阿,
薜茘枝兮帶女羅。」とある。また『楚辭・離騷』では、人の麗しいさまの形容として使われる。 ・牆:〔しゃう;qiang2○〕壁。かき。垣根。塀。

※嶺樹重遮千里目:嶺々の木々は重なりあって、遠くまでの眺望を遮(さえぎ)り。*この聯は異域の遠景を詠うとともに、「順宗(永貞)の革新」に作者・柳宗元とともに参加した仲間の左遷先を眺めようとしても、山の嶺に生えている樹木が道を覆い隠して見通せなくしているさまを詠い、「江流曲似九迴腸」では、水路も、陸路同様に、曲がりくねっていて辿りがたいさまを詠う。 ・嶺樹:南嶺の南(嶺南)の木々。嶺々の木々。五嶺の南の木々。 ・重:〔ちょう;chong2○〕かさなる。 ・遮:さえぎる。 ・千里目:遥か彼方までの眺望。ここでは、漳州(漳浦)・汀州(長汀)・封州(封川)・連州(連県)の四つの地方に左遷された仲間の許を望み見たかったことを謂う。

※江流曲似九迴腸:川の流れは曲がっており、何度も曲がりくねった腸に似ている。 *水路も(陸路同様に)仲間の許に辿り着き難(がた)いさまを詠う。 ・江流:川の流れ。 ・曲:曲がり方。 ・九迴腸:何度も曲がりくねった腸。 

※共來百越文身地:中国東南部の未開で入れ墨をした百越の原住民のいる地に、(手紙も)一緒に来た(はずなのに)。 ・共來:一緒に来る。 ・百越:周代まで江南の浙江省南部、福建省、広東省、広西チワン族自治区からベトナムにいたる地域に住んでいた、諸々の未開民族である百越族の総称。越、粤。 ・文身:入れ墨(刺青)。百越の習俗でもある。蛇足になるが、倭の風習も『三国志・魏書・東夷』の倭の条にも「男子無大小皆
黥面文身。…斷髮文身以避蛟龍之害。今倭水人好沈沒捕魚蛤,文身亦以厭大魚水禽,後稍以爲飾。諸國文身各異,或左或右,或大或小,尊卑有差。」(黥面:顔のいれずみ。文身:体のいれずみ)とあり、古代日本と江南との繋がりを感じさせるものがある。

※猶是音書滯一鄕:手紙類は、まだどこかの村で停滞しているようだ。 *仲間との文通も難しいということを謂う。 ・猶是:ずっとまだ。「猶自」ともする。「猶自」の意は、なおまだ。 ・音書:便り。手紙。 ・滯:とどこおる。 ・一鄕:どこかのとある村。


               ***********




◎ 構成について

韻式は、「AAAAA」で、韻脚は「荒茫牆腸鄕」で、平水韻下平七陽。この作品の平仄は、次の通り。


○●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
○○●●●○○。(韻)
●○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)

2008.11.14
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     11.16
     11.17



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