Voix du Sahel (Niger)


   昨年来、日本を含む世界中のDXerに突如ニジェールのVoix du Sahelから返信が舞い込み、ちょっとした騒ぎとなった。小生の場合2006年8月に出した受信報告に対し1年半後であった。1960年代に独立したア フリカ諸国の放送局は、独立の意気に燃えていた当時は宗主国からの援助もあり返信率も高かったが、その後内乱や経済の停滞が続き、返信率は低下の一途で あったからである。ニジェール(Niger)は西アフリカの内陸国家であるが、独立以来4回のクーデターを経験(1999年のクーデターでは大統領が殺害 された)し現在も政情不安が続いている、近年干ばつが続き世界の最貧国の一つに数えられる(2005年の1人当たりGDPは872ドルで、北朝鮮より貧し い)。
   Voix du Sahelはニジェールの国営放送局Radiodifussion Télévision du Niger(ORTN)のラジオ部門の名前である。「Sahel」はアラビア語で「境界」を意味し、サハラ砂漠の南側の境界に当たるセネガル・モーリタニ アから、ニジェール・チャドを経てスーダンに至る広い地域の名称となっている。この地域では国境を越えて民族が存在するため、同局は国内向放送のみならず 国際放送としての位置づけとなっているためこの名前をつけている。地勢的には国土の1/3を占める南部地域にはサバンナが広がり動物等も多く農業にも適し ているが近年サハラ砂漠が広がり可住地が狭まっていると言われる。首都Niameyには西アフリカを代表する大河川であるニジェール川も流れている。
 同局の放送の開始はニジェールが当時のフランス領西アフリカの自治国になった1958年10月18日で、当初「Radio Niger」と称していた。当時はDakar(現在のセネガルの首都)にあったフランス政府の局Radio de l'AOFの中継局に過ぎなかった。2年後の1960年8月3日にニジェールがフランスから独立したのを期にRadio Nigerは正式に同国の国営放送となった。そして1967年2月11日には現在のRadiodifussion Télévision du Nigerが設立され、そのラジオ部門となった。「Voix du Sahel」と称するようになったのは1974年4月に起きた最初のクーデター後のことである。
 以前は 90mbの3260kHzと60mbの5020kHzが定番の周波数であったが、送信機の不調で一時短波放送が途絶えていた。項大なサハラ砂漠を含む国土 と近隣地域をカバーするためには短波放送は必須であるため、2006年8月に送信機を整備して9705kHzで短波放送を再開している。ドイツ Siemens社製の100kW送信機を使用しているが、40kWに落として運用している。それでも使用周波数が31mbの9705kHzであるため、日 本は勿論世界各地で良好に受信されている。「国際放送」も兼ねているだけあって言語は10カ国語(フランス語、ハウサ語、アラビア語、Zarma語、 Kanouri語、Toubou語、Peulh 語、Gourmantche語、Tamachek語、Boudouma語)が使われている。放送は毎日13:55-08:00である。番組は報道・教育・ 娯楽が約1/3づつで構成されている。
 同局のURLは2006年8月に創設されたhttp://www.ortn-niger.com(現在も存在する)であったが、今年(2008年)の元 日よりhttp: //www.ortn.neに変更となっている。内容も大幅にリニューアルされ、一部の番組はオンラインでも聴取できるようになった。QSLの発送もこれ と期を一にしているため、多分予算がついて担当者に時間的余裕ができたものと思われる。筆者が受け取ったQSLは以前から使用していたものらしく、裏面の 放送スケジュールで朝と夜の放送が別々であった時代のものであることが分かる。また使用言語の覧にBoudouma語が書き加えられている。
 改訂前の本ペー ジをご覧になった愛媛県の武内伸夫氏は筆者とは異なったQSLを受け取ったと知らせて下さった。比較のために氏の受け取ったQSLも掲載する。まず表だ が、デザインは同じものの、色調が異なっている。オレンジ色(サハラ砂漠の色を表してるため)に近い方が本来あるべき色である。また使用されているフォン トの字体と大きさ、配置がすべて異なっている。裏面のフォントや配置も異なる。スケジュールは朝・夜の区別がなくなりより最新のものに近くなっているし、 Boudouma語が印刷されているため、こちらの方が新しく印刷されたカードであることが分かる。FAX番号、電話番号も異なっており、古い方にある Telex番号は新しい方にはない。
 QSLの発行者は筆者の受け取ったQSLはDirecteuer Technique(技術部長)である、局の名簿ではLaouali Maraka氏となっているが、筆者受領のものはサインが達筆で断定できない。武内氏受領のQSLはLe Directeur(放送部長)で、局の名簿で はMahanan Chamsou Maïgary氏となっている。こちらも達筆だがそのように読めない事もない。困難な状況の中で返信を行ってくれたこれらの人々には改めて深く感謝したい と 思う。
 ところで、武内氏がQSLを受け取ったのは昨年11月、筆者は今年2月である。Le DirecteurとDirectuer Techniqueはどちらが偉いのか不明だが、Le Directeurの方が新しく印刷されたQSLカードを持っていて、Directeur Techniqueの方は古いカードを持っていたと推測できる。受信報告が異なった担当者に送られたのでカードや発行時期が異なったのではなかろうか!
 筆者の受信報告のコピーを確認したら宛先を元々Directeur Techniqueとしていたので筆者の報告は当然そこに送られた筈である。
 予算がついた背景には昨年(2007年)6 月に元ORTN局長で長らく首相として君臨してきたHama Amadou氏(国連の食料援助を拒否するなど鎖国的な政策を取ってきた)が信任投票で不信任となり、Seyni Oumarou氏を首相とする新政権が出来た事が関連するのかも知れない。
 Directeur Technique氏の方はPFCでも同時に返信を行ってくれた。一般的に受信報告はフランス語で書くことが望ましいが、武内氏には英語で返事が来たの で、Mahanan Chamsou Maïgary氏の方は英語も 大丈夫らしい。
 武内氏が貴重な情報を送って下さったお陰で様々な事実が判明した。改めてお礼を申し上げたい。

