IBB Kuwait Transmitting Station (クウェート)

 米国IBB(International Broadcasting Bureau)の各中継局は担当者や局長の判断で独自にQSLを発行することがあるが、Kuwait中継局もその一つである。Kuwait中継局は現在米 国の最も重要な送信拠点となっており、他の送信所が縮小される中で唯一現在も増強が続けられている。中東の中心部分にあり中東向放送拠点として最適である だけでなく、1年中乾燥した気候で湿度を嫌う送信施設のメンテナンス上も非常に有利であるというのがその理由である。
 米国は現在のIBBの前身であるUSIA(United Stated Information Agency)の時代である1980年代から中東向送信拠点としてKuwaitに目をつけていたが、実現せずギリシアのKavala、スリランカの Iranawila中継局に頼っていた。しかし1990-1991年の第一次湾岸戦争でイラクに占領されたクウェートを米国中心の多国籍軍が開放したのを 期にクウェート政府は米国政府の要求を受け入れ、1993年首都Al Kuwaitからクウェート湾を隔てて北西に約40km離れた砂漠の中に中波中継局が設置された。これが現在のKuwait中継局 で、当時は600kWの中波送信機1基(予備用に50kW機も1基設置)で、1548kHzにてVOAの英語、アラビア語、ペルシャ語放送をイラン、イラ ク向に中継していた。この体制はその後11年間継続された。アフガン戦争開始時に1548kHzでRadio Free Afghansistanの中継を行ったり、イラク向秘密放送を50kW予備送信機から1570kHzで出したことがあった。
 その後第二次湾岸戦争開始前後より中波送信機の増備、短波送信機の新設が行われた。Kuwait中継局から初めて短波が出たのは2004年7月19日 で、短波では専らVOAのアフガニスタン向放送(英語、パシュトン語、ダリ語)と Radio Free Afghanistan(パシュトン語、ダリ語)が出ていた。この年筆者はイランのTeheranで1395kHz(150kW)の放送を聴いたことがあ るが、昼間でも良好に受信できた。
 その後も短波(廃止されたギリシアKavala送信所から移設)・FM・TVの送信施設の増備が続けられ、Middle East Broadcasting Network(TV)、Radio Sawa、Radio Farda、RFE/RL(Radio Azadi、Radio Mashaal)、Radio Free Asia、VOAのRadio Ashna、Radio Aap Ki Dunyaaなどの中継も行われるようになった。最新型のALLISSアンテナ(6-26MHz間で自由に電波が発射できる回転式アンテナ)も設置され た。 2009年9月現在の規模は人員数29名(内米国公務員は3名)、設備は中波送信機3基(600kW、150kW、50kW)、短波送信機4基 (250kW)、設備の評価価格は3,100万ドル、年間運営経費1.300万ドルの大送信所になっている。またFM送信アンテナを首都Al Kuwaitの超高層ビルLiberty Towerの屋上に設置してRadio Sawa(95.7MHz)とVOA英語(96.9MHz)を24時間中継放送している。
 更に現在新型600kW中波送信機1基(これだけで520万ドルする!)、250kW短波送信機2基、新型回転アンテナを建設中である。なお Kuwait中継局の設置作業は初期から米国イリノイ州に本拠地を置くHanson社が担当している。
  QSLは短波放送開始直後の2004年7月31日の受信報告に対するものである。当時は盛んに受信報告を募集していた。A4版の用紙にコンピューターで出 力した手作りのものだが、クウェートタワー、グランドモスク、ナツメヤシをペルシャ湾側から見た景色を図案化したもので風情が感じられる。ナツメヤシの茂 る海岸など涼しげに見えるが実際には海岸でも摂氏40-50度の灼熱地獄である。最近は担当者の交代でQSLの発行がなくなったらしいが、更に交代すれば 復活する可能性はある。

  受信報告の宛先: c/o American Embassy, P.O.Box 77, Safat, 13001 Kuwait



(右)コンピュータ制作のQSLレター 発行者は当時のTransmitter Plant SupervisorのGeroge Milller氏 大きさはA4版
(中)QSLに描かれているクウェートタワーとナツメヤシ(Wikipediaより)
(左)QSLに描かれているGrand Mosque(Wikipediaより)

     


(左)Kuwait中継局全景 上部にアンテナ群が見える (右)建設中の送信アンテナ (何れのHanson社のHPより)

   


TopPage