HCJB La Voz de los Andes (エクアドル)
エクアドルという南米ではマイナーな国を有名にしているのがこの局である。特に1965年から2000年までの35年間
(13,394日
間だそうだ!)は尾崎一夫・久子夫妻による日本向日本語放送「アンデスの声」が放送され、NHK海外番組コンクールでも受賞する
など日本の短波リスナーに
は大変親しみのある局であった。
元々は「La Voz de los
Andes」が局名、HCJBはコールサインであったが、いつの間にか「HCJB」が局名として通用するようになってしまい、現
在オーストラリア局も
「HCJB Australia」(日本語放送も復活したのはご存知の通り)と称している。また米国コロラド州に本部がある主催
団体「World
Radio Missionary Fellowship」も通称を「HCJB World Radio」としている。
このHCJBのコールサインは放送開始に先立つ1930年にエクアドル政府から降りたものだが、「Hoy Cristo
Jesus
Bendice」
(今日もイエスキリストが祝福される)をもじったものだという。当時他に放送局はなかったのでコールサインはこのように自由にと
れたようだ。
同局の創始者はClarence
Jones夫妻で、1931年のクリスマスよりエクアドルと近隣地域に向けて羊小屋を改造した小さな送信所からキリスト教の布教
放送を開始した。HCJB
はエクアドル最初の放送局であり、また世界のキリスト教放送局の第一号でもあった。
HCJBはエクアドルでは一番の放送局であったが、1965年に本格的に日本向日本語放送を開始する以前は中南米地区向のどち
らかというとローカルな布
教放送局の色彩が強かった。1947年版の第1号のWorld Radio
Handbookによると、当時の短波使用周波数は5波(4107kHz
700W, 6240kHz 1kW, 9958kHz 1kW, 12445kHz 10kW, 15115kHz
1kW)で、放送時間は20:30-23:00
06:00-11:00(日本時間)の1日2回、放送言語は英語とスペイン語のみであった。
今年は放送開始75周年ということで、色々な記念行事が行われている。しかし創立以来使用されてきたPifo送信所が新空港建
設のために立ち退きを迫ら
れる中でエクアドルからの短波放送を今後継続するかどうかが問題とされている。すでに太平洋岸のGuayaquilに送信所用の
土地は確保してあるとされ
ているが、地形やコストの関係で移転の計画は進んでいない模様である。「月刊短波10月号」に記載のように場合によっては短波放
送のエクアドル撤退(ある
いはエクアドルにはローカル向短波放送のみ残す - 既にHCJB1 3220kHz 8kW
がある!)もあり得る状況である。
2006年5月には長年行われてきた英語放送を中止し、ドイツ語を除けば中南米の言語(スペイン語、ポルトガル語、ワオラニ
語、クリナ語、ケチュア語、
コファン語)のみの放送となっている。
掲載のQSLカードは2006年の75周年記念カード(英語放送はないが文面は英語)である。同時にペナントも発行された。ま
た参考のために41年前の
1965年のQSLカードも掲載する。まだローカル色の強い単色カードで、文面もすべてスペイン語である。
伝統ある局だけに昔の「DX局」に戻ってしまうのはともかく、短波放送のエクアドル撤退だけは何とか避けてもらいたいものだ。
受信報告の宛先: Casilla 17-17-691, Quito, Ecuador
URL: http://www.vozandes.org (スペイン語)
http://www.hcjb.org (英語、スケジュールはこちらに掲載)
2006年発行の放送開始75周年記念QSLカード 大きさ 146×99mm
75周年のロゴとGalapagos島のBlue-footed Booby(ガラパゴス青足カツオ鳥)
本文は英語だが記入はスペイン語 サインはDouglas Weber氏
放送開始75周年記念ペナント 上部は75周年記念ロゴ
下のスペイン語の文言は旧訳聖書イザヤ書「主よ汝は我らのために平和をもうけ給わん、我らの行いし事は皆汝の成し給えるな
り」
1965年発行のローカル色あふれるQSLカード 大きさ87×127mm
表はロバに乗る少年、裏はスペイン語、9745kHzはこの頃から使用されている伝統ある周波数だ
(左)HCJBの局舎の夜景、「Hoy
Cristo
Jesus Bendice」の看板がある
(右)構内にある衛星放送用パラボラアンテナ、赤道直下なのでほぼ真上を向いている
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