Radio New Zealand International (ニュージーランド)


 現在では米国領を除けばオセアニア州に唯一残る国営海外放送がこのRadio New Zealand Internationalである。

  ニュージーランドが海外放送を開始したのは1948年と比較的新しい。当時のNew Zealand Broadcasting Corporation(NZBC、現Radio New Zealand)が首都Wellington北郊のTihahi Bay送信所に残存していた第二次大戦に使用された米軍用短波送信機2基(豪州Amalgamated Wireless社製 7..5kW)を使用して1日2時間の放送を「Radio New Zealand」の名称で太平洋諸島・豪州・南極向に開始したのが最初である。放送は年々拡充され、1958年頃には朝夕2回、1日3.75時間となっ た。「小粒な海外放送」とその後も小出力で頑張っていたが、小出力のため聴取者がいないのではないかという疑念が政府内に生じ、1973 年には廃止勧告が出されるに至った。そして1976年当時政権にあった労働党政府は「予算の無駄」として放送を一時廃止してしまった。

 しかし太平洋諸島の国々から多数の苦情が寄せられ、国内にも廃止反対論が多かったために、放送は再開・継続された。その後も 1982年に再び廃止論議が起きたがこれも乗り切り放送は続けられた。

 1987年にフィージーで軍事クーデターが起こったのを機に太平洋諸島への情報提供の重要性が強く認識され、北島北部にある Rangitaikiに100kW短波送信機(Thomson社製TRE2315)を備えた新送信所を建設(1989年より運用開始)し、局名も Radio New Zealand International(RNZI)と改名し太平洋諸島向を中心として海外放送を強化した。

 RNZIの番組は好評を博し、1998年と2000年には英連邦内で最も優れた放送に与えられるRolls-Royce賞を獲得、また 2007 年には「International Radio Station of the Year」を得た。2006年にはRangitaiki送信所にThales(現Ampegon)社製TSW2100D短波送信機(100kW、DRM対 応)も導入された。以後は太平洋諸島の各放送局がそのまま高音質で中継できるようにDRM放送にも力を入れて(現在Cook、 Samoa、Tonga向に1日3回行っている)現在に至っている。隣国のRadio Australiaが短波放送を廃止した後も、太平洋向短波放送の継続を宣言し意気盛んだが、予算削減は続いており、2016年7月には1989年導入の 前述Thomson社製TRE2315送信機の更新を断念して廃止してしまい。現在はRangitaiki送信所に残った TSW2100D1基のみでの運用になってしまった。
 更に印刷されたQSLカードの発行も中止となり、現在はE-QSLのみの発行となった。受信報告はwebサイトからの入力のみに限定さ れ、郵便は受付けなくなった。

 番組面では国内向放送の中継の他、意欲的に太平洋諸島向の独自番組を制作して1日連続24時間放送するなど海外放送としての意地を見せ ている。スタッフは2015年には13名であったが、2017年にはLindar Clark局長以下22名と若干増加している。

 掲載したのは1967年、7.5kWのQRP局だった頃のQSLカード、2017年のE-QSLである。

 
 局の所在地: P O Box 123, Wellington, New Zealand (郵便による受信報告は受付けない)
 受信報告の方法: http://www.radionz.co.nz/international/qsl/new より入力
 電話:  + 64 4 474 1437
 FAX:  + 64 4 474 1433
 E-mail: info @ rzni.com
 URL: http://www.radionz.co.nz/international/
 

(左)1967年に受領した7.5kW時代Radio New Zeland(当時はこの局名)のQSLカード 図柄から当時から太平洋向中心であったことがわかる 「CABLEアドレス」が時代を感じさせる 大き さ 145×89mm
(右)同裏面、当時の周波数にはZLコールが与えられていた、受信したのはZL21であったが未記入、局のアドレスも現在とは異なっ てい る 発行者はDistrict ManagerのJ.L.Hartstonge氏、同時の海外部門は「地方局」扱いであったことがわかる
  


2017年受領のE-QSL E-mailで通知があり、特定の場所から一定期間ダウンロードできるようになっている  発行者は Frequency ManagerのAdrian Sainsbury氏。
2008年の放送開始60周年記念QSLのデザインをそのまま使用している 「Te Reo Irirangi O Aotearoa」はマオリ語の同局名 左上は同局のエンブレム 鳥は同国の国鳥キウィ



(左)録音中の同局スタジオ(YouTubeより)
(中)メンテナンス中のRangitaiki送信所の米国TCI社製送信アンテナ (同局HPより)
(右)送信技術者Andy Anderson氏が点検中のTSW2100Dの水冷式送信管 (同局HPより)
  


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