Radio Martí (米国)

 Radio Martíは米国のキューバ向スペイン語宣伝放送であり、「キューバ国民に客観的なニュースや情報を提供することで自由と民主主義を増進する」ことが目的である。1959年のキューバ革命でキューバに社会主義政権が出来たことを危惧した米国政府が当初CIAによる謀略放送としてRadio SwanとLa Voz de Fundaciónを立ち上げてキューバ向に放送した。この状態が20年近く続いたが、1981年に当時のレーガン政権がキューバ向にもRFE/RLのような放送組織を作り強力に放送するように命令し、翌1982年にそのための準備予算が認められた。こうしてキューバ向放送の再編成が行われ、 1985年5月20日にフロリダ州MarathonのVOA送信所(当時)より中波の1160kHzで始めて電波を出したのがRadio Martíである。「Martí」とい名称は19世紀のキューバ独立の父Jóse Martí(1892年米国とともにキューバ独立のためにスペイン軍に挑み戦死)にちなんでつけられた。「社会主義からの再独立」、「米国の親友」というような意味合いが込められている。ただし発足後はレーガン大統領が目指した宣伝放送ではなくVOAの配下に入り、公平でバランスのとれた報道を行う方針で放送が行われ、キューバからの脱出者とのインタビュー等キューバのメディアが伝えない内容の放送を中心に番組が組まれた。そのためキューバのジャーナリストや知識人にも影響を与えたようで、その証拠にキューバ政府はこの時期同局のことを口を極めて罵っていた。その勢いに乗って1990年にはTV Martíの放送も開始され、有名なCommand Solo機による空中送信も行われた。日本の中南米局マニアの中にもこの局で流される音楽のファンも存在した。

 1993年のクリントン政権の時に、VOAの配下から外れて新組織Office of Cuban Broadcastingの配下に入った。この時からVOAの「公平」さよりも宣伝放送としての色彩がより強くなったが、そのために聴取者を失うことになった。

 Marathon送信所からは中波の1180kHzで、短波放送はDelanoとGreenville送信所から行われ、特にDelanoからの放送は日本でも良く受信された。Delano送信所が廃止された後は、Greenville送信所のみが使用されていたが、同送信所の廃止がとりざたされるようになった後はカナダのSackville送信所中継も併用している。

 RFE/RLとは異なり冷戦後の特権的に予算がつけられ、136人のスタッフ、年間3050万ドルの予算(2010年現在)を維持しているが、 2009年2月Broadcasting Board of Governors(BBG)はRadio Martíのキューバでの聴取率は1%以下という衝撃的な報告を公表した。以降議会を中心に「放送の効果がない」、「無駄遣い」として廃止論議が高まりを見せた。局側は批判を「素人のたわごと」としてはねつけているが、VOA等の予算が大幅に削減される中、今年になっても廃止論議が高まっており予 断を許さない状況である。キューバは経済的には苦しい状況にあるが、のんびりとした国民性で国民の感じる幸福度では超競争社会の米国を大きく上回ったといわれている。

 Radio Martíはキューバのみをターゲットとした放送なのでそれ以外の地域からの受信報告には反応しないのが原則としているが、1990年代初めまではサービスとしてJóse Martíが描かれたQSLカード(裏面は英語)が発行されていた。その後はQSLカードの発行は途絶え、2005年に来た手紙では「QSLの発行を準備中、出来上がったらすぐ送る」とのことであったが、中南米局(?)の常として何の音沙汰もなかった。廃止論議が高まった今年になってGreenville送信の放送を受信し今度は試しにスペイン語で受信報告を送って見たところ、スペイン語で印刷されたQSLカードが送られてきた。1ドル紙幣を同封したが返送されて来た。廃止の予兆から急いで発行したのかも知れない。

 受信報告の宛先:  4201 NW 77th Avenue, Miami, FL 33166, U.S.A. または P.O. Box 521868, Miami, Florida 33152-9998, U.S.A.

  URL: http://www.martinoticias.com (スペイン語)


文面がスペイン語で書かれたQSLカード
  大きさ 139×89mm
    

(左)2005年に受け取った手紙  (右)1990年代初め発行のJóse MartíのQSLカード
   


(左)OCBのMiami本部  (右)Radio Martíのロゴ
   


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