月刊短波2020年7月号(第2版)
編集 赤林隆仁  時間 JST

◎南極Radio Nacional Arcángel San GabrielがUSBモードでの送信試験 2版新規
 ウルグアイのHoracio A. Nigro氏によると、南極のRadio Nacional Arcángel San Gabrielは7月11日の23:00-24:00に15476kHzでUSB放送を行ったが、同局の送信技術主任によれば、更に送信試験を継続する予定で、次回は7月18日及び7月25日(いずれも土曜日)の14:00-17:00に15467kHzで実施する。試験送信の受信報告はtranalra36 @ radionacional.gov.arまたはFacebook Esperanza San Gabriel (https://www.facebook.com/operador.emisora)へ。eQSLが発行される。(WORIG 7/13)

◎VOAの局長・副局長が辞任
 VOAの局長Amanda Bennett氏、副局長のSandy Sugawara氏が6月15日に辞任した。2人とも2016年4月の就任以来4年少しでの辞任となる。この間VOAのオンライン聴取者数は週1億900万人から2億8090万人と3倍近くに増加した。また言論報道の自由がない地域の人々に、米国の実情や考えを知らしめるというVOAの使命は十分に達成されてきたといえる。特にシリコンバレーの実情を伝えるために同地に事務所を開設、ニュースの裏付けをとるためのチームを創設、学生専用のブログやwebサイトを立ち上げ、さらに報道の自由について強く主張した。制作面では難民や女性に焦点を当てた番組編成を各言語で強化した。Amanda Bennett氏はハーバード大学卒業後、Bloomberg News、Philadelphia Inquirer、Lexington Herald-Leaderの編集責任者、Wall Street Journalのレポーター、 Washington Postのコラムニスト等を歴任し、1997年以来数々のジャーナリスト関係の賞を受けている。Sandy Sugawara氏はWellesley大学卒業後、UPIの記者、Washington PostのオンラインニュースサービスTriveの編集責任者、Washington Postの営業副社長を歴任した。日本特派員として7年間東京にいたこともある。(VOA Press Release 6/15)
 米国のDan Robinson氏によると、トランプ政権に「中国の手先」と批判されたAmanda Bennett VOA局長は退任に際し次のような趣旨のメッセージを局員に残した。VOAが何を目指すべきかは自明のことである。多様な価値を自由に反映し、相互に信頼しあい機会を与えあい、人種に拘わらず仕事の価値に見合う賃金が支払われるように努力を続けてきたがまだ足りない点は残っている。 VOAは米国をすべての局面から映し出す必要がある。だから忌まわしい過去の奴隷制度の歴史や、最近警官に拘束されて死亡したGeorge Floyd氏のショッキングなビデオの内容、George Floyd氏追悼デモの際の略奪放火行為や警官による制止行為の様子もそのまま海外に放送した。米国の美しい側面を見せるとともに、そうでない部分も包み隠さず外国の聴取者に見せるのがVOAの使命であると考えている。人種や宗教の違う人々、支持政党の違う人々、年齢や性別が違う人々が共生してゆくのがこの国の理想であるし、世界の理想でもあるからだ。(WORIG 6/9)

辞任したAmanda Bennett局長(左)とSandy Sugawara副局長(右) (VOA Newsより)


◎USAGMのMichael Pack会長が配下の放送機関局長を解任  2版修正
 ドイツのHansjörg Biener氏が、RFE/RLのプレスリリースとして伝えたところによると、6月初旬に正式就任したUSAGM(US Agency of Global Media)のMichael Pack会長は、6月17日にRFE/RLのJamie Fly局長を解任した。後任には副局長のDasy Sindelar氏が就任する。解任に当たりJamie Fly氏は「生涯で最も光栄な日々であった」、「今後も過去70年と同様なインパクトを与える存在であることを期待する」と述べた。くしくもRFE/RLは「言論の自由」がない国々向けに放送を開始してから今年で70周年に当たる。Michael Pack長官は既にRadio Free Asia(Bay Fang前局長は中国系米国人)、Middle East Broadcasting Network、Radio TV Martí等配下の放送機関の局長を解任しており、VOAの局長・副局長らは自ら辞任している。なおMichael Pack氏は保守派の映画制作者と知られ、トランプ大統領により2018年6月にUSAGMの会長(CEO)に指名された。(WORIG 6/22)  6/22の「The Atlantic」誌は、これでUSAGM配下組織のトランプ化が完了し、VOA等の国営放送はすべてトランプの宣伝機関になったと批判しています。 VOAでは「Jazz Hour」のような政治色抜きの番組が旧共産圏を含む世界中の人々に愛され、米国の文化を伝えるのに役立ったとしています。RFAの局長は昨年11月にLibby Liu氏からBay Fang氏に交代しておりましたので修正致します。

(左)Michael Pack USAGM新会長氏(中)解任されたJamie Fly RFE/RL局長(右)解任されたBay Fang RFA局長 (USAGMのHPより) 
  

