Station T8WH (ex KHBN T8BZ)  (Palau)

  南洋の国パラオからの短波放送として安定に受信できていたのがこのT8WHである。これは短波送信所のコールサインであるため、放送でアナウンスされることはなかった。2019年10月までは米国に本拠地がある宗教局World Harvest Radioが所有して同局の専用短波送信所の一つとして機能していたが、元々は同局の送信所ではなかった。

 この送信所は1992年に同じ米国に本拠地を置く宗教局High Adventure Ministries(現在のKVOH/Voice of Hope)によりアジア(主として中国、インド、インドネシア、日本)向放送の拠点としてパラオのBadeldaob島(旧首都Kororは南の Koror島にあったが、現在の首都MelekeokはBadeldaob島にある)に建設された。当初はコールサイン KHBNで「Voice of Hope」の放送が開始された。送信機はエクアドルのHCJBから中古のものを移設調達(RCA製BHF-100B送信機2基)した。その後1997 年には100kW送信機(Harris社製SW-100)を新規調達して送信機能を強化した。KHBNは米国のコールサインであるが、これは当時の「パラ オ共和国」(1981年成立)が米国から完全に独立した国ではなかったためである。同国は1994年に完全独立し国連にも加盟した。独立後に割り当てられた コールサインはT8であるため、コールサインはT8BZに改められた。Voice of Hopeの放送はその後も継続されていたが、2009年に送信所のオーナーが変わることになった。

 1985年に米国で設立された宗教局World Harvest Radioは当初米国インディアナ州Noblevilleから送信を行っていたが、1993年にアジア・太平洋向送信拠点としてハワイのNaalehu送信所(コールサイ ンKWHR)を設立し、強力な電波を発射した。しかしKWHRの送信免許の期限が2009年であったため、同年World Harvest RadioはパラオのT8BZを譲り受け、アジア・太平洋向送信拠点をパラオに移転した。コールサインはT8WHに変更されたが、現地の連絡先(P.O.Box 66, Koror, PW 96940)はT8BZの時代と同じものが引き継がれた。3基の送信機にはAngel 3~5のニックネームが割り当てられた。なおパラオには現在でも米国のWコールを称しているFM局があるが、これは正式のコールサインではなく局の名称ということになっている。

 T8WHからはWorld Harvest Radioの番組の他、米国の他の宗教団体の放送、日本から北朝鮮に向けた「しおかぜ」、「ふるさとの風」・「日本の風」や、最近はRadio Japanの中継も行っていた。日本向日本語放送としてはSeventh-day Adventist Churchの「主の来臨に備えて」(Preparing for Jesus coming 波平三枝子氏制作)を送信していた。

 上記のような体制が続いていたが、2019年10月末にWorld Harvest Radioは突如パラオ送信所の閉鎖を発表し、同局の送信拠点は米国本土のみとなった。同時に「主の来臨に備えて」の送信(Tashkent送信所からの送信に変更)、Radio Japanの中継(Al-Dhabayya送信所からの中継に変更)も中止され、パラオからの短波放送は「昔のこと」になってしまった。理由は明らかにされていないが、送信需要の落ち込みと老朽化した設備の更新費用の問題があったものと推察される。

 パラオ現地にはT8BZの流れを組むFM局としてT8BZ-FM 88.5MHzがあったが、現在は放送していない模様でWRTH2020には別の局がリストされている。World Harvest RadioとしてはT8WH-FM 102.5MHz(200W)が残っている。

  KHBNの時代は当初Kororの連絡先から直接レターによる受信証を発行していたが、その後はVoice of Hope共通のQSLカードに変わった。 World Harvest Radioになってからは受信報告をKororに送っても米国に転送され、返信は米国から来た。またT8WHになってからも カード裏面にはHawaiiのKWHRが送信所として印刷されており、表面のデザインも共通のものであった。2015年に発行された創立30周年 記念カードからは送信所名がT8WHと改められたようである。更にT8WHの独自カードを発行するようになったのはごく最近のことである。送信所の廃止を見越した粋な計らいだったのかも知れない!独自カードはまだ在庫がある筈なので、10月以前のログを持っている人は下記のアドレス(web上のフォームで送付した方が確実である) に受信報告を送付すれば入手可能と思われる。送信所の廃止に伴いKororのアドレスは使用しない方が安全である。

 受信報告の宛先: World Harvest Radio, 61300 Ironwood Rd, South Bend, IN 46614, USA
   またはweb上のフォームで https://familybroadcastingcorporation.com/whr/quality-reception-report/

 URL:   https://familybroadcastingcorporation.com/whr/

 E-mail:  https://familybroadcastingcorporation.com/about-us/contact-us/

 TEL: +1 574 291 8200

 FAX:   +1 574 291 9043


(左)2019年8月の受信に対するQSLカード表面 T8WH独自のカード Kororの私書箱宛のレポートに対してインディアナ州の本部より送られてきた 大きさ 140×105mm
(右)同裏面 番組名が書いてある 発行者"LWV"はDirector of EngineeringのLarry W. Vehom氏と思われる なおURLのhttp://www.whr.ogrは現在有効でなく、別のURLにリダイレクトされる

 


1993年High Adventure MinistriesがKHBNとして送信開始した時にKororから直接送られてきたQSLレター   発行者はBen Cobrae氏 大きさはB5版 レターヘッド部分に手書きで「KHBN-PALAU」 と記入してある RCA製の送信機(BHF-100B)を半分の出力50KWで使用していると書いてある



(左)KHBN時代の送信棟内部と現地スタッフ (右)開設当初のKHBN送信所鉄塔群 (当時のHigh Adventure MinistriesのHPアーカイブより)
 


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