Bhutan Broadcasting Service (ブータン)


 ブータンはヒマラヤの小国であり、昨年(2008年)に絶対君主制から立憲君主制に移行したばかりであるが、前国王Jigme Singye WangchukがGDPによる国力の評価に対して「国民総幸福量」(GNH:Gross National Happiness)という指標(2006年の試算では日本は世界で95位、米国は150位とのこと)を提唱し、国が栄えることはカネが集まることではな く人々が貪りを抑え て幸福感を享受することだと主張、国全体としてスローライフを推進しているので有名である。こういう傾向は同じ仏教国であるスリランカにも見られるが、貪 り(オバマ新大統領は就任演説の中で「greed」という言葉で表現した)を謳歌してきた米国が凋落した今年には大いにかみしめなければならない主張であ る。

  スローライフを標榜するだけに、ブータンでラジオ放送が開始されたのは比較的新しく1973年11月11日のことである。当時のNational Youth Association of Bhutan(NYAB)が300Wのアマチュア用短波送信機を使用して日曜日のみ60分の放送(Radio NYAB)をアマチュアバンドの7040kHzで開始したのが初めである。この放送はその後10kWに増力され、放送時間も強化され、日本 でも受信されたが、受信報告の発行条件が厳しくQSLを獲得した人は極めて少なかった。愛知県の「てんがらもん」、植之原耕治氏は1976年にRadio NYABのカー ドを受け取った数少ないDXerである。
 
 この局は1979年になってブータン通信省の管轄下に入った、その 後も同じ名称での放送が続いたが、1986年になって国営化され、現在の名称であるBhutan Broadcasting  Service(BBS)となった。そして1991年には新たに50kW短波送信機を導入し同時に首都のThimphu市内Chubachに局舎を建立し た。また1992年9月に国王が非国有化の命令を出し、それに従って同局は公共放送となった。周波数はこの頃は現在と同じの6035kHzであり、その後 一時5030kHzとなり、再び6035kHzに戻った。2000年にはDobchulaに初めてFM放送が導入され、以降強化されて2005年までに拠 点都市ではFM放送 が受信できるようになった。2005年春にブータン政府は今後の放送整備はFM放送で行うこととし2005年末に短波放送を廃止する方針を示したが、同年 末になってこの方針は撤回され、新たに100kW短波送信機を導入して短波放送を強化することになった。この裏には1999に開始されたTV放送用の送信 機とともにFM送信機を売り込もうとした(FM送信機を各都市に配置してネットワーク化した方が売上が増大する)欧米送信機メーカー各社の思惑があった と思われる。ブータンは小国だが、山が多くFM放送だけで全土をカバーするのは困難である。短波放送を全廃してしまった国(2008年12月に紹介のモザ ンビークなど)で未だにラジオ放送の全土カバーが出来ていないところが多い事実からしても、短波放送を強化する方針にしたブータン政府の決定は賢明なもの であった。その方針の下インドの援助(8000万ルピー)で2007年8月にDRM対応可能のTHOMSON社 TSW 2100D型100kW短波送信機が海抜2660mのSangaygang送信所に導入され、ブータン国内はもとより海外での受信も念頭にいれた放送が可 能となった。

 現在の放送は毎日09:00-23:30にゾンカ(Dzongkha)語、Sharchop語、Lhotsamkha語、英語で行われており、周波数は 6035kHzである。英語放送は14:00-15:00、17:00-18:00、23:00以降に行われる。また現国王自らが国民に語りかける番組も ある。
 郵便事情が悪く、受信報告に対しては長らくなしのつぶての状態であり、大阪在住のS氏などはついに現地に出掛けて行ってQSLを獲得する(これは結構大 変である)などの苦労が続いていた。しかしBCLに理解のあるDorji Wangchuk氏がTechnical Departmentの送信主幹に赴任して以来、E-mailによるQSLカードの発行が行われるようになった。2008年10月24日に受信報告を郵便 で送付し、一ヶ月後に同氏に郵便による手紙が届いているかどう か訪ねたところ届いていないとの回答があった。そこでE-mailで受信報告を送り直したところ即座に返信があった。受信報告は郵便よりもE-mail で送った方が確実であると思われる。貴重な時間を割いて返信を行ってくれるDorji氏には大いに感謝の意を表するものである。

 受信報告の宛先: Technical Department, Bhutan Broadcasting Service, P.O.Box 101, Thimphu, Bhutan
 E-mail:   dwangk @ gmail.com
 電話: +975 2 323071
 FAX:    +975 2 323073

 URL:   http://www.bbs.com.bt



E-QSLカード 青色の地にロゴが入っている 宛名のみ埋め込み



(左) 2007年8月10日インド大使同席で行われた100kW新短波送信機落成式 (在ブータン・インド大使館のHPより)
(中) Sangaygang送信所の入口に立つ送信所長とその娘達 所長が着ているのは民族衣装のゴ (Thomson Radio News Spring 2007 より)
(右) Sangaygang送信所の建物とアンテナ
(Thomson Radio News Spring 2007 より)
   


(左) ChubachにあるBBSの局舎と日本の援助による放送中継車 (JICA Monthly News Letter Sep 2007 より)
(中) 現在のロゴ: 局員でグラフィックデザイナーのKesang Wangchuk氏によるもので、法螺貝を図案化したもので、仏教の八正道の内、正念(正しい心)と正語(正しい言葉遣い)を表している。法螺貝の口 の部分に配置した「BBS」の文字はニュースや番組が人々に伝わる事の意義を、巻き貝の上に丸く配置したゾンカ文字は電波が人々に届く意義を表している。 正念と正語は放送人でなくとも心がけたいものである。
(右) ゾンカ語の局名
   



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