Myanmar Radio (ミャンマー)

 ミャンマー(Maynmar)は1989年以前はビルマ(Burma:緬甸)という名称であった。歴史を持つ独自の王国であったが19世紀末全土が英国の植民地となった。

 英国領時代の1936年にBurma State Broadcasting Serviceが初めてのラジオ放送を開始した。当初の周波数等は不明だが、1939年にはMingaladon送信所にPhilipps社製10kW送 信機と自作の0.5kW送信機を設置して短波の6007kHz(コールサインXYZ)と3488kHz(コールサインXZZ)で放送を行った。当 時のビルマ全土をカバーするためには短波が適切だったためであろう。放送はビルマ語(現在はミャンマー語)と英語で行われた。1946年には独立後の放送 を意識してか同送信所にMarconi社製の7.5kW送信機3基が導入された。1948年にビルマは独立を取り戻し局名はBurma Broadcasting Service(BBS)に変わり、周波数も9540kHz、6035kHzに変更され7.5kWでの送信となった。またこの時から海外向英語ニュース 「Voice of Burma」が毎週木曜日の23:45より6035kHzにて実施された。1950年には中波955kHz(5kW)でも放送を開始した。更に1952年 には予備の7.5kW送信機を使用して4774kHzでも放送が開始された。1957年にYegu送信所にRCA社製50kW送信機が導入され、短波は 11765kHz(50kW)の一波のみとなったが、更に50kW送信機が増備され1958年には中波955kHz、短波4795、6035、7125、 9540kHzで50kW送信の体制となった。その後周波数は4725、5040、6035、7120kHzに変更され、更に4725kHzは少数民族語 放送、5040kHzはビルマ語・英語の放送の放送となった。また6035、7120kHzは5985kHzに統一された。日本では4725、 5040kHzが定番周波数として良く受信された。

 1958年以来軍事政権が続いていたが、1988年にはアウンサーンスーチー(Aung San Suu Kyi:翁山蘇姫)女史を中心とする民主化運動が起きたが、軍部は1989年女史を軟禁し、国名をビルマからミャンマーに変更、それに伴いBBSも Myanmar Radio and Television(MRT)に変更された。1990年に行われた総選挙ではアウンサンスーチー女史の率いる国民民主同盟(NLD)が勝利したが軍事政 権はこれを無視、女史を軟禁したまま政権に居座った。軟禁は2011年まで続き、再度の総選挙でNLDが勝利したのは2015年11月のことであった。

 軍事政権は主として中国の援助を受けていたため、1990年代以降は中国製送信機の導入が開始された模様である。2007年軍事政権により首都が Naypyidawに移転され、これに伴いMRTVも本部はYangon(1989年にRangoonから改名された)から新首都に移転した。更に Naypyidawに中波・短波の新送信所が建設され中国製送信機が導入されたようである。Yangonの旧局舎は現在MRTVのYangon Centre(主としてTV番組とローカルFM番組を制作)となっており一部番組はこちらで制作されている。同国はスーチー女史自身も含めて日本とは非常 に関係の深い(最近では鉄道車両も日本で使用されていたものが走り好評を博している、Yangonには元広電の市内電車も登場した)国なので今後を注目し たいものである。

 短波の周波数はその後もしばしば変更され、現在はNaypyidaw送信所から5915kHz(50kW)、Yangon-Yegu送信所から5985、7200、 9730kHz(何れも50kW)で行われている。5915kHzは以前4725kHzで行われていた少数民族語放送、5985及び9730kHzは Naypyidaw本局からの番組、7200kHzはYangon Centreの番組を中継している。日本では5915、5985kHzが良く受信されている。

