FM東京/FM東海
(FM Tokyo/FM Tokai, Japan)




 今回はかなり久しぶりに国内FM局である。しかも超代表的なFM民放である。FM東京(正式名称、現在放送では「Tokyo FM」とアナウンスしている)はかってはNHK-FMと並び東京に2つしかなかったFM放送局の一つである。
 局の正式開局は1970年4月26日であるが、設立時にそれまであったFM局「FM東海」を吸収しているので実際の発足はもっと古い。日本最古の民間 FM放送局である「FM東海」が東京に開局したのは1958年12月であった。これは最古のFM局であるNHK東京FM放送の開局の1年後であった。「東 海」の名称がついているのは東海大学の実用化試験・実験局であったためで、教育普及のための放送であった。現在と異なり当時は大学が放送局を持つ気運が高 まっており、教育手段として当時の文部省の補助金を活用していち早く東海大学が放送免許を取得したのである。開局当初は86.5MHzで放送していたが翌 年10月には84.5MHzに周波数を変更し以後FM東京の開局までこの周波数で放送した。この当時FM放送が2つ聞こえる都市は日本では東京だけであっ た。送信出力は1kW、送信所は東海大学代々木キャンパスの2号館の屋上(現在も存在する)であった。コールサインは2つあり、実験局としてのコール JS2AOと実用化試験局としてのコールJS2Hで、後者では広告放送も認められていた。FMの音質の良さを生かした音楽放送にも力を入れ1963年6月 にはNHK FMに6ヵ月先だって日本最初のFMステレオ放送を実施した。1967年には現在まで続いている日本航空提供の「JET STREAM」(初代パーソナリティは故 城達也氏)が開始された。
 開局10年後の1968年当時の郵政省は免許更新を拒否した、現在の「放送大学」の構想が浮上し私立大学による教育放送は不要と判断されたためである。 FM東海側は当時通信教育番組として放送していた「望星高校講座」を理由に公共性を主張、約1ヶ月間ステレオ実験局の免許のみで放送を継続するという変則 事態となった。その後免許は小刻みに更新された。そしてついに1970年4月25日で放送を廃止し、「望星高校講座」や「JET STREAM」等の番組は翌日80.0MHzで開局したFM東京に継承された。
 当時のFM東海の電波は微弱で東京郊外ではなかなか良好に受信できず、3〜5素子程度の大型FMアンテナが必須であった。FMチューナーも高価であり、 筆者はトリオF-1Kというチューナーコイルパック(FMフロントエンドと10.7MHz用IFT3本がセットになったもの)を購入して自作FMチュー ナーを組み立て(同調はバーニアダイヤル、Sメータを振らして喜んでいた!)、これを自作6ZP1(ST管といわれた旧式大型真空管)アンプにつなげて受 信していた。
 掲載したのは第1回東京五輪の年であった1964年5月に獲得したFM東海のQSLカードである。オーケストラを図案化したデザインで音楽局であること を強調 している。中央の「FMT」は「FM東海」の略称であった。



(左)1964年獲得のFM東京のQSLカード表面 大きさ150×98mm、JS2Hは実験局としてのコールサイン、JS2AOはステレオ実用化試験局 のコールサイン
(中)同裏面 当時の葉書郵送料は5円、郵便番号はまだない時代であった、局は当時港区西久保明舟町(現在の地名は虎ノ門)の発明会館にあった、技術部の ゴム 印が押してある

(右)今も代々木キャンパスに残るFM送信塔(東海大学HPより)
     



 1970年4月にFM東海を吸収して本格的FM放送局として開局したのがFM東京である。だからFM東京の筆頭株主は東海大学である。1970年は「本 格的FM放送時代」の幕開けと言われ、全国4都市にFM民放が誕生した。第1番は前年のクリスマスイブに開局したFM愛知、2番は3月開局のFM大阪、 FM東京は3番目で、4番目がFM福岡であった。FM放送局単体で見るとFM東京は日本最初の本格的FM民放ではない。1951年の中波初となる民放の座 を中部日本放送(CBC)に奪われたのに続き、FM初の民放の座も同じ名古屋のFM愛知に奪われたのである。官僚的な東京よりも名古屋の方が民間部門の意 志決定が機敏なのであろう。
 FM東京の開局で、周波数は80.0MHzに変更となり、出力は10kWに増力され(コールサインはJOAU-FM)、送信所は東京タワーとなったため 受信状況は飛躍的に改善され、多素子のFMアンテナはよほどのマニアかFM DXerしか使用しなくなった。またそれ以前は間歇的に行われていたステレオ放送(NHK FMは受信機調整のため番組前に右だけ、左だけの音を出す試験放送を必ず実施していたが、実際に調整した記憶はない)がCMを含めて全時間となり、チュー ナーのステレオランプが点灯しっ放しになったのにはびっくりした。高音質のFM放送から当時普及し始めていたカセットテープに録音する「FMエアチェッ ク」が流行し、「FMファン」などそのための雑誌まで発刊された。1970年は「情報化元年」とも言われコンピュータを駆使した新しい時代が来るという希 望に満ちあふれていた年であった。
 掲載したのは正式開局に先立つ約1週間前の1970年4月18日付受信報告に対するFM東京初のQSLカードである。当時のスタジオはFM 東海から引き継いだ虎ノ門の発明会館、そして本社は当時東京唯一の超高層ビルであった霞ヶ関ビルであった。その後1974年に当時新築された新宿の国際電 電 (現KDDI)ビルにスタジオ、本社ともに移転、更に1985年には麹町のFMセンタービルに移転し現在に至っている。


