Radio Dabanga (スーダン向)


 Radio Dabangaはスーダン西部の紛争地域であるDarfur地域に向けて昨年から開始された放送である。昨年11月15日から試験放送、12月1日からは 本放送を開始した。放送主体は亡命スーダン人ジャーナリストと国際的なメディアの共同体であるRadio Darfur Networkで、国際的な人権団体やローカルなNGOからの寄付によって運営されている。番組制作はこの種の放送を他地域向に手掛けているオランダの Press Nowが行っている。送信にはMedia Broadcast社のWertachal送信所とRadio Nederlandのマダガスカル中継局が使用されている。2009年の予算は約200万ユーロである。

 放送対象は同地区に在住するアフリカ系住民、難民キャンプいる難民、世界各地に逃れた難民で、主として同地区に関するニュースや情報である。アラビア語 の他、同地区で話される方言も使用されており、同地区の人々にはほぼ理解可能であるという。
 Darfur地区には昔から民族紛争があったが、21世紀になった2003年以降は特に激化し、アラブ系中心のスーダン政府とアラブ系民兵組織による住 民(アフリカ系、双方ともイスラム教徒)に対する「民族浄化」が組織的に行われ、過去6年間で30万人の住民が殺害されたと言われている(政府発表は1万 人)。その結果大量の 難民が発生したが隣国チャドは難民の流入を拒否しており、60万人いると言われる難民の多くが地域内の難民キャンプで悲惨な生活を送っている。スーダンは これだけだなく南部のアフリカ 系キリスト教住民との紛争(南スーダン紛争)も抱えている。西欧諸国はスーダン政府を非難し、バシール大統領には国際刑事裁判所から大量虐殺容疑で逮捕状 が出るという事態に至っている。しかし中国の支援を受けたスーダン政府は強気で、現在も紛争は続いている。

 A09よりスケジュールが拡張されて現在は次のように放送している。他にWRN経由で衛星放送も行っている。
 13:30-14:30 13800(Dhabbaya) 13840(Madgascar)
 00:30-02:30 11500(Madagascar) 13730(Warthachal)
 日本では昼間の放送が受信できることがある。

 局名に使われているdabangaだが、これはスーダンの民家で穀物の貯蔵用に使用されている粘土製の壷のことで、通常は女性が粘土を塗り重ねて作る、 一つ作るのに10日位かかるという。アラビアの諺に「世界はdabangaにように壊れ易く危険に満ちている、だからゆっくり転がさなければならない」と いう、現地では「世界」を「人生」に置き換えて「人生はdabangaのように丸くて良いことも悪いこともある、だからゆっくりと転がした方が良い」と 「スローライフ」を推奨する意味にも使われるそうだ。また同名の地名の村がDarfur北部にあり、また水源地として有名な同名の井戸が南部に存在すると いう。

 従来QSLは発行していないとされてきたが、3月に当時Madagascarから送信されていた13800kHzを受信し、IRC1枚同封で受信報告を 送ったところ18日後にカードが送られてきた。何のデータも記入されてい ない 「完全不完全ベリ」だが、局本来の目的からすればこういうサービスをしてくれただけでも喜ばしいことである。表面にはラジオを持った子供を描いた 局のロゴが印刷されており、裏面には放送スケジュールが印刷されている。

 3月になっても同局から流れるニュース(最近web上のニュースには英語訳がつけらるようになった)の内容は難民キャンプや村々で今も続く「殺人」、 「誘拐」、「破壊行為」など暗いものばかり(日本も不景気で暗い がレベルが違う)であり、状 況があまり改善されていない事がわかる。しかしこういう生命の危機に関する情報は注意を喚起することになり、難民にとってはまさに「生命線」となる貴重な 放送である。単一民族の日本人には同じ国内で民族紛争が続くという事態は中々理解できず関心も低い(日本政府からは阿部政権の 時代に毛 布等の援助が届けられている)状況だが、現地の悲惨な状況に心を致して見る良いきっかけとなる。短波放送はこういう状況の時に大いに力を発揮して人々の命 を救うのである。局名のdabangaに願いが込められた「ゆっく り転がす」ことが可能な世の中にならないのであろうか。

 受信報告の宛先: Radio Darfur Network,  Press Now,  Witte Kruislaan 55, 1217 AM Hilversum,  Holland

  E-mail: radiodabanga @ yahoo.com

 URL: http://www.radiodabanga.org   (インターネット放送やpodcastもあり)




(左)局のロゴが入ったカード表面 大きさ 148×105mmm  (右)B08スケジュールが印刷されたカード裏面
    



(左)ダバンガ(同局HPより)  (右)Press Now内のスタジオで番組制作中のジャーナリスト(AFP via Google News)
    


Top Page