刹那の探偵
第一話・笑い撃つ
実際あの時は死んだと思った。
しかしまあこうして生きているわけでそれはそれで良かったに違いない。
なにしろ、撃たれた中で生きていたのは僕だけだったのだから。
目を覚ますとそこは保険室だった。
「ここは・・・」
「先生、気がつきました。」
保険委員の亜模が先生を呼んだ。
「大丈夫のようだね。」
「・・・」
「喜多島くんがあなたを撃った時、たまたま・・・」
僕は胸ポケットに入れておいた携帯がなくなっているのに気がついた。
「先生・・・」
「ん?」
「みんなは?」
「・・・」
一瞬答えに詰まったが、先生は次にこう言った。
「5人死んだわ。」
「・・・」
「死んだのは二市、因幡、打田、裏郷、そして喜多島。」
彼らは皆、喜多島の前に座っていた。
そして、僕は壇上・・・
前にいた奴をただ何の目的もなく撃った。
そうとしか思えなかった。
そしてあいつは俺を撃った。
たまたま携帯があったおかげで助かったモノの
もしかしたら死んでいたかもしれない。
僕は震えが止まらなくなった。
怪我一つなかったのは本当に奇跡だ。
???
怪我ひとつない?
僕はその矛盾にようやく気づいた。
銃で撃たれて携帯ぐらいで無事なはずがない。
これはいったい?
「それにしても・・・」
先生が僕の思考を中断した。
「銃を向けられたくらいで気絶するなんてねぇ。」
・・・・・・・・・・・・・
そうだ。なくなった携帯!これこそが事件の始まりに違いな・・・
「そうそう、携帯は没収だから。また、新しいの買いなさいね。」
・・・・・・・・・・・・・
名探偵への道は険しい