Haiv Hmoob Radio (米国)

 クリント・イーストウッドの最新作で、最後の主演作(と彼は言っている)である「Gran Torino」という映画がある。自動車産業が廃退したデトロイトに住むフォードを引退した老技術者で朝鮮戦争の英雄でもあるウォルト(クリント・イース ト ウッ ド)が隣に越してきたアジア系移民の少年タオ(ビー・バン)と意を通 じ合うようになるという話である。デビュー作のマカロニウェスタン「荒野の用心棒」では悪人共を全部やっつけてしまったクリント・イスートウッド、最終作 では「捨身 成仏」を遂げるという相変わらずの格好良さを見せるが、この映画の中で出てくるアジア系移民がモン族である。「モン」はベトナム語で、Hmongと書き、 映画の中でも「フモンか?」、「いやモンだよ」というやり取りがある通り、「H」は発音せず「モン」と読む。中国では「苗族」(ミャオ族)と呼ばれ、中国 南部、ベトナム、ラオス、タイに約500万人が分布する民族である。

 500万人いると言われるモン族の内約20万人が現在米国に居住しており、特にミネソタ州のミネアポリス、セントポールには大きなコミュニティが形成さ れている。米 国における日系人の数が14万人であることを考えると少数民族としては異例の多さである。

 最も人口の多い中国では古来漢民族に対して反乱を繰り返したため、次第に南方のインドシナ地域に追い払われ、ラオス・ベトナム・タイで人口が増加した。 1960年代の初めにこの地域の共産ゲリラに手を焼いていた米国政府はモン族の一部を組織して3万人の反共軍を組織させ、当時のラオス王国軍に編入して、 内戦を起 こしていたパテトラオと戦わせた。1975年にベトナム戦争が終結してラオス・ベトナムが社会主義化すると、反共であったモン族は弾圧を受け、一部はタイ に逃れたが、タイでも反 政府ゲリラ活動を行っていたために厄介者として扱われ、帰る場所がなくなってしまった。やむなく米国政府はモン族を難民として受け入れることになり、ミネ ソタ州のミネアポリスとセントポールを中心とした地域に4万人を移住させた。四半世紀以上が経過して米国内で人口が増えて20万人規模の大きなコミュニ ティとなった。そして数年前からは現在も抑圧されている故郷のモン族に対して支援の放送を行うようになった。これに触発されてベトナムのVOVは2006 年に初めてモン語の放送を開始せざるを得なくなった。

 現在いくつかのモン族の放送が短波でインドシナ向に行われているが、Haiv Hmoob Radioもその一つである。「haiv」は「民族」、「人々」と言う意味なので、「Haiv Hmoob Radio」は「モン民族放送」というような意味である。

  当初米国のWRHI局の時間を借りて放送していたが、コストが高いのが問題であった。数年前「月刊短波」を見た他のモン族系放送局からE-mailがあ り、「もっと安く中継してくれる仲介者を知らないか?」と相談された。その時TDPのLudo Maes氏を紹介したが、その後殆どの局が本当にTDPに乗り換えてしまったのには驚いた。まさかそれだけで決めた訳ではないだろうが。
 現在のHaiv Hmoob Radioの放送は他の数局とともに、フロリダ州にある放送インテグレーション企業Alyx-Yeyi Broadcast & Service Solutions社、送信仲介会社TDP社を介して、台湾のVT Communications社送信所より曜日により同じ時間をシェアする形で出ている。
 
 Haiv Hmoob Radioの放送時間は毎週火曜日の10:00-10:30 15260kHz(100kW)である。同じ時間、同じ周波数で、月・水・金はMoj Them Radio、木・日はHmong Lao Radio(10:00-11:00)、土はHmong World Christian Radioが出ている。ビームが正反対になるためか日本でも比較的良く受信できる。番組はモン族の居住地域である中国、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナ ムに向けたもので、音楽、ニュース、モン族のアイデンティティーであるモン語やモン文化の啓蒙を行っている。

  レターにも若干書いてあるがモン族には日本人の祖先は自分たちであると信じている人もいる。呉越の時代に中国を追われたモン族の一部が稲作文化を持って縄 文時代の 日本に到来し日本が弥生時代となったとするものである。日本とは少なからぬ縁のある人々である。

 受信報告の宛先:  1300 Godward Ave., Suite 6900, Minneapolis, MN 55413, U.S.A.
  E-mail: info @ haivhmoobradio.com
  URL:  http://www.haivhmoobradio.com


(左)PFC利用のQSLカード 発行者はAnthony Lee氏 (右)同局のロゴ
    


同封されてきた手紙


(左)モン族の伝統織物Pa Dao (右)テーマ画像(背景は故郷の山か?)
  



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