Radio Radonezh <Радио Радонеж>
(ロシア)
2014年1月9日のロシア国営局短波・長波全面撤退で、今まで一分野を成していたロシア局DXing
は壊滅的打撃を
受けた。時代の流れとはいえ残念なことである。ロシア局DXingを目指すBCLは①極東を中心とする中波局をねらう、②Eスポ出現時に
極東のFM局を狙う、③現地に出掛けて行くしか受信の方法がなくなってしまった。オーソドックスなDXingで
ある①を行うとすれば、極東の大都市Vladivostokの中波局を受信するのが最も現実的である。
Radio
RadonezhはMoscowを本局とするロシア正教会が運営する独立局で、Vladivostokにも支局があるので受信可能性が高い。同局の設立は
1991年で、「Echo of
Moscow」と並びロシアで最も古い「民間放送局」である。民間放送局と言っても宗教局であるためコマーシャルを放送せず、すべて信者からの寄付で放送
資金をまかなっている。また政府とは独立した立場で「公正中立な」ニュースを提供することを社是としているが、このことがロシア政府(「公正
中立
な放送局」はどの国の政府にも好かれない傾向があるが)の気に入らないらしく、制度上の「嫌がらせ」を受けていると言われている。現在もロシア全
土のカバーはできず首都Moscowの他には西のSt.Petersburg、東のVladivostokに中波局があるのみ、後はFM中継
局が数局あるにすぎない。FM放送を増やそうとしているが、現在一般的な88-108MHzのFMバンドの使用は許されず、受信機数の少ない
64-73MHzの「旧ソ連FMバンド」しか使用が許されていない。
ロシア人の大半はロシア正教の信者であるため、同局の発表では聴取者はロシア全土で2,000万人にのぼるとのことである。また隣国ウクラ
イナ やベラルシでも聞かれているという。更に138カ国にのぼる海外在住ロシア人も聞いているという。
この局は一時短波による放送も行っていた。最初に短波放送を行ったのは2004年11月で、Novosibirsk送信所より7465kHzで放送してい
たが、すぐに中止された。次に短波に出てきたのは2006年4月で、Irkutsk送信所より当初6245kHz、次に5940kHzで放送
して いたが、こちらも長続きせず中止されている。
現在ロシアから出ているラジオ放送の周波数は以下の通りである。
Moscow 612kHz 92.92MHz
St.Petersburg 684kHz
Vladivostok 738kHz
Ryazani 73.13MHz
Yaroslavi 72.76MHz
Orel 68.15MHz
Saratov 73.43MHz
日本での受信可能性はVladivostokの738kHzのみである。Moscow本局は現地時間の07:00-11:00放送だが、
Vladivostok局は19:00-21:00(日本時間
)に放送している。NDXCの長谷川清一氏によると、729kHzに強力なNHKが出ている東海地方でもコンディションの良い日には分離できるという。
738kHzは以前他のVladivostok局が使用していた周波数であるが、東京では中国局が強くなかな
か受信が難しい。なお
Vladovostok局の周波数は当初675kHzであったが、2012年10月に738kHz(公称出力50kW)に変更となった。同局の
HPに記載の周波数は未だに675kHzのままであるし、2014年1月1日に停止されたMoscowの846kHzも記載されている。
局の名称「Radonezh(Радонеж)」はモスクワ近郊にあるロシア正教の
聖地 の地名である。ソ連時代は単に「町」を表す「Городок」という地名になっ
ていた。この町は14世紀に聖人St.Sergiusが修道院を開設した由緒ある場所で、同聖人は地名をつけて「St.Sergius of
Radonezh」と呼ばれている。
Moscowの本局に受信報告を送れば返信は来る筈である。掲載したレター形式のQSLは2008年2月にVladovostokの
675kHz(当時)を夜間(当時は夜間の放送もあった)受信し、ロシア語の受信報告を本局に送って翌年3月に返信が来たものである。但し周波数が間違っ
て記入されている。
ロシアの「民間放送」について、昔中学生だった頃当時のモククワ放送に「ソ連には民間放送がありますか?」という質問を送ったことがある。
日本語で個人的に返信が来たがそれには「社会主義国にはそのようなものはありません。私企業がないのと同じ理由によるものです。」と書いて
あったこと を思い 出した!
Radio
Radonezhは全国放送の計画を諦めた訳ではなく、①ロシア各地にFM放送局設置、②24時間放送の実現、③中波送信施設の更新・増強を進める計画を
立てている。またインターネット上ではラジオ及びTV放送(注意:TV放送にアクセスするとウィルスをインストールされる恐れがある)も聴取
できる上、スマホ用の専用受信アプリも提供し、ロシア全土での聴取者獲得に力を入れている。 更に放送衛星「 Спутник Ямал 201/202」による衛星放送も行っており、ロシア全土、中国、
欧州をカバーしている。
受信報告の宛先: ul. Pyatnitskaya 25, Moscow 115326, Russia
ロシア語ではРоссия 115326, г.
Москва, ул. Пятницкая, д. 25
電話: +7 495 950 63 56
FAX: +7 495 959 44 45
E-mail: info @ radonezh.ru
URL: http://www.radonezh.ru
(左)2011年取得のQSLレター 発行者は会長のNikiforov Konstantin Evgenievich(Никифоров Константин Евгеньевич)氏 残念なことに周波
数はモスクワの846kHz(2014年1月1日より放送停止中)と記入されている(本当はVladivostokの675kHz)
(右)下部の拡大 紫色の局印とサインがある
(左)Nikiforov会長 (中)同局のマスコット図案(聖人を中心にラジオを聞いている
図) (右)スマホアプリのアイコン
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