Radio Television Malaysia / Voice of Malaysia (マレイシア)


  現在は近代的国家となっているマレイシアは建国60年余りと比較的新しい国である。マレイシアに当たる地域は戦前にはすべて英国領のマラヤ(シンガポール を含む)とボルネオであった。そして1957年にマレー半島の部分が「マラヤ連邦」として独立するまで、放送局にはVで始まる英国のコールサインが割り振 られていた。

 英国領マラヤにおける最初の放送は南部JohoreでMalayan Wireless Associationによって開始され、その後同社はPenangとKuala Lumpurでも放送を開始した。英国は1930年にシンガポールにBritish Far Eastern Broadcasting Serviceを設立して短波による定期放送を開始した。1937年には両社の放送はMalayan Broadcasting Corporationに統一された。マラヤは1942-43年には日本に占領され当時Penang、Malacca、Kuala Lumpur、Serembang、シンガポールにあった放送局はすべて日本の支配下に入った。戦後はシンガポールに本拠地を置くRadio Malayaとなり、Kuala Lumpurには仮設のスタジオが設置され、シンガポールから短波3波、Kuala Lumpurから短波1波(何れも出力10kW)で放送していた。1957年の独立時も本拠地はシンガポールに置かれ、シンガポールから短波・中波、 Kuala Lumpurから短波・中波、Penang、Malacca、Ibohから中波でblue・red・greenの3系列の放送を行っていた。

 1963年にはボルネオのサラワク、サバを含めた「マレイシア連邦」が成立したが、1965年にシンガポールが分離して現在に至っている。Kuala Lumpurから短波放送は西の郊外にあるKajang送信所から行われてきたがマレイシア連邦の成立に即して送信機の強化が行われ日本のNEC製 50kW短波送信機が導入された。また国内向短波放送の第二拠点としてPenang送信所にも10kW短波送信機が整備された。更に国際放送Voice of Malaysia(VOM、Suara Malaysia)も同年よりKajang送信所より開始された。VOMは当初英語、中国語、インドネシア語の3カ国語のみであったが、その後タイ語、タ ガログ語、マレー語、ビルマ語の放送も行われ、最盛期には1日28.5時間放送を行っていた。1995年は更にイスラム教を伝える「Voice of Islam」の放送も英語・マレー語で開始された。マレー半島の部分では中波、続いてFM放送の整備が行われたたため、Penang送信所の短波送信は中 止されたが、Kajang送信所は強化が継続され2010年にはContinental社製100kW送信機3基が導入された。しかしRadio Television Malaysiaは翌2011年全ての短波・中波放送を廃止してFMに切り替える方針に転換し、同年11月Voice of Malaysiaの短波放送もすべて廃止され、インターネット放送に切り替えられた。しかし残ったインターネット放送も翌2012年には廃止されてしまい、VOMは消滅した。

 マレー半島部分は通信・交通が近代化されたためにFM放送のみで充分カバーできるようになったが、広大な広さのサラワク・サバ地域には電波が届かない地 域ができてしまうため、Kajang送信所はマレー半島部分でRTMが放送しているFM放送(Asyik FM、Selam FM、TraXX FM、Klasik FM)とサラワクで放送している2つのFM放送(Sarawak FM、Wai FM)を主としてボルネオ向に短波(100kW2波、50kW1波)で中継送信するようになった。しかし徐々にサラワクの2局以外の中継は行われなく なりつつあった。しかし2016年8月31日の独立記念日以降6050kHzでAsyik FMの中継が復活した。
 QSLに関しては1960年代まではレターによるものであった、QSLカードを発行するようになったのは1969年頃で、その後2011年迄は様々なデ ザインのものが発行された。2011年以降発行はKajang送信所から行われるようになり、種類は3種類(TraXX FM、Sarawak FM、その他)が確認されている。この内TraXX FMは現在短波中継されていない。Sarawak FM用のものはRTM Sarawakの項を参照のこと。Sarawak FM用とその他用は大きさの異なるバージョンのものがある。
 ここでは1966年発行のQSLレター、1967年発行のQSLカード、2016年発行の最新の「その他」用(ラージバージョン)のものを掲載する。

  マレイシアは欧州迄行かなくても比較的近くで「中波のなくなった世界」を体感できる国である。中波帯では「夜のDX局」しか聞こえてこない。また日本に最 も近い本格的イスラム世界である。町にはイスラム教のモスク、仏教寺院、キリスト教の教会、ヒンズー教寺院が共存している。モスクには異教徒も立ち入るこ とができるが、最近はポケモンの絵に×のついた看板(モスク内ポケモン禁止)が立っているモスクも見かけるようになった。

 受信報告の宛先:   Seksyen Teknikal Rangkaian, Radio TV Malaysia, Balu 13 1/2 Jalan Cheras, 43000 Kajang, Selangor, Malaysia

   FAX:  +603 8730 1227

   URL:    http://www.rtm.gov.my/



1966年取得のQSLレター サイズA4
発行者はChief EngineerのJ.K.Sen.Gupta氏





1967年取得のQSLカード 受信データの記入が一切ない「不完全QSL」だが発行者J.K.Sen Gupta氏(上記1966年のレターと同じ)のサインはある  大きさ 152×113mm
国内向・海外向共通カードで当時のPenang、Kuala Lumpur(Kajang)、Kuching(サラワク)、Jesselton(現在のKota Kinabaru、サバ)、VOMの全周波数が記入されている
当時のマレー半島の標準時はGMT+7.5Hで現在より30分遅れていた

  


(左)2016年に復活したAsiyk FMの受信に対するQSLカード表面 「1MALYSIA」のスローガン掲げたRTM本部ビル(2016年現在は下の写真の様に別のスローガンになってい る、玄関の上には「Malaysiaku GSemilang」
-私の輝くマレイシアーの看板が) 下部に中継しているFM放送のロゴがあるがSelamFMはない、代わりにVOMのロゴ右端に入っている 大きさ 180×122mm
(右)同裏面 発行者はChief DirectorのSharimah Binti Abu Bakar氏 2016年33枚目の発行であることが分かる

 



(左)2016年現在のRTMのビル「Angkasapuri」 スローガンが「WAWASAN 2020」(マハティール元首相の唱えた2020年におけるマレイシアのビジョン)に代わっている、また玄関の上の看板も「Keranamu Malaysia」(我らがマレイシア)という愛国歌の名称に変わっている  クアラルンプル中央駅から少し南に行ったPantai Permaiにある
(中)短波送信所を管理するRTM Kajangのビル Kajnagの中心部から500mの地点にある 玄関の上には「
Seksyen Teknikal Rangkaian」(ネットワーク技術部) の看板がある
(右)今も残るVOMのロゴ

    



 
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