人口衆多底子薄, 初級階段需記牢。 艱苦奮闘幾代人, 立志改變落後貌。 光輝旗幟高高擧, 興國強國靠科敎。 改革開放光明路, 堅持到底不動搖。 ![]() |
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我國は社會主義の初級階段に處して在り
人口 衆 多く 底子 薄く,
初級 階段 記すこと 牢(かた)きを 需(もと)む。
艱苦 奮闘 幾代の人ぞ,
志を立て 改變せん 落後の貌(さま)を。
光輝の旗幟 高高と擧げ,
興國 強國は 科敎に 靠(よ)る。
改革開放は 光明の路,
堅持 到底して 動搖せず。
◎ 私感註釈 *****************
※我國處在社會主義初級階段:この作品は『小學生十知道』国家敎委基礎敎育司編:中國少年兒童出版社出版で、「愛國主義敎育_中國_小學_敎學参考資料」となっている。嘗ての現代中国の文章は毛沢東著作に基づいた三誌共同社説に依っていたが、これは『中國共産黨章程』に依っている。 ・處在…:…に身を置く。 ・社會主義:社会主義(発展の法則の)。 *蛇足になるが、“社會主義”は勿論「社会主義 socialism」の意であるが、中国では、現行の政治統治システムや中国共産党統治に因る政治そのものを指す場合が多い。なお、文革時によく言われた“馬克思列寧主義”(馬列主義)は、現在、公式の会議では“馬克思主義”と言われるように変わり、いつの間にか“列寧主義”はなくなった。(憲法には残っているが)。 ・階段:段階。ここでは、(歴史的な発達)段階。 *口語基調の語彙なので、漢文風の読み下しに無理が起こっている…。
※人口衆多底子薄:(我が国は)人口が多く、(社会)基盤が脆弱である(という)。 ・人口:人数。人口。 ・衆多:数多い。“人口衆多”は一種の常套語。人口が多い。 ・底子:基礎。基層。 ・-子:名詞化の働きを持った接尾辞。 ・薄:薄い。弱い。薄弱である。
※初級階段需記牢:(現在は、社会主義の)初級段階にあることをしっかりと覚えておく必要がある。 ・初級階段:社会主義(発展の法則の初期の段階)マルクス主義史学の用語『中國共産黨章程』「總綱」の第七段に「我國正處於並將長期處於社會主義初級階段。這是在經濟文化落後的中國建設社會主義現代化不可逾越的歴史階段,需要上百年的時間。我國的社會主義建設,必須從我國的國情出發,走中國特色社會主義道路。」(『中国共産党規約』「総則」の第七段「わが国は現在、そして長期にわたって社会主義の初級段階にある。これは経済、文化の立ち遅れた中国で社会主義現代化の建設を進めるにあたって飛び越えることのできない歴史的段階であり、百年を超える期間を必要とする。」)を根拠にしている。一口で言えば、現在の中国は、発展の途上であると規定し、課題は、①国民の物質面に対する需要と、それに対して後れた生産方法の問題。②労働に応じた多様な分配方式を採ることに因る問題。③一部の地域や人が先に豊かになることを推進する。それを全国に波及させるという問題。それらの実現には、まだまだ長い期間の奮闘が必要である、ということ。換言して謂えば、資本主義的な経済運営を推進するということ。更に端的に言えば、経済面での平等主義を廃して、貧富の格差の発生の容認。=社会主義市場経済。後出の「改革開放」の意でもある。 ・需:必要がある。 ・記牢:しっかりと覚える。銘記する。 ・記:覚える。 ・牢:しっかりと。かたく。
※艱苦奮闘幾代人:何世代にも亘って刻苦奮闘し。 ・艱苦奮闘:苦しい闘い。 ・幾代人:幾世代(に亘る)。「我國的社會主義建設」にかかる時間の長さをいう。『中國共産黨章程』「總綱」では、「到建國一百年時,人均國内生産總値達到中等發達國家水準,基本實現現代化。」と、国家百年の大計を立てている。
※立志改變落後貌:後れを取っているさまを改変しようとの志を立てよう。 ・立志:目的を定めて、それをなし遂げようとすること。志を立てること。 ・改變:物事を改めて、もとと違ったありさまにすること。 ・落後:人後に落ちること。 ・貌:〔ばう;mao4●〕姿。かたち。かお。面貌。
※光輝旗幟高高擧:輝かしい旗印を高々と掲げて。 ・光輝:輝かしい。 ・旗幟:〔きし;qi2zhi4○●〕旗印。はたとのぼり。 ・高高擧:高らかに掲げる。嘗ては「高擧毛澤東思想的偉大紅旗」としばしば言われた。
※興國強國靠科敎:興国、強国(への道は、)科学教育によるのだ。 ・興國:国の勢いを盛んにすること。勢いの盛んな国。 ・強國:強い国。 ・靠:よる。寄りかかる。たよる。 ・科敎:科学教育。
※改革開放光明路:改革開放は輝く明るい路であり。 ・改革開放:社会主義市場経済など、資本主義的な手法を取り入れた経済改革。 ・光明:かがやかしい。 ・路:みち。
※堅持到底不動搖:(改革開放を)堅持し続けて、いささかも動揺しない。 ・堅持:考えや態度などを鞏(かた)く保って、他と妥協しない。堅持する。 ・…到底:とことんまで。最後まで。この意は、動詞の後に附いた場合の意。 ・不動搖:揺るがない。
◎ 構成について
韻式は「a'AaaA」。韻脚は「薄牢貌敎搖」。「薄」も、現代語韻では、〔-ao韻〕。平韻、仄韻に拘わっていない。現代の北方語では「薄」のような入声韻はなくなり、去声や陽平などに移っている。平水韻では論じられない。次の平仄はこの作品のもの。「興強敎」は両韻だが、ここでの用法では下記の通り。
○●●○●●●,(韻)
○●○●○●○。(韻)
○●●●●●○,
●●●●●●●。(韻)
○○●○○○●,
○●○●●○●。(韻)
●●○●○○●,
○○●●●●○。(韻)
2005.3.31 4. 1 4. 2 |
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