第60回

医療相談回答5(脊髄空洞症について)

00.9.3

整形外科に勤務する雅美さんという看護婦さんからの質問です。

ドクター返事をありがとうございます。
大変唐突な質問なんですが、脊椎空洞症の症例を見たことはないですか?アーノルドキアリ奇形です。もし知ってたらぜひ教えてください。
私の病院の婦長なんですが脊椎空洞症でOPをしました。はっきりと手術内容はわからないんですが、MRIで見る限り3番頸椎から7番頸椎まであった空洞は小さくなってます。小脳をあげて頭蓋骨の一部を切除したとだんなさまは説明を受けたそうなんですが、、。予後はどうなんでしょうか?また空洞ができる?小脳がおちてくるという事はありえるんでしょうか?症例が少なく、はっきりした事があまりいえないようなんですが、もしなにか知ってらしたら教えてください。
では、突然すいませんでした。
ちなみに婦長は35歳です。

雅美さん

ア−ノルドキアリ奇形による脊髄空洞症は非常に症例が少なく、
私も数例しか見たことがありません。
ほとんど大学病院に紹介します。
症状は典型的な場合はいわゆる脊髄中心症候群です。
すなわち、一側または両則上肢の分節性解離性知覚障害(触覚・深部知覚温存−温痛覚障害)、
自発痛、上肢の萎縮脱力、上肢の無痛性潰瘍、排尿障害、性機能障害などです。
外科的治療はこの病気に併存する病態が多様で手術も種々の方法があります。
したがって統一した外科的治療法はありません。
予後もその症例症例での病態しだいです。
最近は大後頭孔周辺の骨性減圧で有効とする報告が多い様です。
婦長さんも期待できるとは思いますが・・・経過を見るしかないでしょう。

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