Moscow Radio UAT (Russia)
Москва Радио УАТ
Moscow
Radioと言っても今は短波が無くなった旧「モスクワ放送」のことではない。ロシアの首都モスクワにある海岸局である。モスクワは海岸にはないのに「海
岸局」とはこれ如何に?山の中から放送していても「海賊局」と言うが如し!海上の船舶と通信するための海岸局の多くは確かに海岸にあるが、短波等の電波を
使って通信する以上海岸に立地する必然性は特にない。過去には海のない国スイスに海岸局Bern
Radioが存在したこともあった。モスクワの北側には「海のような」大河ボルガ河が流れており「モスクワ港」もあるため事実上の「海岸」と見做せないこ
とはないが、後述のように軍事通信の専門局であるためというのがその理由であろう。
各国の海岸局の短波利用が減少し、廃止が相次ぐ中でMoscow
Radioの短波通信が生きながらえているのは、海軍の軍事通信拠点(出力20kWと海岸局としては大きい!)として重要であるからに他ならない。
勿論ロシアでは本当に海岸にある他の海岸局の短波通信も健在であるが。Moscow
Radioの現在の送信施設は中心部クレムリンから真東に約20kmのモスクワ川(ボルガ川の支流で運河も通じている)河畔ラズドリ(Раздоры)にある。モスクワ海岸局の正式な開局日時は判然としないが、1939年6月17日に当時のソ連政府の直営軍事通信局となり、海軍(Военно-
Морской Флот、略称:MORFLOT 《МОРФЛОТ》)の船舶の航行管理を行うようになった。「軍事通信局」としての役割は以後そのまま継続しソ連からロシアになってもほぼ引き継がれた。2014年までは海軍の研究所(Reseach Instutute Center 《Центр Упреждающих Стратегий》、略称:ЦУС)に属していたが、現在は改組されロシア特有の企業形態である連邦政府直轄会社(Federal State Unitary Enterprise《Федеральное государственное унитарное предприятие》 、略称:ФГУП )「通信・衛星システム中央センター」(Main Center of Communication and Satellite System 《Главный Центр Связи и Спутниковых Снстем》、略称GTSSS 《ГЦССС》)となっている。実際には海軍の一部門と言って良いであろう。2009年には創立70周年、2014年には75周年を迎えて盛大な式典も行われた。
2016年現在のMoscow Radio(コールサインUAT)は次の9波の短波周波数を使用している。
CW/デジタル SITOR通信 8416.5 8431.5 12599.5
デジタルSITOR通信 12579
SSB音声通信 8731 13077 17257 22714
デジタル通信 16881
受信報告に対しては返信が来ない局であったが、2008年5月に送ったSITORのCW通信に関する受信報告(ロシア語、返信料$1同封)に対し今年5
月初めになって8年振りに突然QSLカードが届いた。既に75周年も終わっているが70周年記念カードで文面は英語であった。
なお茶木直之氏によれば同氏も
同じ時期に同じ発行者から7年4ヵ月振りにNo.102のQSLカードを受け取ったとのことである。小生の場合発行日は2015年10月1日であったが茶
屋氏の場合は2016年4月22日であったとのこと。この時期に発行者がまとめて返信をしたものと思われるが、発行日付の違いは良く分からない!
受信報告の宛先: GTSSS, d1 str.1, ul.Rozhdestvenka, Moscow 109012, Russia
ロシア語では Россия 109012, Москва, ул.Рождестбенка, д1 стр.1, ГЦССС
FAX: +7 495 626 19 10
E-mail: morflot1 @ gmail.com
(左)8年振りに届いたUATのQSLカード表面 雪の日にGTSSSの本部ビル前を眺めた風景、左下には2009年の創立70周年記念ロゴ - 当時は
UATとULGというコールサインだった模様だが、現在ULGはロシアのコールサインではなくなった ー 2009年当時の組織名「ЦУС-Морфлот- ГЦССС」となっている 大きさ 170×130mm
(中)QSLカード裏面 発行年月日は届いた時より半年以上前の2015年10月1日となっている! 発行番号は099、発行者はIgor N.Marfutin氏、E-mailより海軍の人であることが分かる 文面は英語でアンテナはRGDという形式あることが分かる
(右)茶木氏の受領したQSLカード 番号は3つ後だが発行日付が半年以上異る 発行者と到着期日は同じ
(左)Rozhdestvenka通にあるGTSSSの本部、上記QSLが本部を正面から見た図案であることが分かる
(右)大きなパラボラアンテナと送信塔が並ぶUATの送信所
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