夏の日

まるで、針を撒き散らしたような陽射しの午後。

君は電車に乗って、僕を訪ねてくれた。

僕は、うれしくて、うれしくて、君に話し続けた。

しかし、君は何も語らず、ただ笑っていた。色々な笑顔で。

(君が、なぜ何も話さないのか。僕には、判らなかった。)

しかし。

海へと続く丘の上に広がる畑の中に、「全て」が見えた。

その時、僕は。今すぐ、死にたいと思った・・・。

そんな、午睡の夢を見た夜。僕は君に電話をした。

「真面目に勉強しているの。いつ、帰ってくるの。・・・。」

君は、受話器の向うで話し続けた。止め処も無く。

その時。「全て」は、日常の中に消えてしまい。

僕は、生き続けることにした。

【しかし、他人の夢の話ほど、つまらないものはねぇな。】