Istanbul Turk Radio TAH (トルコ)

 
  欧米の短波海岸局が全滅する中で、短波通信を頑強に維持しているのがコールサインTAHのIstabul Turk Radioである。Istanbulは2020年オンリンピックの候補都市としても注目を集めているが、マルマラ海と黒海を結ぶボスポラス海峡 (Bosphorus、現地名Boğaziçi)の入口に位 置し、船舶の 航行上も重要な位置をしめる古い歴史をもった都市である。ボスポラス海峡は長さ30km、最も狭いところで幅わずかに800mである。南に広がるマルマラ 海は更に長さ60km、狭い ところで幅1200mのダーダネルス海峡(Dardanelles、現地名Çanakkale Boğazı)でエーゲ海と隔てられている。Istanbul Turk Radioは無線通信手段の提供だけでなくこれら2つの重要な海峡の情報を、各国の船舶に広範囲に通知する役割を果たしているために多くの短波周波数を現 在も使用している。両海峡ともに幅が狭いため悪天候時は閉鎖されることがあるため、天候情報や水路通報も定期的に放送されている。多数の10kW短波送信 機を使用して現在も多彩なサービスが行われているが、日本で最も受信し易いのは8MHz帯や12MHz帯で行われているSITOR(SImplex Teletype Over Radio、簡易テレタイプ)通信で、その中でCWにより 「TAH」のコールサインが打たれるので容易に確認することが出来る。2013現在SITOR信号は4216、4219、4560、8431、8434、 12629、12654、16886kHzで送信されている。

 この海岸局はDirectorate General of Coastal Safety(略称:DGCS,、現地名: Kıyı Emniyeti Genel Müdürlüğü、沿岸安全庁)の管理下にあり、オフィスはボスポラス海峡から欧州側の旧市街に張り込んだ金角湾(Golden Horn、現地名Haliç Hatti)の再奥部東側にある。ボ スポラス海峡、ダーダネルス海峡とも に、両岸がトルコ領だが、奥の黒海沿岸には大国ロシアをはじめ、ブルガリア、ウクライナ、グルジアの各国があり特にロシアは自由航行権を主張した。そこで 1936年に 両海峡の通行に関するモントルー条約が締結され、一般船舶は自由に航行できことになっている。しかし軍艦は制限があり航空母艦と大型軍艦(大砲の口径が大 きいもの)は航行禁止となっている。この規定により冷戦時代のソ連、現在のロシアは大規模な艦隊を地中海に移動させることが事実上できないため、西側の安 全保障に役立っている。ロシアの小型軍艦は通過できるが、潜水艦も含めてすべての艦船の通過が監視されており、捕捉可能となっている。

 ユーティリティ局であるため受信報告に対する反応は鈍いが、運が良ければレター形式のQSLが発行される。掲載のQSLは2012年に漸く受領したもの である。この時の受信報告は英語、IRC1枚を同封した。

 この海域は地中海の最も奥に位置するが、海域によって海の色が全く異なる。エーゲ海は濃い紺色であるが、マルマラ海に入ると薄いエメラルド色になる。ボ スポラス海峡は普通の川のようで青色である。それが黒海に出ると灰色っぽい海となる。イスタンブール欧州側旧市街にあるオリエント急行の終着駅(と言って も大半は近郊区間を走る茶色の国鉄電車)シルケジ(Sirkeci)駅から海に向かって歩くとエミノニュ(Eminönü)の埠頭に出る。そこから定期船 に乗るとボスポラス海峡を遡り約 1.5時間でアジア側北端の田舎町アナドル・カヴァク(Anbadolu Kavaği)に到着する。ここから中世の城がある山の上に登ると目の前に黒海が広がり、海の向こうに遠くブルガリ アの山 々を望むことができる(さすがにクリミア半島は見えない!)。Istanbul Turk Radioに思いを馳せ、船内で売られているヨーグルトを食べながら、海の色の変化を楽しむのも一興である。


 受信報告の宛先: Kiyi Emniyeti Genel Mudurlugu, Teliz Isletme Mudurlugu, Ataturk Havaliman E Kapisi, TR-34630 Sefakoy, Istanbul, Turkey

 E-mail:  turkradyo @ kiyiemniyeti.gov.tr

 URL:  http://www.kiyiemniyeti.gov.tr





(左)2012年2月の受信に対して約1ヵ月後に送られてきたQSLレター  発行者はMehmet Colak局長 サイズはA4 (右)金角湾の再奥にあるDGCSの局舎

    


(左)DGCSの上空付近から見た金角湾 正面はボスポラス海峡の入口(Wikipediaによる) (右)DGCSのロゴ 省庁再編で1997年に誕生 した
   



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