(左)1970年4月の試験電波発射時の受信報告に対するFM東京の最初のQSLカード表面 大きさ149×98mm 有名タレントではなく普 通の外国人女性である、マイクロホンについている「FM TOKYO」の印も普通のマイクロホンに貼り付けたもの、同じデザインの開局ポスターも制作されたが「鼻毛が見える」としてコレクターズアイテムとなっ た。
(中)同裏面 この時の郵送料は7円、「郵便番号をお忘れ無なく」と書いてあるが記入されていない、民放には珍しく受信月日(45とは昭和45年= 1970年のこと)、受信時間も記入されている、発行番号は133番、当時のスタジオは発明会館、本社は霞ヶ関ビルにあった
(右)現在本社・スタジオのある麹町FMセンタービル、「TFM」のマークが表示されている
    



 その後CDの普及、それに続く音楽配信の普及で、音楽ソースの提供というFM放送の役割は終了し、以降はイージーリスニング(「JET STREAM」は数十年前からこれを先取りしていた訳だ!)や情報提供がFM放送の主な役割となった。FM東海から続いた教育番組「望星高校講座」 は衛星配信へ切替たため1998年に廃止された。その衛星配信も今年中止されインターネットによる映像ストリーミング配信に切り替わった。FM東京自体は 全国のFM局に番組を提供するJFNのキー局としての機能が大きい。
 東京タワー(日本電波塔)の送信アンテナはVHFのTV用が上部に、FM放送用は下部に設置されていた。FM東京用の送信アンテナは、特別展望棟の真下 の位置に当たる高さ204mの場所に設置されていたが、2011年3月にVHFのアナログTV放送の送信が終了したため、2013年2月11日より最高部 333mにあるNHK第1・第3チャンネル用のアンテナの後スペースに移転して更に受信状態の改善を図った。これを記念して2月11日〜24日の東京タ ワーからの送信(中継局、ケーブルTV中継、radikoは認めない)に対しての受信報告に対して民放ととしては異例の限定QSLカードを発行した。次に その限定QSLカードを掲載する。 アンテナが100m以上高くなった効果は抜群で、4月18日付東京新聞によれば「受信環境がかなり改善された」(川島修技術部長談)とのことで、雑音の減 少、音質の向上したとの反響がリスナーから寄せられているという。
 なお東京タワーからの送信は今年5月以降はFM東京、Inter FM、放送大学(FM/TVとも)の3局のみとなり、在京TV民放5局及びNHK(総合、Eテレ、FM)はスカイツリーが各種の攻撃や事故で使用不能に なった場合の 予備送信所を設置する。

 
(左)最高点送信開始記念特別QSLカードの表面 「新しい333mから、愛をこめて」、「TOWER OF LOVE」の文言が白抜きで入っている、3月の番組表の裏面と同じ図案である。JOAU-FMの横に入っているJOAU-FCMのコールサインは2014 年廃止予定の文字多重放送のコールサイン。 大きさ148×100mm。
(中)同 裏面 通常のQSLカードと同じ 発行番号は607,180でこれは開局以来の通算らしい、この43年間で年間平均14,120通(1日平均約 40通)の受信報告が来たことになる。
(右)東京タワーの最高部に送信アンテナを移動(地上高204m地点と333m地点)
    


 FM放送だけでなく多の媒体への進出も怠りなく行っている。 「ミュージックバード」による衛星放送、各ケーブルTV及び「スカパー・プレミアムサービ ス光」による再送信、携帯電話放送(iPhone、LISMO、ドコデモFM)、インターネット放送(「radiko」、podcast)と多様な手段で 聞くことができる。1996年より行っていた「文字多重放送」は2014年3月いっぱいで終了することになったが、新たに今年4月4日よりV-Low(旧 TV VHF1〜3ch)の周波数帯を利用した電子チラシ配信の実験放送を開始している。



 受信報告の宛先: 〒102-8080 千代田区麹町1−7 FMセンター Tokyo FM 技術部 (返信料必要)
 
 電話: 03-3221-0080(代)

 URL:  http://www.tfm.co.jp





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