第85回

甲状腺癌術後再発で気管に癌の著明な浸潤を認めた77才男性

00.10.31

77才男性のMさんは、甲状腺癌が発見され2回手術をしました。
しかし、2回目の手術後、残存腫瘍が極めて速いスピ−ドで増大しました。
2倍に増大するのに2週間しかかかりませんでした。
甲状腺はのど仏の前にあります。この部位で癌が著明な増大を認めました。
のどにある気管のなかにも癌が浸潤してきました。
たいへん息苦しくつらい闘病生活でした。
発作性に呼吸困難が出るし、
気管の中に浸潤した癌は出血し血痰が大量にでるようになりました。
下のCTの写真のように、気管の周囲は著明な癌だらけです。
気管に浸潤し気道を塞ぎ呼吸困難が出ました。
麻薬を投与し息苦しさや、痛みをとりました。
しかし、私にはそれ以外の治療をしてやれませんでした。
すでに手術も2回施行し、これ以上出来ない状態です。
腫瘍の増大速度からはホスピスに行く時間的余裕もありませんでした。
ただ苦しまないように麻薬でコントロ−ルしてやることしか出来ませんでした。
最後は急に出血し血圧が下がって亡くなりました。
Mさんのために自分は何が出来たのだろう・・・
そう考えると辛いです。。

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