Thazin Radio (ミャンマー)

  ミャンマーの放送局としては国営のRadio Myanmar(MRTV)がメジャーであるが、この他に軍の放送局が存在する。古くは軍放送部隊の短波放送 (http://www5a.biglobe.ne.jp/~BCLSWL/QSL0501.html参照)があったが、現在行われているのがこの Thazin Radioである。この局はミャンマー国防省広報心理作戦部の所轄による少数民族向の放送で開始されたのは2012年春である。

 首都ネピドーがあるマンダレー地方域の北部のPyin Oo Lwin(旧名メイミュー)に拠点があり、中国製と見られる50kW短波送信機からミャンマー全土に放送を行っている。放送設備は香港のBTL社(易達視 訊科技有限公司)により納入されたものである。放送局のあるPyin Oo Lwinは北部の主要都市であるMandalayの東に位置し、旧名をMaymyo(メイミョー)といい1000mの高原上にあり、英国領時代は避暑地と して別荘が建てられていた場所である。

 ミャンマーの主民族はビルマ族(ビルマ語を話す)だが、人口の4割はそれ以外の少数民族である。少数民族には周辺諸国(特に中国)からの強い影響があ り、これらの民族の平定が昔から国防上の課題となっている。最近では少数派イスラム教徒のラカイン族が仏教徒との間で騒乱を起こしている。そのため一時は ラカイン族向のRakhine Radioが別に行われていたことがあったが最近はThazin Radioに統一された模様である。

 局名の「thazin」は ミャンマーの国花ともなっている蘭の花で学名はBulbophyllum auricomumである。短波放送拠点は一カ所だが、2013年よりFM放送も開始し、2014年以降は国内3カ所からビルマ語、国内14カ所から少数 民族語でFM放送Thazin FM(Yangonでは88.6MHz)が行われている。 使用されている言語はビルマ語、英語の他に、Chin、Kachin、La、Po、Geba、Kokang、Karen、Shan、Kayah、 Gekho、Monの諸言語である。 放送開始当初は7110kHzで良好に受信されたが、2016年現在周波数はビルマ語・英語が6030、9460、 6165(08:30-10:30)kHz、少数民族語が6165(18:30-00:00)、7345(18:30-22:30他)kHzに集約されている。

 ミャンマーは郵便事情が悪く、受信報告を出しても返信が来ることは少ない。この局も例外ではなく手紙による受信報告に対しての返信は今のところ届いてい ない。しかしE-mailによる報告に対してはE-mailで返信が来る。掲載したのは2012年の放送開始直後に7110kHzで受信した報告に対する もので返信メッセージは簡略なものであった。この返信メッセージに保存用に同局のロゴとthazinの花の写真を添えてQSLカード風にしたものを掲載す る。 eQSLではなく単にE-mailとして来たものをどのように保存しておくべきかというご質問を受けることがあるが、このようにして紙で保存しておくのも 一法である。


 受信報告の宛先: Golden Green Village, Pyin Oo Lwin, Mandalay, Myanmar

 E-mail: thazinradio @ yahoo.com

 URL:  http://www.thazinfm.com/ (Thazin FMのサイト、すべてビルマ語)
 


Thazin Radioから届いたE-mailの返信を元に制作した自作QSLカード


(左)現在のThazin FMのロゴ 基本的にはThazin Radioのロゴを踏襲している 
(右)スタジオでの録音風景(2013年)

  

(左)thazinの花 樹木に寄生し冬には芳香のある華麗な白い花を咲かせる
(右)Pyin Oo Lwinに残るコロニアル風の別荘と当時の馬車(Wikipediaより)

  


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