第19回

けいれん発作について

00.6.25

けいれん発作について

 けいれん発作を起こす原因となる病気はたくさんあります。
けいれん発作を起こした場合は、まずその原因となる病気をつきとめて、
原因に応じた治療が必要となります。

けいれん発作とはどういうものでしょう?

 けいれん発作(てんかん)には、全身を硬直させて意識を失ったり、
体の一部分だけがピクピク動いたり、一瞬意識を失うだけであったり、
異常行動(しきりに唇をかんだり、舌うちしたり、物を飲み込む動作を繰り返したり、
部屋のなかを歩き回るなど)を伴ったりするものなど色々なタイプがあります。

けいれん発作の原因と治療

 けいれんを起こす病気は大きく2つに分けられます。

1.脳の病気によるけいれん

2.脳以外の病気によるけいれん

1.の 脳の病気によるけいれんについて説明します。

 脳を原因とするけいれんも大きく2つに分けられます。

 ひとつは,症候性てんかんと呼ばれます。


代表的なものに脳腫瘍、脳動静脈奇形、脳出血、脳梗塞、
頭部外傷(脳挫傷、硬膜外出血、硬膜下出血)、くも膜下出血、
脳膿瘍、脳炎、髄膜炎、先天性の脳奇形
などあり、
いずれも発生頻度に差はありますがけいれんの原因となります。

これらの病気によるけいれん発作は、
抗けいれん剤(けいれんをおさえる薬)で抑えることができます。
けれども原因となった脳の病気は、手術で治療しなければならないものもありますから、できるだけ早く脳神経外科での検査を行って治療が必要です。

 もう1つはCTや MRIなど現在用いている検査を行っても脳に明らかな異常がみえない場合です。
このけいれんは幼児期や青少年期に発病することが多く、
いわゆる真性てんかんと呼ばれている病気です。
とても多い病気で、脳波の検査で診断がつくことが多いと思います。


この場合は抗けいれん剤による治療が行われます。
小児科や精神神経科が中心になって治療をおこなっています。
しかし、最近ではこのようなてんかんを手術で治療する研究が脳神経外科で進んでおり、くすりで抑えられない真性てんかんを手術治療できるようになってきています。

2.の 脳以外の病気によるけいれんについて説明します。

重い肝臓障害、腎臓障害による尿毒症、低血糖症、電解質異常(SIADHなど)
いろいろな中毒症などが原因となる可能性があります。
脳以外の病気が原因の場合は内科での精密検査と専門的な治療が必要です。

診療日記のホ−ムへ