Trans World Radio - Africa (スワジランド/南アフリカ)

 Trans World Radio - Africa(TWR-Africa)は米国に本拠地を置き、世界各地でキリスト教伝導放送を行っているTrans World Radioのアフリカ地域を統括する局である。Trans World Radioは1954年にモロッコのTangerから短波放送を開始し、その後1960年に欧州のMonte Carloに送信拠点を移して短波放送を行っていた。1960年代後半になりアフリカ中部以南を効率的にカバーする送信所が必要となり、1968年に当時 南アフリカの保護国であったスワジランド王国をその候補地と決定した。そして当時の南アフリカ政府を通じてスワジランド政府と交渉して、短波放送の免許と 短波 送信所の建設許可を得た。1973年よりスワジランドの都市Manziniの東に当たるMpangela Ranchに30エーカーの送信所用地を獲得して建設に着手した、この時Manziniと結ぶ道路や橋も自力で建設した。そして1974年11月1日に初 めて新しい送信所からの短波送信が開始された。

 ニューヨーク在住の篤志家が自分で所有していたGeneral Electric社製XT-2A型25kW短波送信機2台を寄贈してくれたので、これをスワジランドに送り、1974年11月1日より短波放送を開始し た。翌年の1975年10月には更にXT-2A型送信機2台を増設し25kW送信機4台の体制となった。そして1979年にはドイツより Continental社製481D-1型100kW短波送信機が届けられたため、新たに290フィートのカーテンアンテナを建設、初めて100kW送信 を開始し、電波は中央アフリカ、東アフリカ地域にも強力に届くようになっただけでなく、この送信機で遠く中国やインド。パキスタン向放送も可能となった (現在はパキスタン向放送を実施)。 1981年には地元向放送用に50kW中波送信機を初めて導入、この中波放送はスワジランドだけでなく隣国のマラウィやザンビアでも良好に受信でき、この 時カバー人口は短波放送と合わせて7000万人に達した。更に1985年には新型のZigzag Log Periodicアンテナを導入、23言語31ヵ国向に放送し、カバー人口は3億5000万人に増大した。その後1994年に更にContinental 社製417B型50kW短波送信機を購入、また1992年と1999年には米国のHCJB Global Technology Centerで製作されたHC100型100kW短波送信機も増備した。最近 は2008年に更にHC100型の納入を受け、1979年設置の481D-1型を置き換えた。2010年12月現在は100kW短波送信機3台、50kW 短波送信機1台、50kW中波送信機1台の構成で放送している。置き換えられた481D-1型送信機はHCJB Global Technology Centerに送られ現在修理・再生中で新たな50kW送信機として2011年初頭には納入され稼働する予定である。なお国内向にはこの他に3つのFM波 で放送中である。

 スタジオは開局以来TWR-SwazilandとしてManziniに置かれていたが、2000年にはアフリカ中央局を南アフリカに設置して集中管理す ることが計画され、南アフリカのKempton Parkに「TWR-Africa放送センター」を建設することになり、2002年1月に本部をこちらに移転させ、TWR-Africa(TWR Africa Regional Office)と称することに なった。現在放送番組はTWR-Africaで制作され、衛星回線でスワジランドのManzin送信所に送られている。主要国にはTWR- Zimbabuwe、 TWR-Zambia、TWR-Angola等の支局が配置され(TWR-Swazilandも現在は支局の一つ)、支局制作の番組もSwaziland の送信所より放送されて いる。また中波、FMにも力を入れておりBeninには新たな高出力中波送信所を建設した。

 2010年現在アフリカ外のパキスタンを含む36ヵ国に向けて56の言語で幅広く放送している。アフリカには教育が遅れたり、衛生状態の悪い地域も多い ため、宗教番組だけでなく、教育番組、女性向人権番組、HIV/AIDS予防のための番組などを放送している。

 送信所が日本に2ステップで電波が伝わりやすい位置にあることと、出力が大きいこと、送信機やアンテナの整備が行き届いていることから日本で 受信し易い局である。特に60mbの放送は午前零時以前でも受信できることがあり、隣の南アフリカMeyerton送信所と並びアフリカ入門局として人気 がある。

  上部に示すしたのは1977年に4790kHzを受信した時にTWR-Swazilandから送られてきたQSLフォルダー(2折り)カードで、開局初回 発行カードである。開局当時のManzini送信所の鉄塔をバックに伝統的スタイルの元部族と実にアフリカ的なカードである。厚紙に2色刷りの良質な QSLカードである。
 下部に示したのは33年後の2010年に4760kHzを受信した時のもので、TWR-Africaから送られてきた。Manzini送信所のカーテン アンテナに日が沈む情景を描いている。こちらの方は普通の紙にPCで出力したものを糊で貼り合わせた手製のものであり、開局当時の方が立派なQSLカード を制作・発行していた。
 なお受信報告には船便でIRC1枚、航空便で2〜3枚のIRCを同封する必要がある。

 受信報告の宛先:  本部 P.O. Box 4232, Kempton Park, 1620 South Africa
              送信所 P.O.Box 64, Manzini, Swaziland

 E-mail:  info @ twrafrica.org

 URL:  http://www.twrafrica.org

(上)1977年にTWR-Swadzilandから送られてきた当初のQSLカード(2つ折り)の表面  大きさ 221×136mm
(下)同 裏面 アフリカにおけるスワジランドの位置、スワジランドにおける送信所の位置がよく分かる






(左)TWR-Africaから2010年に送られてきた手製QSLカードの表面 大きさ 154×107mm
(右)同 裏面 ロゴはTWR-Africaだが、発行局名はTWR-Swazilandとなっている 但し南アフリカから送られてきた

  


(左)Swaziland送信所短波放送の主要カバー範囲 (中左)TWR-Africa本部のスタッフ (中右)エリトレアでTWR- Africaを聴く家族 (右)Manzini送信所
(何れもTWR-Africa発行の出版物より)
    


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