 受信報告の宛先:  Maison de la Radio, Boite Postale 361, Niamey, Niger

  URL:  http://www.ortn.ne (新サイト、メールもweb内から出せる、但しすべてフランス語)
              http://www.ortn-niger.com/ (旧サイト、すべてフランス語)

 E-mail:  ortny @ intnet.ne



赤林受領のQSLカード 局のロゴと国の全形を図案化している。 Telex番号が記入されていたり、朝晩2回の放送となっていることから古い時代の印刷 である。
発行者はLe DirecteurTechniqueのLaouali Maraka氏らしいがサインが達筆(LMと書いてある?)でこれだけでは分からない。大きさ150×109mm。




愛媛県の武内氏受領のQSLカード 色調やフォントが異なる。表面左上の国章は本来のものと左右(槍と刀の位置)が逆となっている。
裏面の時刻は上記より新しいスケジュールである。裏面の活字の並びも大きさも 異なる。裏面右下に印刷屋のマークが入っている。
発行者はLe DirecteurのサインMahanan Chamsou Maïgary
氏であろう。こちらの方が新し く印刷されたカードである。



(左)同時に送られてきたPFC利用のカード 出力40kWと記入されている (右)NiameyのORTN本局の入口 上部に局のロゴが 見える
  


(左)同時に送られてきた絵葉書 Sahelに生息するSinge Patasという猿、アフリカ象、キリン
(右)封筒に貼られていた切手 西アフリカ情緒あふれるものである 左切手の人物は現大統領Mamadou Tandja氏 右切手の鳥はセイキテリムクドリ(lamprocolius splendidus) 
 


(左)(中左)同局のロゴ  オレンジ色の輪は北部の砂漠 緑色の輪は南部のSahel地帯を表す 下部はニジェールの国章で、上部の緑色の部分は
 左が槍 右がTuareg族の刀 中央の円形は太陽 下部の黒色の部分はコブウシの顔を表す
(中右)Directeur General(局長)のAmadou Harouna Yayé氏 (右)Directeur TechniqueのLaouali Maraka氏

    



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