済州極東放送(제주극동방송) HLAZ (韓国)
FEBC-Jeju HLAZ (Korea)
2020年現在FEBCの日本語放送を送信している済州極東放送(HLAZ)は一見多数ある韓国極東放送の地方子会社の一つのように見えるが、その成立ちからして他の地方局とは異なっており、20世紀にはソウルのHLKX局とは別局であったため取り上げる。
ソウルの本局とは異なり、済州極東放送のルーツは日本の沖縄にある。米国の本拠地を置くFEBCは1958年、フィリピン、韓国に次ぐ第三の送
信拠点として当時米国領であった沖縄を選び、1958年2月23日に沖縄浦添送信所からKSAB(1020kHz、5kW)のコールサインで沖縄向に英
語・日本語の放送を開始した。1960年にはKSDX(1250kHz、5kW)を開局し、KSDXは日本語、KSABは英語で放送した。更に1961年
には国際放送としてKSBU(1380kHz、100kW)を開局し、中国向けに中国語放送を開始した。以降はこれら3つの周波数で放送を行っていたが、
1972年5月沖縄は日本に返還された。暫定措置としてKSDXはJOTF、KSABはJOFFのコールサインで一定期間継続放送が許可されたが、国際放
送KSBUの継続は許可されなかった。
JOTF、JOFFの中波放送は1984年8月31日まで継続されたが、同年9月1日からはFM放送「エフエム沖縄」(87.3MHz)となり現在に
至ってい
る。一方国際放送KSBUの方は送信拠点を韓国済州島に移すことが事前の1970年には決定され、1971年には韓国政府から放送免許を取得した。
1972年12月に財団法人「亜細亜放送局(아세아
방송국)」が設立され、翌1973年6月30日、済州市西郊の涯月(エウォル、애월)送信所からコールサインHLDA、1570kHz、出力250kW
で、中国語、日本語、ロシア語による海外向け放送の送信を開始した。1974年からは韓国語放送が追加された。1978年には周波数を現在の
1566kHzに変更し、1980年にはコールサインを現在の
HLAZに変更し、同年局名も「亜細亜放送局」から「亜細亜放送(아세아방송)」に改名した。
1992年よりは24時間放送となり、1994年には新社屋を完成した。1997年には初のFM局として西帰浦(ソギポ、서귀포)FM中継局
(101.1MHz、90W)が開局した。21世紀を迎えた2001年には韓国極東放送に吸収合併され、子会社済州極東放送となり今日に至っている。
2012年には涯月送信所設備の全面入替を行い送信能力を強化した。2017年には済州市内より104.7MHzで本格的なFM放送も開始された。中国向
送信能力の強化に対して中国は吉林省延吉に1566kHzのジャミング専用送信機を設置して中国向放送の妨害を本格化した。2018年からは北朝鮮向に
Radio
Free Asia(RFA)及びVoice of America(VOA)の中継も開始され、米国との連携も強化されている。
現在FM放送は国内向韓国語放送、AM放送は日本・中国・ロシア向海外放送+国内向韓国語放送の構成で、FMとAMで別番組を放送している場合と同一番組
を放送している場合がある。また国内向放送番組も、ソウル本局と同じものを中継している場合と別番組、独自番組を放送している場合がある。海外向放送はそ
れぞれの制作拠点で制作された番組を流しており、ビームを切り替えて放送している。1日1回ずつ中継されているRFAとVOAの朝鮮語放送は番組表上は
「衛星放送」と表示されている。
A20スケジュールでのHLAZ海外向送信のスケジュールは以下の通り。日本では日本向ビームで送信されているFEBC日本語放送が最も聞きやすい。
19:00-20:00 RFA朝鮮語、20:00-21:30 FEBC中国語、21:30-22:45 FEBC日本語、22:45-01:30 FEBC中国語、01:30-02:00 FEBCロシア語、02:00-03:00 VOA朝鮮語。
20世紀には局直接の他、FEBC日本語放送でも条件付でQSLカードを発行していた。その後FEBC日本語放送ではQSLカードを発行しなくな
り、また局直接の発行も行われなくなり、受信報告はソウル本局で一括して受付るようになった。一時HLKXとHLKZで別々のQSLカードが発行されてい
たこともあったが、最近ではソウル本局ではeQSLのみを発行している模様である。数年前からは直接独自のQSLカードも発行されるようになった。受信報
告は英語または韓国語で、1000ウォン相当以上の返信料を同封することが望ましい。
受信報告の宛先(局直接): 韓國 63050 濟州特別自治道濟州市涯月邑가문동상4길67
67,
Gamundongsang 4-gil, Aewol-eup, Jeju-si, Jeju-do, 63050 Korea
URL: http://jeju.febc.net
電話: +82 64 713 8100
FAX: +82 64 713 8105
受信報告の宛先(ソウル本局): 韓國 04067 서울特別市麻浦區上水洞56 または P.O.Box
88, Mapo, Seoul 04067, Korea
E-mail: chungsookorea @ gmail.com (担当責任者Kim Chung Soo氏直接)
(左)沖縄極東放送KSDXの受信証 1967年発行
日本の民放には珍しいフォルダー形式である 写真はKSDX/KSABの浦添送信所(KSBUは門標に記載されていない)受信データ・コメント記入済みの
完全ベリである 発行者はミツトミ ヒサオ氏 大きさ 178×162mm
(右)1967年当時の沖縄極東放送の局舎 KSDXとKSABの表示がある 日曜日の14:00-16:00には両局からそれぞれ左右のチャンネルを放送する「ステレオコンサート」が行われていた
1973年送信開始当時の涯月送信所 左奥は雲に隠れた漢拏山らしい(FEBC International Archiveより)
(左)1973年送信開始直後のコールサインHLDAのQSLカード表面 FEBCのマークとコールサインだけのシンプルなデザインである 済州のローマ字表記が現在とは異なる 大きさ 151×103mm
(右)上記裏面 韓国語と英語併記で、受信データはタイプ打ちである 連絡先は済州郵便局の私書箱で、局名は韓国語の方は「亜細亜放送局」となっているが、英語はFAR EAST BROADCASTING CO.と表記されている。
(左)2020年局から直接発行のHLAZカード表面 新局舎とその後ろに新装なった涯月送信所の鉄塔群が見える 大きさ 149×100mm
(右)同カード裏面 1994年迄使用された旧局舎と当時の涯月送信所、後ろには東シナ海が見える 英語であるが、受信データが無記入で送られてきたため自分で記入した
(左)2020年にソウル本局から送られてきたeQSL 上部のレターヘッドは筆者が追加 発行者はManager of International RelationsのKim Chung Soo氏
(右)2020年にRFAから送られてきた1566kHzの受信証(送信地はAsiaとされている)
(左)AM周波数にFM2周波数が入った最新のステッカー
(右)AM1566kHz送信用のNautel社製NX300送信機(運用出力250kW) (FEBC International Archiveより)
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