光華之聲/漢聲廣播電台 
Voice of Guanghua/Han Sheng Broadcasting Corporation (Taiwan) 

 台湾
には台湾国際廣播電台(RTI)の他にも短波放送局が存在する。現在は今回取り上げる漢廣 播電台と復興廣 播電台が短波放送を行っているが、昔は警察、空軍など更に多くの局が短波放送を実施していた。

  
廣播電台が大陸向短波放送を開始したのは比較的新しく2004年3月のことである。送信所は復興廣播電台と同じ觀音送信所である。この短波放送は当時は国内向け放送を中継していたが、次第に大陸向専門放送の色彩を強め英語名「Voice of Han」として24時間放送を行っていたこともあった。現在は名称を「光華之聲」 (英語名Voice of Guanghua)と改め国内向放送とは別系統で行われておりHPや連絡先も別になっている。中国語で「光華」とは「明るい光、輝かしい光」という意味で中華民族の輝かしい栄光と明るい未来を表象した言葉だ。

 
廣播電台の歴史は台湾の放送局では最も早い。成立したのは1942年で、中国大陸において対日戦争を行っていた当時の国民党軍(蒋介石軍)によって南京で開始された「軍中廣播電台」がその起源である。1949年共産党軍(毛沢東軍)に追われて蒋介石軍が台湾に移動すると本拠地を台北に移して「軍中之聲」 となり、台湾全土をカバーするネットワーク(現在FM7波、中波13波で放送)を構築した。1988年に局名を現在の「廣播電台」に改め、2000年には当時の「光華廣播電台」を合併した。現在の大陸向放送の名称もこの「光華」から来ている。

 スローガンは「収聽
聲 品味人生 収聽漢聲 掌握人生」(聲を聴いて人生を味わい聲を聴いて人生を理解する)であり、親子向、国軍兵士向、文化、音楽の各系統でこの精神に貫かれた番組編成となっている。

 中華民国国防部による国軍放送ではあるが、元々国民党軍の放送であり、放送の考え方は台湾独立の民心党よりも当然国民党に近く、「一つの中国」である。 軍隊の局であるため以前は「抗毛救国徹底抗戦」の姿勢であったが、現在は 「両岸和平合作」という姿勢に転換している。

 
「光華之聲」の位置付けは「両 岸和平推廣中心」であり、パーソナリティが両岸のニュース・話題、音楽などを伝える比較的ソフトな内容となっている。国民党軍起源の両岸和平推廣中心」であるためか短波放送開始以来中国はこの放送にはジャミングをかけていない。大陸側から放送されている「海峡之声」(人民解放軍福建軍区の放送)が「光華之聲」に対応しているが、こちらにもジャミングはかけられていないし、番組内容もソフトなものである。中国古来の儒教的伝統は大陸よりも台湾で保たれているため、廣播電台」の放送は拝金主義など資本主義化の弊害に悩む大陸側にもむしろ良い影響があると見られているのかも知れない。

 中華民国軍は常時兵力30万人(予備役165万人)、対する中国側は第二砲兵隊だけで約10万人が福建省に配備されており、他の部隊も含めると人民解放 軍全体の常時兵 力224万人の5%以上が福建省に存在し、比較的狭い両岸で多数の軍隊が厳しく対峙している。軍隊にとって兵力や兵器は多い方が良い、つまり予算が多くつ いた方が良い。平和が訪れて防衛 の必要が少なくなると予算も削減されるので、相手側もある程度兵力を増強してくれて適度の緊張状態があり、しかも極力戦争は起こさない方が良い。一発触発 と言われ た台湾海峡であるが放送の上から見ると微妙な和合も感じられるのである。

 「
聲」 の名称であった時は兵器の写真を並べた勇ましいQSLカードを発行していたが、和平ムードには合わないためか、「光華之聲」になってからはついに世界初の「ジグゾーパズル型 QSL」を発行した。これは3枚一組で組み合わせると台湾の形になる超娯楽作で、一通の受信報告に対しても発行される。大陸側でもQSLが珍しいので聴く (中国 の都市で短波放送を聞く人は日本と同じくBCL趣味の人が大半となりつつあるようだ)人も多く、コレクターズアイテムとなっている。掲載のものは2009年8月の受信報告に対して発行されたもの。受信データは記入されていなかったので自分で記入した。

 参考までに2002年に現地受信で取得した廣播電台の国内向QSL(PFC)も掲載する。台湾では1911年の辛亥革命を0年とする中華民国暦が使用されており、今年 2010年は民国99年となる。

 現在の「光華之聲」 の公式スケジュールは16:55-09:05、短波は9745kHz(公式スケジュールには6105kHzも記載されているが聞こえていない)、中波は 711、801、846、 981kHzである。出力はすべて250kW、日本では9745kHzが非常に良好である。光華之聲の宛先は2010年版WRTH掲載のものと異なっているので注意すること。

 受信報告の宛先:
  廣 電台 中華民國 100 台北市信義路一段三號五樓B棟
  光華之聲 中華民國 台北郵政信箱1700號
 URL:
  廣播電台 http://www.voh.com.tw/
  
光華之聲 http://www.khmusic.com.tw/
 E-mail :
  廣播電台  上記のURL上から送付できる
  光華之聲 lili329 @ ms45.hinet.net



(左)光華之聲 觀音送信所 
(右)胡錦涛と馬英九の言葉が掲載された光華之聲 のHP  
  


(左)光華之聲 のジグゾーQSLの表全体 台湾の地図に観光地の写真となる 全体は3片
(右)
光華之聲 のジグゾーQSLの裏面(中央部の一片) 英語と中国語 
  

(左)漢廣播電台台北本局の建物
(右)廣播電台のロゴ付ブックマーク 下には「光華之聲」と書いてある
  


廣播電台のPFC利用QSLカード(2002年)
  



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