極東放送(극동방송) HLKX (韓国)
 Far East Broadcasting Co.  HLKX (Korea)


 
  韓国の極東放送(FEBC)は、米国に拠点を持ち現在はフィリピンから主として送信しているFar East Broadcasting Companyの韓国法人である。FEBCはプロテスタントの宣教を目的に1945年、米国のJohn Broga、Bob Bowman両氏によって設立され、当初は中国上海を拠点に放送していた。しかし1949年に中華人民共和国が成立した後は活動が困難となったため、同年以降フィリピン、韓国、沖縄(1973年に「アジア放送」として済州島に移転、2001年に済州極東放送となる)を放送拠点にすることになった。フィリピンからは短波・中波、韓国・沖縄からは中波で放送した。

 韓国では1954年に韓国福音主義放送協会が設立され、同年に当時の大韓民国逓信部から放送免許を取得した。そして1956年12月23日に1230kHz(2kW)、コールサインHLKXで放送を開始した。韓国では2番目に開局したキリスト教系民間放送(最初に開局したのはコールサインHLKYの「基督教放送」)であった。1963年には取締役の構成が不十分として一時放送免許が失効したが、2ヶ月後に再交付された。当初から国内向だけでなく海外向を意識した放送内容で韓国語、英語、ロシア語(現在はない)、中国語で放送した、1968~1980年には一時モンゴル語放送も行った。 周波数はその後出力の増加とともに、1065kHz(1958年、20kW)→1060kHz(1960年、50kW)→1190kHz(1966年 50kW)→1188kHz(1978年)のように変遷した。1969年には方向切替可能な指向性アンテナを韓国で初めて導入し、1987年には 出力を100kWに増力した。またソウルでは2000年に106.9MHz(冠岳山送信所、5kW)でFM放送も開始した。FM放送ではFM独自番組も放送している。

 放送局の建物は仁川市にあったが、1967年に現在のソウル市麻浦区に移転し、2012年には新社屋に建て替えた。1989年以来地方FM局の増設に着手し、大田、昌原、木浦、束草(嶺東)、浦項、大邱、蔚山、釜山、光州、麗水(全羅南道東部)、益山(全北)に支局を持つ。それぞれの支局は地名をつけて「○○極東放送」と呼ばれているが、束草・麗水・益山はカッコ内に記した地域名を冠している。それぞれの支局では独自の番組も放送しており、独自のHPを有している。済州極東放送のみはその経緯から中波・FMを持ち、特別な存在である。

 1988年に竣工した現在の芳山(バンサン)送信所は始興市芳山洞にあり、ここから送信されている1188kHzの中波放送は中国・北朝鮮向と言って良いくらいで、朝05:00に放送される「夜明けの礼拝」は北朝鮮の「地下キリスト教徒」向とされている。現在英語放送1日1時間、中国語放送1日1時間がある他、北朝鮮向VOA朝鮮語放送の中継が4時間、北朝鮮向RFA朝鮮語放送の中継が4時間あり、米国IBBの「Seoul中継局」の役割も果たしている。なお米国本社ではHLKXの機能を更に強化する方針で、市街地にある芳山送信所を郊外の北朝鮮国境近くに移転させることにしており、既に250kWの新中波送信機を設置したとのことである。

 米国系であるため政治的には保守右派を支持しており、例えば「太陽政策」には反対の立場で、番組内容にもそれが反映される傾向があるとされている。現在の左派政権との関係は微妙であると考えられる。

 日本では同一周波数にNHK北見がいるが、東京での受信の場合北見と仁川は方向角度が丁度90度異なるため、ループアンテナの指向性を利用するとNHK北見の混信を除去して受信することができる。

 昔からリスナーには親切な局で、全文英語のQSLカードが発行されている。またVOA、RFAの中継受信に対してはそれぞれのQSLカードが発行される。

 受信報告の宛先; P.O.Box 88, Mapo, Seoul 04067, Korea または 〒04067 韓国서울特別市麻浦区上水洞56
   電話: +82 2 320 0114
  FAX:   +82 2 320 0229
   URL:  http://febc.net (インターネット放送も実施)

 VOAの受信報告宛先;   qsl @ usagm.gov

  RFAの受信報告宛先;   http://www.techweb.rfa.org/  または qsl @ rfa.org

 
(左)1966年のQSLカード表面 大きさ 85×142mm 1060kHz 50kWであった 当時「TEAM RADIO-KOREA」と称していた
(右)同裏面 発行者・署名は当時の米国人Director Bob Livingston氏 当時あったロシア語放送の受信に対して発行された 局は仁川にあった 時刻はGMTで記載されている
 


(左)2017年に発行されたQSLカード表面 大きさ 99×150mm 芳山送信所の写真
(右)同裏面 すべて英語だが時刻はKSTで記載されている 住所の郵便番号は2015年8月15日以前に使用されていた古い6桁番号となっている
 


(左)HLKX中継のRadio Free Asia(RFA)朝鮮語放送に対する2017年発行のQSLカード(RFA発行) 送信所は「Asia」となっている
(右)HLKX中継のVoice of America(VOA)朝鮮語放送に対する2019年発行のQSLカード(USAGM発行) 送信所は「Seoul」となっている
 


(左)FM周波数が大きく記載された同局のステッカー 左下は同局のロゴ
(右)ソウル市麻浦区にある同局の本社 現在の本社ビルはソウル市麻浦区上水洞にあり2012年に落成した (Wikipediaより)
 



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