Radio Fana (エチオピア)

 Radio Fanaはエチオピアの現在の与党EPRDFの私的放送局で民間放送局として免許を得ている特異な局である。この局の背景には20世紀末の複雑なエチオピ アの政情が絡んでいる。
エチオピアでは1975年にハイレ王朝(それまでは「エチオピア帝国」であった)を倒した軍事政権下で社会主義化が推進され、1987年には「エチオピア 人民民主共和国」の樹立が宣言され、エチオピ ア労働者党による一党独裁の社会主義国となった。社会主義体制に反旗を翻したのがティグレ、オガデン、エリトレア地方の反政府勢力で、1980年代半ば からVoice of the Ethiopian People for Peace, Democracy and Freedom、Voice of the Broad Oromo Masses等の反政府放送を開始し、ゲリラ活動を行っていた。欧州で社会主義国家が崩壊した後の1991年、ティグレ人を中心とした「エチオピア人民革 命民主戦線」(Ethiopian People's Revolutionary Democratic Front: EPRDF)がついに社会主義政権を駆逐し、1995年に「エチオピア連邦民主共和国」として非社会主義化を宣言、EPRDFが最大与党となり今日に至っ てい る。社会主義政権打倒に協力して戦ったエリトレアは1993年にエチオピアから離脱独立し現在も相互の軍事衝突や電波戦争が続いている。

 EPDRFが政権を奪取した後、当時放送していた前記2局の反政府秘密放送局を統合して1994年11月7日に新たに設立されたのがRadio Fanaである。「fana」とはアムハリ語で「たいまつ(松明)」を意味する。政府側の国営局として当時もRadio Ethiopiaがあったが、過去の政府の影響が強い国営局に対抗して新たに政権についたEPRDFが独自メディアで国民に働きかけたという意味合いが強 い。1994年発足時は合資会社の形態をとった政党の私的放送局であったが、2006年にエチオピア最初の商業放送局としての免許を取得し、2007年3 月10日には同国最初のコマーシャルFM放送も開始した。エチオピアには首都Addis Ababaにさえ民間局は3局しかなく、1日18時間放送している同局は地元で人気を博しているという。

 与党の局であるため(政権が変われば寝返る可能性のある)国営Radio Ethiopiaよりも優遇されているようで、短波・中波・FMの国内ネットワーク局が56局に達している。昨年には開局15周年を迎え盛大な式典を実 施、それを機に会社名をRadio Fana Broadcast Company(RBC)と改めエチオピア国内でのナショナルメディアとしての地位を確立することになった。現在Addis Ababa、Jimma、Gondarに放送局がありアムハリ語、オロミファ語、ソマリ語、アファール語で1日252時間のラジオ放送を行っているが、今 後TV放送も計画して いるという。また首都Addis Ababaに限られていたFM放送を国内各地に開局予定でエチオピア東部のMekele、 Dessie、Kersaに設置することが決定しているほか、Shashemene にも将来設置する計画である。
 従来局舎としてハイレ王朝の旧王宮を使用していたが、今年の2月1日にはフランスのNATIA社によるデジタル化スタジオ設備を備えた11階建ての新 社 屋「Media Complex」が20ヶ月の歳月と6500万ブル(約9億円)の費用をかけてAddis Ababaの北東の郊外国道1号線沿いLege T'afoに完成し移転を行った。

 エチオピアは国土が広いため全国をカバーするラジオ放送には短波が重視され、開局当初から同局も短波放送を実施しており、出力も大きく日本でも深夜比較 的良好に受信 され た。またアフリカ諸国の中では郵便事情が比較的良好な上、局の資金も潤沢なためQSLカード発行などサービスも良い。最近ではweb上での放送やニュース 提供も行っている。
   掲げたQSLカードは2005年に獲得したもので、表裏共緑色の有名な「グリーンカード」である。受信報告は英語で良い。

 現在短波放送は6110、7210、6890kHzのどれか一波で12:00-06:00にアムハリ語、オロモ語、ソマリ語、アファール語の 4ヵ国語で行われている。この原稿を書いている時点では6890kHzが報告されている。出力は100kW、送信所はAddis Ababaの南方で国道9号線沿いのGeja Deraにある。

 受信報告の宛先:   P.O.Box 30702, Addis Ababa, Ethiopia

 E-mail:  rfana @ radiofana.com

  FAX:  +251 11 5515039

 URL:  http://www.radiofana.com

 
2005年に6340kHzで受信した際のQSLカード
(左)当時の公式周波数6210、6940、1080kHzが記載されている 中波以外は当時から変動していた ロゴマークの中身は正に「たいまつ」、住 所(当時)は「スウェーデン大使館 前の黒獅子病院近く」となっている!
       大きさ 120×98mm
(右)裏面も表面と同じ緑色である サインはGeneral ManagerのWoldu Yemessel氏

    




(左)送られてきた封筒の一部 局の住所印とアビシニア高原に特有の鳥Golden Backed Woodpecker(ズアカミユビゲラ)、角牛の仲間メネリクス・ブッシュバック(メネリクスはエチオピア初代皇帝の名前)の切手
(右)Radio Fanaの局印 Archive and Record Serviceとなっている
 


  

(左)Radio Fanaの新社屋「Meida Complex」
(中)2009年秋の開局15周年記念の「fana」(たいまつ)
(右)新社屋の落成式
    



(左)Radio Fanaのロゴ
(右)FM放送のロゴ Addis Ababaで98.1MHzにて放送している
    



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