![]() ![]() |
![]() |
山中即事 | |
|
唐 郞士元 |
入谷多春興,
乘舟棹碧潯。
山雲昨夜雨,
溪水曉來深。
******
山中即事
谷に入 れば春興 多く,
舟に乘りて碧潯 に棹 さす。
山雲 昨夜雨 ふり,
溪水 曉來 深し。
****************
◎ 私感註釈
※郎士元:盛唐~中唐の詩人。開元十五年(727年)~建中元年(780年)。中山(現・河北省定県)の人。字は君冑。天宝十五年(756年)、進士に及第。渭南の尉から左拾遺を経て、郢州 (現・湖北省)刺史となった。閑雅な詩風で銭起とともに「銭郎」(銭起・郎士元)と並称され、大暦期を代表する詩人の一。当時の高官が地方へ転出する際、この二人(「銭・郎」)に送別の詩をもらえない者は軽んじられたといわれる。
※山中即事:山の中の目の前の風景をよんだ詩。 ・即事:目の前の事柄や風景をよんだ詩。
※入谷多春興:谷間(の地域)に入(はい)れば、春のおもしろみが多く。 ・入谷:谷間(の地域)にはいる。 ・春興:〔しゅんきょう;chun1xing4○●〕春の楽しみ。春のおもしろみ。
※乗舟棹碧潯:舟に乗って、青緑色(の)岸辺近くの水を多くたたえたところをさおで舟を進める。 ・棹:〔たう;zhao4●〕さおで舟を進める。さおさす。(舟を)こぐ。動詞。 ・碧:青緑色(の)。 ・潯:〔じん;xun2○〕ふち。岸辺の水を多くたたえたところ。川のほとり。水辺。みぎわ。
※山雲昨夜雨:山に出た雲が、昨夜に雨を降らして。 ・雨:〔う;yu4●〕あめふる。動詞。
※渓水暁来深:谷川の流れが、あけがたになって(増えて、)深くなった。 ・渓水:谷川の流れ。 ・暁来:あけがたになって。また、あけがたから。あかつきよりこのかた。あけがた。⇔晩來、夜來。
***********
◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「潯深」で、平水韻下平十二侵。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○●●●,
○●●○○。(韻)
2018.1.30 1.31 2. 1 |
![]() ![]() ![]() ************ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() |