第45回

医療相談回答1(高血圧症の内服治療)

00.8.12

はじめまして。中島さんのHPでおめにかかりました、
古屋友喜と申します。ハンドルネーム、天友と申します。
この先生のHPも俄然、にぎやかになりましたね。
いつか、このHPにこようこようと思いながら、ついつい
そのままになつていました。今日から夏期休暇に入りましたので、
今日はゆっくりとカキコミさせていただきます。

まさにI.Tの時代になりました。このインターネットも
そういう意味で、脳卒中になられたみなさんと専門の医者が
膝を交えて、語り合える場になりました。
大変意義深い事だと思っております。患者の生の悩みを直接
聞ける、また、相談できると言う意味において、画期的な
試みと思います。

私は、55歳のサラリーマンです。昨年の2月に会社で、脳内出血
をおこし、意識をうしない、そのまま救急車で病院に運ばれ、
入院しました。1ヶ月程度の入院で回復し、4月から会社に復帰
しましたが、5月の連休後、再度脳梗塞となり、歩けなくなり、
2回目の入院をしました。早い時期にリハビリを始めたせいか
歩けるようになり、昨年の10月から、再度会社に復帰し、すでに
1年が経過しようとしています。
会社復帰後の状態は、中島さんのHPに記録として、書かせてもら
いました。

そこで、質問です。
私は、脳内出血の発生以前の血圧が異常に高く、会社の健康診断時
、発症前、最高200以上最低130以上が4年間続きました。
脳内出血直前の血圧は、最高220最低140ありました。
先生たちもびっくりされておりましたが、薬の効果で、今は
120−85を保っています。降圧剤を毎日4種類と、あと
コレステロールを下げる薬と心臓の薬、抗凝血剤等、朝夕併せて
7種類の薬を飲んでおります。
質問1.降圧剤は絶対やめたらいけないという事を良く、友人から
    聞きますが、じょじょに少なくはできないのでしょうか。
    血圧を下げる効果として、運動が効果的とよく聞きますが、
    運動により血圧を下げることにより、じょじょに薬を少な
    くするくする事はできますか。
    それとも、今の薬は副作用が少ないから、絶対やめないほう
    がよいのでしょうか。
私も科学者のはしくれで、今の降圧剤の効果は、驚異的で私も脱帽
しました。この質問の部分はどのように考えておられるのか、先生の
ご意見をお願いいたします。
長々と申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

天友さん、はじめまして。
ようこそいらっしゃいました。
さっそく御質問に答えさせていただきます。
まず、天友さんの血圧ははっきり言ってとんでもない高血圧です。
人間の動脈ではこんな血圧が続けば必ず破れます。
(もちろん詰まる場合もありますが、破れて出血する可能性が極めて高いと思います。)
破れないようにするためには当然血圧を少しでも下げるしかありません。
血圧をさげる方法は食事療法、運動療法、薬物療法などです。
どういう状態であれ、食事療法、運動療法は基本です。
必ずやるべきです。
しかしこの治療法は即効性はありません。
効果が出るのに時間がかかります。
そして予定どうりきちんと出来ない人が多いのも事実です。
そうなると現在の危険な状態を安全な状態にするには薬物療法しかありません。
ゆっくり食事療法や運動療法の効果が出るのを待っていれば危険です。
ですからまず薬物により安全な血圧まで下げるのが常識です。
何種類の薬が必要かはそれぞれの患者さんでさまざまです。
1種類でよい方もあれば4種類飲まないと安全な血圧まで下がらない方などさまざまです。
このようにして安全な血圧まで下げたら、私の場合次のステップとして、
少しでも薬物を減量出来ないかを考えます。
4種類内服している人なら3種類に出来ないかを考えますし、
1種類内服している人なら薬物なしでコントロ−ルが出来ないかを考えます。
これはよく誤解している人が多いのですが、
血圧の薬は飲み始めると一生やめれないと思っている人がいます。
これは間違いです。
まず、安全のために薬物を使い血圧を下げますが、食事療法(減塩、ダイエット)、
運動療法がうまくいって血圧が下がってくれば当然薬物は減量するのです。
われわれ主治医も自分の患者さんに対しは、最小限の薬物でコントロ−ルするのが理想なのです。
そのために外来で自分の患者さんにもう少し痩せなさい、運動が足りない、塩気が多いのではないか、
などと患者さんがうんざりするような小言を言うのです。
薬を絶対にやめさせないと思っている医者はいません。(一部の悪徳医はどうか知りませんが)
もちろん結果としてやめられなかった患者さんや減量できなかった患者さんはいます。
それだけ高血圧症が重症のこともありますし、
患者さんが主治医から指導された事を守らないで不節制を続けることもあります。
天友さんも減量出来るように少しずつ食事療法、運動療法を頑張って下さい。
しかし、焦ってやり過ぎると、失敗し病気の再発の危険もありますので、
主治医と相談してやるようにして下さい。
コレステロ−ルは動脈硬化の最も危険な因子です。
高ければこれも食事や運動で効果が出るまでは内服する必要があります。
抗血小板剤または抗凝固剤は脳梗塞の予防に必要です。
しばらくは内服したほうが良いでしょう。

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