RRI-Palangkaraya (インドネシア)
20世紀には50局以上の短波局が存在し、「インドネシアDXing」という独自の専門分野さえあったインドネシアだが、2018年現在わずか
6局のRRI(Radio Republik
Indonesia)地方局を残すのみとなり、DXingの対象分野としての魅力はなくなりつつある。FM放送が未発達であった頃、熱帯地域
では空電に弱い中波放送より、短波放送の方が有利とされ、中波より少し上の120mb、90mb、60mbが「トロピカルバンド」として特に熱帯
地域向に割り当てられていた。当時は少ない送信施設で広い地域をカバーすることも求められていたため、1台の送信機で全国をカバーできる短波放送
は最も都合が良かった。20世紀の終わり頃からは熱帯地域にもFM放送網が建設されるようになり、更に21世紀になって携帯電話網が発展すると、
設備費や維持費が高い短波放送は敬遠されるようになり、インドネシアでも短波放送は続々と廃止されて行った。既に非RRIの短波局は消滅し、
RRI の短波局もFM放送網の発達が不十分な大きな離島に限られるようになった。
インドネシア・マレイシア・ブルネイ3カ国が領有する世界第3位の島であるボルネオ(インドネシアではカリマンタン)島は広大なジャングルに覆
われくまなくFM放送網を建設するのが難しい事情もあり、中部カリマンタン州の州都PalangkarayaにあるRRI-
Palangkaraya局は短波を継続している局の一つである。
ボルネオ島は歴史のある地域であるが、Palangkaraya(Palangka Raya:
「偉大な聖地」という意味)の歴史は新しく、インドネシア独立後の1957年に当時のスカルノ大統領の命令でJakartaに代わる「新首都」として開発
が始 められた、20世紀の「新都市」である。Jakartaのあるジャワ島は火山や地震等の自然災
害が起こりやすい上に政敵が多いため、その恐れのないこの地域に着目したのだが未だに首都にはなっていない。それでもPalangkarayaの人口は増
加して現在は人口約25万人と、同国の島嶼部(ジャワ本土以外)で最大の都市なっている。
この地でRRIの短波放送が開始されたのは1964年頃で、出力1kWの短波送信機2基により、
2350kHz(コールYDZ6)と3325kHz(コールYDZ7)で放送が開始された。120mbの波はその後すぐに使用されなくなったが、
放送は現在も使用されている3325kHzで継続された。1980年代には出力は10kWに増力され、60mbの周波数である4920、
5025kHzも追加された。当時の日本では3325kHzの受信状態が一番安定していたように記憶している。1992年には日本の援助でNEC
製50kW用送信機HFB-8047が導入されたが出力は10kWで放送している。FM放送等の充実によりその後60mbの2波は廃止されたが、
3325kHzは残存し現在に至る迄使用されている。
3325kHzの受信チャンスは夜間(公式放送時間は07:00-10:00、18:00-02:00)である。同一周波数にパプアニューギニ
アのNBC
Bougainvilleが出ているので、同局が終了する21:00後が狙い目である。送信機は四半世紀以上を経て老朽化しており電波が出ていない事が多
いが何とか頑張っている模様だ。現在のメイン周波数は現在第1送が89.2MHz(5kW)、第2放送が92.4MHz(3kW)、第3放送が
95.9MHz(5kW)であり、3325kHzは第1放送を中継している。またインターネット上のストリーミング放送も行われている。FMの小
出力中継局もあるが、広大な地域をカバーするには 不足しておりやはり短波は大切だと思われる。
2018年6月中旬からは廃止されたCimmangis短波送信所の代替として、日本語放送を含むVoice of
indonesiaが送信されるようになり、国際短波局として一躍脚光を浴びている。
従来からレター形式のQSLを発行していたが、郵便事情等から返信率は芳しくなかった。掲載のものは2007年8月に3325kHzで受信し、
インドネシア語で返信料(IRC)同封の受信報告に対して1ヶ月後に受領したものである。
受信報告の宛先: Jalan M Husni Thamrin 1, Palangkaraya 73112,
Kalimantan Tengah, Indonesia
TEL/FAX: +62 536 3222643
URL: http://www.rri.co.id/palangkaraya/home.html (接続不能な場合もあり)
Facebook: https://id-id.facebook.com/rripalangkaraya/
2007年受領のレター形式QSL
発行者は局長のTriwiyono Gunawan氏、第147号の文書番号がついている
ロゴの下の「SELALI DI URADATETAP DI UDARA」は「放送したものは心に残る」
局印の上半分の「LEMBAGA PENYIARAN PUBLIK」は「公共放送」
(左)RRI-Palangkayaのポスター「聴衆朋友の皆さん」 (右)スタジオ風景 (何れも同局の
facebookより)
コロニアル風の同局局舎 (同上)
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