United Radio Broadcasters of New Orleans (URBONO)

 2005年9月初め米国のメキシコ湾岸は超大型ハリケーンKatrinaの襲来で未曾宇の大災 害に見舞われた。 特に大半の地域が水没し多数の死者と避難者を出したNew Orleansではハリケーンによる風雨で被害を受け放送不能になった放送局も多かった。政府による救援が遅れる中で、9月2日 の現地時間22:00に New Orleansとその周辺のラジオ局はAM局(870kHz)のWWL局の呼びかけで、20局が連合体「United Radio Broadcasters of New Orleans」(ORBONO)を形成し、すべての局が同一の公共性の強い番組を流し続けた。番組内容は避難等で離散した家族 等の再会情報、災害地から の生レポート、現地災害担当者とのインタビュー等地域に残留した人々、地域から避難した人々の両方に対して有用な情報を提供し た。また聴取者からの情報提 供用の無料電話も設備した。

 URBONOの参加した放送局は次の通りである;;
 WWL-AM, New Orleans, LA, 870 kHz  WSMB-AM, New Orleans, LA, 1350kHz  WLMG-FM, New Orleans, LA, 101.9MHz  WNOE-FM, New Orleans, LA, 101.1MHz  WTKL-FM, New Orleans, LA, 105.3MHz  WODT-AM, New Orleans, LA, 1280kHz  WRNO-FM, New Orleans, LA, 99.5MHz  WYLD-AM, New Orleans, LA, 940kHz  WYLD-FM, New Orleans, LA, 98.5MHz  WQUE-FM, New Orleans, LA, 93.MHz  KHEV-FM, New Orleans, LA, 104.1MHz  WYNK-AM, Baton Rouge, LA, 1380kHz  WJBO-AM, Baton Rouge, LA, 1150kHz  WFMF-FM, Baton Rouge, LA, 102.5MHz  KRVE-FM, Baton Rouge, LA, 96.1MHz  WSKR-AM, Baton Rouge, LA, 1210kHz  KLCL-AM, Lake Charles, LA, 1470kHz  KJEF-AM, Jennings, LA, 1290kHz  WHRI-SW, Cypress Creek, SC。 

 短波局のWHRIが入っているのは全米に避難した人々に対する情報提供が主目的であったが、全米及び全世界に電波が届いた結果、当時のNew Orleansの生の状況を広範囲に伝えるのに非常に役立った。戦争や災害等非常時に強い短波の良さが改めて見直された一瞬であった。この時の放 送番組は 主としてWWLで制作されたが、WWL自体はダウンタウンにあるスタジオが破壊されて使用不可能になっていた。しかしスタジオが破壊される前に放送設備や スタッフを別の場所に移して放送を継続することができた。なおNew Orleansには短波局WRNOがあるが、アンテナが損傷を受けたために短波送信ができなかった。なおWRNO-FMの方はURBONOに入っ ている。

 またURBONOは商業的には対立するClear Channel Communications系とEntercom Communications系の局が連合を組んだという意味でも特筆されることであった。

 この災害では公共機関等のモラルの低さが非難されたが、放送局は「社会の公器」としての役割を果たしたといえる。URBONOはKatrina とそれに 続いたRitaの災害からの復旧が一段落した11月4日まで継続した。

 期間中WWL局には世界中から受信報告が殺到したが、局の性格上これに返信することが困難であった。そこでThe International Radio Club of America(IRCA)は昨年12月31日より、WWL局の許可を得て、この期間中にURBONO各局に関する受信報告に対し特別QSLカー ドを発行することを決定し、発表した。筆者はWHRI局の受信報告を送り第11号のQSLカードを得た。カードには今にもNew Orleansを呑み込もうとしてメキシコ湾を北上するKatrinaの恐ろしい姿が衛星写真として描かれている。

 発行請求はURBONOの存続期間内の上記の局に対する受信報告を、返信料($1またはIRC1枚)同封の上以下の宛先に送付する。
URBONO QSL, P.O. Box 3777 Memphis, TN 38173-0777, U.S.A.


Katrinaの衛星写真が描かれた表面 右上にWWL局のロゴマークが入っている 大きさ 157×104mm 



URBONO各局の名称が入った裏面 QSL#11から11番目の発行であることが分かる



Katrinaの風雨で吹き飛ばされたWWLのスタジオ
(NAB At Your Serviceより)





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