★ この頁より、私的なコーナーになります。★

HP管理人の、個人的な趣味で、作成したものです。

「十秒間の休憩室」と呼んでおりましたが、短すぎるので。 笑)

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闇の中に。

ガラスの 高い塔が たち。 螺旋ガラスの 塔が たち。

その 気も遠くなるような 尖塔に。 蛙がひとり。片足でたち。

宇宙の 向こうを 眺めている。


私の好きな詩から。 つらい時や元気を失いそうな時に、思い出す詩です。

少し気味悪いかもしれません。でも、いい詩だと思っています。

「ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉」

痛いのは 当り前ぢやないか。

声をたてるのも 当り前だらうぢやないか。

ギリギリ 喰はれているんだから。

おれは ちつとも 泣かないんだが。

遠くでするコーラスに合はせて 歌ひたいんだが。


泣き出すことも 当り前ぢやないか。

みんな生理の話ぢやないか。


どてつぱらから 両脚はグチヤグチヤ喰ひちぎられてしまつて。

いま逆歯が 胸んところに 突きささつたが。

どうせ もうすぐ死ぬだらうが。

みんなの言ふのを 笑ひながして。

こいつの尻つぽに 喰らひついた おれが。

解りすぎる程 当然こいつに 喰らひつかれて。

解りすぎる程 はつきり死んでゆくのに。

後悔なんてものは 微塵もなからうぢやないか。

泣き声なんてものは。


仲間よ安心しろ。

おれはこいつの食道を ギリリギリリさがってゆく。

ガルルが やられたときのやうに。

こいつは木にまきついて おれを圧しつぶすのだ。

そしたらおれは ぐちゃぐちゃになるのだ。


ふん そいつがなんだ。

死んだら死んだで 生きてゆくのだ。


おれの死際に 君たちの万歳コーラスが きこえるやうに。

ドシドシガンガン歌ってくれ。

しみったれ 言わなかった おれぢやないか。

ゲリゲぢやないか。

満月ぢやないか。

満月は おれたちのお祭ぢやないか。

・・・・・ゲリゲ。ガルル。共に蛙の名。・・・・・「草野心平 作」


●私は、二年に一度ほど、福島県いわき市にある
「草野心平記念館」に出掛けます。

そんな私のエッセイ?遊び?の頁です。宜しく。

■虎風のドグマ・ハウス■