AWR-Sri Lanka (スリランカ)

 Adventist World Radio(AWR)にはEurope、Asia/Pacific、Africa、Americasの4放送拠点があるが、AWR-Sri Lankaという放送局が現在存在する訳ではない、スリランカ送信のAWRという意味である。AWRの米国内での放送は1923年ミシガン州で開始さ れ、その後1930年代に「Voice of Prophecy」(予言の声)という一般向伝道番組を制作するに至った。1971年に現在のAdventist World Radioが組織され、現在は日本語を含め世界各国語で放送している。「Voice of Prophecy」の時代に短波による海外放送を初めて開 始した放送拠点が実はスリランカ(当時はセイロン)であった。従ってスリランカはAWRの「短波放送発祥の地」としての重要さがある。

  1950年10月1日の現地時間08:30に当時のRadio Ceylonの「商業サービス」の時間を借りて「Voice of Prophecy」の名称で短波放送を開始したのが現在のAWR海外向放送の始まりであった。Radio Ceylonの短波送信所はColomboの北方に位置するEkalaで100kW及び7.5kWの送信機が使用されていた。仏教国スリランカでキリスト 教の番組がラジオから流れたのもこれが最初であった。その後Radio CeylonはSri Lanka Broadcasting Corporation(SLBC)となり、「Voice of Prophecy」も改組されてAWR-Sri Lanka、後日にAWR-Southen Asiaとなったが、SLBCのEkala送信所からの放送は1988年まで継続された。この間最初のDX番組である「Radio Monitors International」の放送がAdrian Peterson氏により1975年6月1日に開始された。この番組は当初はSLBCのTorrington Squareスタジオで制作され、1975年末からはインドのPoonaにあったAWR-Southern Asiaで制作された。世界のDXerに間で好評を博し、100ヵ国以上のリスナーから手紙が来たという。Peterson氏は「Radio Monitors International」の受信に対して最初から独自のQSLカードを当時発行していた、更に後にはDXerの間で「Green Card」として珍重されたAWR-Southern Asiaのカードも合わせて発行されるようになった。
 1988年にAWR-Asiaが新たに発足し、更にGuamに独自の短波局KSDAが完成して、AWRのアジア向放送はすべてKSDAから送信されるこ と になったためスリランカからの送信は同年を以終了した。「Radio Monitos International」もこの時に新しいDX番組「Wavescan」に改名し、同じくAdrian Peterson氏により制作が継続されている。現在は米国MiamiにあるWRMIのスタジオで制作されている。

 AWRはアジア向短波放送を今後も維持強化する方針で、2012年3月に一部の送信を中止してKSDAの第1及び第2カーテンアンテナのメンテナンス工 事を開始し、更に第3カーテンアネナを新設する工事に入った。その代替措置としてDWの撤退で手持ち無沙汰になっているTrincomalee送信所に着 目し、3月25日より6月末の3ヶ月間に限り34年振りにSri Lankaからの送信を復活させることになった。Peterson氏はこれを記念してこの期間のTrincomalee送信所からのAWRに関する受信報 告に対して特別QSLを発行した。
 Trincomalee送信所はDuetche Welle(DW)のアジア向送信拠点として1984年に北東部の海岸に位置するTrincomalee近郊のPerkaraに建設された新しい短波送信 所である。 現在1980年代製の250kW送信機が1台、300kW送信機2台、1999年製の300kW送信機1台を有しスリランカではIBBの Irawanila送信所に次ぐ大規模送信所である。しかしDWの放送大幅削減で不要となりDWは同送信所を廃棄したい意向である。Ekala送信所の設 備が老朽化(それでも1992年日本の国際電気製300kW送信機2基があるが)しているため、SLBCが譲り受けるのではという話もある。

 今回発行された記念QSLカードと1985年に取得した「Radio Monitor International」のQSLカード及び同時に発行されたAWR-Southern Asiaの「Green Card」をここでは掲載する。
 カードを見ると判るように、すべてAdrian Petersen氏発行である。同氏はオーストラリアの南オーストラリア州に生まれ幼少の頃から手作りラジオでDXを行っていた。高校を出た後働いて いたが、両親がAWRの母体であるSeventh-Day Adventist Churchに入信したため、自分も入信し、仕事を辞めて大学に進学した。大学在学中にSeventh-Day Adventist Churchの放送要員としてスカウトされ、AWR組織作成の準備作業として各国国際放送のモニター業務についていた。1971年にAWRが組織された 後、スリランカではAWR-Sri LankaがSLBCの枠で放送を行っていたが、スリランカ政府はAWRに対して自国内で独自の番組を制作することを要求した。AWRはPeterson 氏にスリランカ担当を命じ、氏が発案したのがDX番組をスリランカ国内で制作することであった。こうして1975年に誕生したのが「Radio Monitor International」であった。AWR-Sri LankaはインドのPoonaに本拠地を置くAWR-South Asiaに再編されたため一時インドで活動した。その後家族とともに当時AWR本部のあった米国のインディアナ州に居を移し、AWR本部の国際関係とDX 番組 「Wavescan」の責任者として現在に至っている。

 BCLを行っているとこのようなイベントQSLに遭遇することも多々あり、何か歴史に参加している感じがして、これもBCLの深淵なる楽しさの一つと言 える。このような機会を設けてくれたAdrian Peterson氏に改めて感謝したいと思う。

 Trincomalee中継は6月末で終了の予定であったが、KSDA局の工事の遅れで7月初旬現在続行されている。6月中に聞き逃がした人 は今からでも遅くないので受信報告(IRC同封必要)を送って見て欲しい。 日本では夜の中国、南アジア、東南アジア向が聞きやすいので、月刊短波7月号の情報を参考に受信して欲しい。


 受信報告の宛先: Advetist World Radio, International Relations, Box 29235, Indianapolis, Indiana 46229, U.S.A.   (本局のアドレスとは異なる)

 英語のURL:  http://www.awr.org/en



(左)2012年AWR Sri Lanka中継復活記念QSLカード 表面 左下にEkala送信所の写真、右上にAWR-Southern Asiaの「GreenCard」、右下にRadio Monitors InternationalのQSLカード(Adrian Peterson氏が自分宛に発行したもので通算番号811番!)が配されている 大きさ154×102mm
(右)同上 裏面 右上にAWR-Sri Lankaのシール(昔の図案にラッパあしらった現在のAWRのマークが入っている)が貼ってある 発行者はAdrian Peterson氏 記入も自筆 出力は125kWと最大出力を抑えて送信していることがわかる

     



(左)Radio Monitors International(DX番組)に対する受信証 1985年なので通算番号は12659番となっている、「SLBCによって放送されたRadio Monitors International」と書いてある デザインは上記カードに掲載のものと似てはいるがかなり異なる(マークの図柄・位置、受信データ記入欄、見出 しの字体、下部の「QSL」の文字配置など) 大きさ158×94mm
(右)上記カードの裏面 番組の経緯が記述されている

    


(左)1985年に同時獲得したAWR-Southern Asiaaの「Green Card」 表面  「AWR SOUTHERN ASIA VIA SLBC COLOMBO」となっている 上記カードに掲載のものと同じデザインでスリランカから世界に呼びかけているが、日本は載っていない  大きさ148×98mm
(右)同 裏面 名称は「ADVENTIST WORLD RADIO IN SOUTHERN ASIA」となっている 米国のAdrian Peterson氏(当時AWR-Southern Asiaの局長)から発行されている 氏の筆跡は27年経っても変わらない!

        


Adrian Peterson氏近影(AWRのHPより)




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