韓国気象庁海洋気象放送
Meteorological Radio Station HLL2 (Korea)


 韓国気象庁(Korea Meteorological Administration、略称KMA)海洋気象部が短波で行っている海上気象放送で、海外から行われている短波ユーティリティ局としては恐らく唯一 の「隠れた日本語放送」である。音声(USB)で毎時00分から5857.5kHzで行われており、韓国語、英語、日本語、中国語の順に女性の声 で各9-10分間海上気象情報を放送し、40分頃にs/offする。海上気象情報の内容は韓国沿岸海域(黄海中部、黄海南部、朝鮮海峡西部、朝鮮 海峡東部、日本海南部、日本海中部等)における現在、明日、明後日における風向・風速・天候・波高の観測値と予測値である。日本では21時頃の受 信が比較的良好である。

 送信所はソウル近郊の金浦にあり、音声放送には韓国製5kW送信機HSS-5KSAが使用され、アンテナは18m高のゲージ型を使用している。 音声放送の他に3585kHz(21:00-09:00)、7433.5kHz(毎時)、9165kHz(毎時)、 13570kHz(09:00-21:00)で気象FAXの送信も行われている。こちらは出力3kWである。コールサインは現在HLL2に統一さ れている。

 放送の開始は1971年であり、歴史のある気象放送と言えるが、かっては周知度や信頼度に問題があり、2011年3月には保守系の新聞朝鮮日報 が「韓国の船舶の75%が日本の気象庁のFAX放送を利用している」と批判した。海洋気象の予測モデルがなく、専門人材も不足していること、北朝 鮮と戦争状態(2010年には黄海上で天安沈没事件が起きた)にあるためあまりにも正確な気象情報の提供は不適切であることなどがその理由とさ れた。その後気象予測モデルや観測態勢が拡充された模様で、音声放送もAMからSSBに変更されている。

 なお北朝鮮にもかって日本海の気象状況を放送する「朝鮮東海海洋気象放送」が存在し短波の4700kHzで1970年代後半から放送を行ってい たことがあった。これは当時日本や韓国に海岸から侵入する工作員向に海洋気象情報を伝えていたものとされ、朝鮮半島沿海の気象情報は軍事的にも重 視されてきたことが分かる。

 韓国気象庁では現在インターネット上の「海洋気象情報配信システム」で音声情報、天気図情報も提供中で、船舶上からスマホやパソコンでも情報を 得られるようにしている。

 受信報告に対してはアマチュア無線形式(韓国にはこの形式ものが多い)のQSLカードが発行される。掲載のものは昨年12月の受信報告(英語、 返信料として1,000ウォン同封)に対するものである。

 受信報告の宛先:  大韓民國 07062 서울特別市銅雀區永登浦路16号61 大韓民國氣象廳海洋氣象部 海洋氣象放送

   (英文) Marine Meteorology Division, Korea Meteorological Administration, 61 , Yeouidaebang-ro 16-gil, Dongjak-ku, Seoul 07062, Korea

 URL: 韓国気象庁(英語・日本語・中国語あり、気象放送に言及なし) http://www.kama.go.kr
     韓国気象庁海洋気象部 http://marine.kma.go.kr
     海洋気象情報配信システム(韓国語・英語、音声・図像あり)  http://marine.kma.go.kr/m




(左)海洋気象放送のQSLカード表面 大きさ 140×100cm (右)同裏面 アマチュア無線形式、宛先は変更になっている 英語と日本語でコメントが入っている
  



(左)KMAの船舶 船腹には「海洋気象観測船(해양기상관측선)」と書いてある (以下すべてKMAの英文紹介パンフレットより)
(中)黄海の北格列飛島(격렬비열도)にある海洋気象観測拠点
(右)ソウル市銅雀区にある韓国気象庁(KMA)の建物--地下鉄7号線ポラメ(보라매)駅下車 
      



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