KICY (Alaska,USA)

  今回は米国アラスカの中波局である。太平洋を隔てた米国の中波局は、国内局させ出ていなければ比較的容易に受信できるものである。特に太陽活動の低調な時 期の秋から春にかけては中波が夜間F層で反射して短波のように伝わるため、結構安定している場合もある。KICYは北米中波入門局として昔からDXerの 間で人気の高い局である。周波数が850kHzという、9kHz刻みの日本やアジアの放送周波数からは外れ(855kHzとは5kHz、846kHzとは 4kHz離れている、こういう中波周波数は全部で24波ある!)ていること、周辺の周波数に強力な局が出ていないこと、伝搬が容易な比較的低い周波数であ ること、局自体が日本方向にビームを向けて放送していることなど好条件が重なっているためで、夕方〜夜の時間に受信できる事が多い。状態が良ければ内蔵 ロッドアンテナや簡単なループアンテナでも受信可能である。現地時間の23:00-04:00(日本時間夏期16:00-21:00 冬期17:00- 22:00)はロシア語番組が放送されている。但しロシア語番組中でもIDは英語で出るので確認は容易である。
 同局は「商業局」だが、運営母体はキリスト教伝道団体Evangelical Covenant Churchに属するArctic Broadcasting AssociationというNPOであり、運営費用は教会からの資金と個人の寄付だけ、スタッフは全部ボランティアという異色の局である。同局のロケー ションNomeはベーリング海峡に面した北米最東端に近い人口3千人の港町であるが、周囲にはあまり人は住んでいない。同局の国内サービスエリアは NomeのあるSeward半島、ユーコン・Kuskokvimデルタにある40以上の現地人の集落であり、これらの集落間には道路もなく、いまだに徒歩 で往来する他に手段がないそうである。また夜間はビームを切り替えて(そのため3基のタワーと切替装置を備えている)ロシア向に放送しているが、その対象 地域はチェクト半島、カムチャッカ半島、隣接するシベリア東部地域である。
 同局の開局は1960年4月17日、当初は出力5kWであったが、当初からロシアがターゲットエリアに入っていた。その後ロシアの広範囲で受信でき、リ スナーも多いことが判明し、50kWに増力して本格的にロシア向放送を開始した。現在FCCから正式免許を受けて中波で海外放送を行っている米国唯一の商 業局である。数年前火災で送信施設がダメージを受けたが現在は完全に復旧した。
  QSLはレター形式の完全なものである。ボランティアで営まれている局なので返信料(ドル札かIRC)は必ず同封した方が良い。

 受信報告の宛先:  P.O.Box 820, Nome, Alaska 99762, U.S.A.

  電話: +1 907 443 2213
  FAX: +1 907 443 2344

  E-mail:  office @ kicy.org
  URL:   http://www.kicy.org

(左)レター形式のQSL 地に薄くアラスカとロシア東部の地図が入っている 発行者はGeneral ManagerのJ.Dennis Weidler氏(ハムKL1OE)
(右)発行者のDennis Weidler氏
 



1100kmの犬ゾリレース「Iditrarod Sled Dog Race」のゴールNome Covernant教会前で中継するKICYのスタッフ(同局から送られてきた絵葉書)



(左)KICYのロゴとNomeの町
(中)ロシア向送信パターン シベリアの奥地からカムチャッカまでを高指向性アンテナでカバー 国内は限定エリアのみ
(右)国内向カバー範囲内の集落  (何れも同局のwebページより)

 
(左)指向性を持たせるために3基立てられた中波アンテナ
(中)米国で調整中の50kW送信機終段部
(右)指向性切替装置 (何れも同局の雑誌Call Letterより)

  


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