Radio Rebelde (キューバ)

 キューバというとRadio Habana Cubaが代表的であるが、キューバにはもう一つの短波局Radio Rebeldeが存在する。こちらは国内向であるが、歴史はRadio Habana Cubaよりも古いのである。Radio Rebelde(「反乱放送」という意味)が初めて放送を開始したのは1958年2月24日で、当時のバチスタ政権打倒のためにキューバ東部Sierra Maestraの山中でゲリラ活動を行っていたチェ・ゲバラ(Che Guevara)がAltos de ConradoからCollins社製32-V-2送信機(出力120W)によって開始した秘密放送がその初めであった。当初の放送時間は約20分で、バ チスタ政権軍と戦闘状態の情報を伝えた。送信拠点はその後転々と動いたが、同年5月1日にはフィデロ・カストロの拠点であったLa Plataに移り、バチスタ政権の崩壊が確実になった同年末には24時間放送を実施するまでになった。1959年1月1日に政権を奪取したカストロは国民 への伝達手段としてRadio Rebeldeを活用するようになった。この時点で同様の秘密局は32局存在したが、放送内容も似通っていたため、同局を中心に「Cadena de la Libertadと いうネットワークを形成した。当時のRebeldeは5045、11740、 21740kHz、出力1kWで放送していた。以降同局はキューバ革命ゆかりの局として現在に至るまで特別 な地位にあり、反乱側が政権を取った後もそのままの名称になっている。
 1962年に国際放送局Radio Habana Cubaが誕生するとRadio Rebeldeは一時短波放送を中断したが、1985年頃には再開して不規則ながらQSLカードも発行されるようになった。

 現在は274名のスタッフを要するICRT(Instituto Cubano de Radio y Televisión)配下の全国放送局であり、娯楽から報道等多彩な番組をキューバ全土に流している。中波が中心でキューバ全土に44の中継局を持ち 98%をカバーしている他、短波の5025kHz(Bauta送信所、出力50kW)、FM4波で放送する他、インターネットでもストリーミング及び podcastで聴取でき る。国内局で短波の使用が認められているのは同局のみである。短波は以前はもっと多くの波を使用していたが、現在は5025kHzに絞られた。但し海外で の受信が意識されており、送信アンテナの打ち上げ角は遠方に届くように低く設定されているという。
 
 短波を使用しているため国内向ながら海外でも広く受信されている。但し返信には大変ムラがあった。一時Radio Habana CubaのAnnie Coro氏がQSLマネージャーを勤めていたこともある。以前はマンガ的図柄の黄色いQSLカードを発行していたが、キューバでは郵便事情が極端に悪く、 受け取るの は至難のワザであった。これを打開するためかE-mailによる受信報告をweb上で奨励するようになり、QSLもE-QSLとして発行されるようになっ た。その結果返信率が大幅に向上している。但し受信報告はスペイン語で書く方が良い。

 親米バチスタ政権を打倒したため1961年以来米国とは国交断絶状態にあり、筋金入りの反米国家であるが、日本との関係は良くメキシコと並ぶ 中米の親日 国である(反米親日という意味ではイランと似ている)。日本から渡航(米国からは行けないのでカナダかメキシコを経由する)する場合はビザも免除されてい る。


 受信報告の宛先:  23 # 258 % L y M. Vedado, Plaza de la Revolución Habana, Cuba CP. 10400 
                              または Apartado 6277, Habana 6, Cuba CP.10600
 E-mail:  web @ radiorebelde.icrt.cu
 FAX: +537 33 4270
 URL: http://www.radiorebelde.cu (英語ページもあり)



(左)放送開始当時の送信機とチェ・ゲバラ(同局放送開始50周年記念ビデオより)
(中)2008年に発行されたRadio Rebelde放送開始50周年記念切手
(右)フィデロ・カストロが描かれた現在の局ロゴ(周波数はFM)
        



チェ・ゲバラ(上記の記念切手とほぼ同じショット)の写真を掲載したE-QSL 氏名と住所を記入してくれているが、受信月日・周波数等のデータの記入はない 
"Club DX"はAnnie Coro氏がRadio Habana Cubaで行っているDX番組の名称なのでこのカードも氏の企画によるものであることが推測される
「Al ritmo de la vida」は「生活のリズムを刻む」というような意味





Top Page