 Burma State Broadcasting Serviceの頃からQSLカードを発行していた(この時代のQSLカードは数パターンありどれも「国宝級」である)が、その後ミャンマーは軍事政権に よる鎖国状態が続いていたこともあり、QSLカードは発行されていたものの、受信報告に対する返信率は他の東南アジア局とくらべて極めて低く、遂にこの局 のQSLカードを獲得 できづ命が尽きてしまったOMも沢山いた。Burma Broadcasting Service時代は「BBS」のロゴが入ったモノクロ印刷のQSLカードが当初発行された。当初のパターンは、表面にモノクロのロゴ、裏面にお礼の文章 が入っていた。1970年代には左半分にロゴ、右半分に証明事項が入ったものに変更された。更に1980年になるとロゴが2色刷りのものに改訂された。取 得例は極めて 少なく持っていれば「重文級」といえる。今回この記事を見たOMの方々から当時のQSLをご提供していいただいた。ドイツのWolfgangu Bueschel氏よりは1976年に受領したモノクロの半面カードを、東京都の佐藤宏文氏よりは1983年に受領した2色刷りの半面カード、何れも「重 文級」のQSLカードをご提供いただいたので掲載する。21世紀にな ると少しづつ返信率が高くなり、書留で出せば返信が届くようになった。小生が初めて返信を受け取ったのは2004年のことでQSLカードは切れていたらし くて発行されず、単なるお礼状であった。その後「Radio Myanmar」という文字と地図・旧国旗(1974年より2010年まで使用されてきた赤色・青色に白色の意匠が入った国旗)を描いた縦長の極彩色カー ド(下記の写真参照)が発行され、小生にも送られた筈であったが、途中で中身がすべて抜かれてしまい破かれた空の封筒だけが届けられた!BCLたるもの、 こんな事にめげてはいけないのである。

 QSLカードは2010年より後には横長で新国旗(2010年以降使用されている3色に星が描かれたもの)を描いたものに変更された。このカードは現在 eQSLとしても発行されている。2015年秋に5915kHzの放送を受信して下記の技術部門のアドレスにE-mail(宛先は前directorの Vin Aung氏にした)で受信報告を送った(最近の同国は郵便事情が悪いためE-mailで送った方が確実である)ところ一ヶ月後に返信がVin Aung氏よりE-mailで来た。メールにeQSLを添付し忘れていたため再度要求したところ更に一ヶ月後に添付ファイル付のE-mailが送付され漸くQSLカードを獲得することができた。
 なお佐藤宏文氏は昨年11月4日に5985kHzの放送を受信しE-mailと航空便の両方で受信報告を送ったところ1ヵ月後に
Nay Pyi Tawより書留便で紙のQSLカードがお礼状とともに送られて来た。また更に11月30日にもE-mailと航空便の両方で受信報告を送ったところ、2日 後にE-mailでeQSLが、26日後に書留で紙のQSLがYangonより送られてきたそうである。従って郵便が届けば紙のQSLによる返信も期待出 来そうである。発行者はdirectorのZeyar氏であったとのことである。また受信報告はYangonの旧アドレスに送ったとのことで、ラジオの事務技術部門はまだこちらにいる可能性が高いので、宛先にはYangonのアドレスを掲載しておく。


受信報告の宛先(Yangon): 426, Pyay Road, Kamayut - 11041, Yangon, Myanmar
E-mail:  nptradio.eng @ gmail.com
URL:   http://www.mrtv.gov.mm/ (ミャンマー語)


(左)2015年発行のeQSL表面
(右)同裏面 発行者はDirector(現在はZeyar氏)

 


(左)2004年にdirectorのKo Ko Hotway氏より届いたお礼の手紙 忙しいので中々返信できないと書いている また「ビルマの竪琴」について教えてくれと言っている
(右)2015年に前directorVin Aung氏(現directorはZeyar氏)からE-mailで届いた手紙 ロゴの写真まで送ってくれた!

  


1976年受領の左半面にモノクロロゴ、右半面に証明事項(タイプ打ちしてある)を記入したQSLカード(ドイツ Wolfgang Bueschel氏提供)



(左)1983年に発行された2色ロゴ入りのQSLカード、右側の証明事項は手書きだが1970年代のものと同じである(佐藤宏文氏提供)
(右)2015年12月に発行の印刷されたQSLカードの裏面 手書きで記入され、directorのZeyar氏と思われるサインがある(佐藤宏文氏提供)
  


(左)1960年代に発行されたBBSのロゴ入りモノクロQSLカード 表面はロゴ、裏面にはお礼の文章のみ
(中左)2000年代に発行された極彩色カード 国旗は2010年まで使用された旧国旗
(中右)現在のMRTVのロゴ
(右)Myanmar Radioも最近はスマホで聴けるようになった iphone用受信アプリ

       

(左)Naypyidawに新設されたMRTVの局舎
(中)Naypyidawからの送信用50kW短波送信機、同じ送信所から594kHz(200kW)でも送信中である
(右)送信局マップ 少数民族向短波放送のカバー範囲は青色点線の部分

     

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