◎トランプ政権の放送人事に民主党が反発
 
英国のMike Cooper氏が、Reutersの報道として伝えたところによると、民主党のEliot Engel氏が委員長を務める下院外交委員会はUSAGMのMichael Pack会長に対して7月8日にトランプ政権による一連の局長解任人事についての証言を求める事にした。USAGMはこれに対して何も回答していない。米国では法律で、国営放送といえども独立して運営され、大統領から直接の指示命令を受けないとされているためである。民主党はトランプ大統領がUSAGMのトップにMichael Pack氏を指名した時からこれに反対してきた。Pack氏はSteve Bannon氏とともにトランプ政権を支えるマスコミ対策チームの一員であったが、共和党が多数を占める上院で6月に正式承認されて会長に就任した。 (WORIG 6/23)

◎海岸局Tallinn Radio/Odessa Radio

 New Zealand DX Times 2020年7月号によると、3310kHzLSBで欧州の珍カントリーであるエストニアとウクライナの海岸局が定時気象通報を英語で流している。そのスケジュールは以下の通り。
 Tallinn Radio: 11:33-11:43 15:33-15:43 19:33-19:43 23:33-23:43 03:33-03:43 07:33-07:43
    Odessa Radio: 09:23-09:33 13:23-13:33 17:23-17:33 21:23-21:33 01:23-01:33 04:23-05:33
(WORIG 6/1) Tallinn RadioはコールESA、Odessa RadioはコールUTT、3310kHzをシェアしているのはこの2局だけのようです。

◎GTRK Adygea短波放送の夏スケジュール
 RUS-DX 5/31によれば、ロシアに残る唯一の短波放送GTRK Adygea(アディゲ共和国)の夏スケジュールは次のようになっている。周波数は6000kHz(100kW、188度)。
 土曜 03:00-04:00 アディゲ語・アラビア語・トルコ語
 火曜 03:00-04:00 アディゲ語
 月曜 04:00-05:00 アディゲ語
(WORIG 6/1)

◎ "Broadcasting in Russian" Handbook第28版発行
 RUS-DX 5/31にAlexander Berezkin氏が発表したところによれば、 "Broadcasting in Russian" Handbookの第28版がSt. Petersburg DX Clubより発行された。A20シーズンに長波・中波・短波で放送中の世界30カ国43放送局のロシア語放送の周波数、放送スケジュール、送信地、送信出力、ターゲット地域、住所、電話/FAX番号、URL、SNSページ、E-mailアドレス、QSLポリシーを明記したものである。更に14カ国16局のロシア語インターネット放送についての情報も掲載している。体裁はA5版64ページ。冊子版のみで、価格は送料込で€6またはUS$7で、現金、PayPal、Skrillで受付ける。申込先はc/o Alexander Beryozkin, Neva Radio Electronic Co. Ltd., P.O. Box 13, St. Petersburg, 192007, Russia、PayPal送信先のメルアドはdxspb @ nrec.spb.ruである。(WORIG 6/1)

◎St. PetersburgのFM局は新型コロナウイルスでSOS
 RUS-DX 5/31によると、St.Petersburg市内の19のFM局経営者は連名でロシア政府に対して新型コロナウイルス被害対象企業に認定するように求めた。新型コロナウイルスの影響で広告収入が激減し手持ち現金がないにも拘わらずロシア政府が周波数使用料を徴収していることは問題だとしている。元記事は https://m.fontanka.ru/2020/05/21/69272308/(ロシア語)を参照のこと。(WORIG 6/1)

◎デンマーク短波関連局リスト
 デンマークWorld Music RadioのStig Hartvig Nielsen社長によると、同国で短波放送を行っている局の周波数及びスケジュールは次の通りである。
   Radio 208
  1440kHz Ishoj 500W 24H
     5805kHz Hvidovre 75W(150Wに増力予定) 24H
  Radio OZ Viola
     5825kHz Hillerod 150W 木曜 05:00-07:00 土曜・日曜 20:00-22:00 
  World Music Radio
    5840kHz Bramming 100W(500Wに増力予定) 24H
    15805kHz Randers 200W 土・日曜 16:00-翌日05:00
  追加予定 927kHz Hvidovre 500W
(WWDXC TP 1427)

◎ポルトガルRadio SIMが全土で閉局に
 スペインのJorge Garzon Gutierrez氏によると、ポルトガルのRenascenca Multimedia Groupが2008年より全土で運用(中波計13局、1~100kW)していたRadio SIMが経営難により閉局することになった。英国のDave Kenny氏によると、昨年末時点で既に5局しか運用が行われておらずしかも1~3kWの減力運用であった。既に元に戻すことはしないとされてい た。(WWDXC TP 1427)

Vatican RadioのSanta Maria di Galeria送信所訪問ビデオ公開
 オーストラリアのRob Wagner氏によると、イタリアのアマチュア無線家Ennio d'Onnofrio氏(IK6DTA)は、ローマ北郊にあるVatican RadioのSanta Maria di Galeria送信所を2013年10月19日に訪問した時のビデオを制作しYouTube上に公開した。https://medxr.blogspot.com/2015/07/a-visit-to-vatican-radio-transmitters.html?fbclid=IwAR2-DhfVuyoAIhcyCXwUGNrWcTEOopm4oOlP-wQzmPfdKj9_VCoIvrQcxD0を参照のこと。(WWDXC TP 1427)

同ビデオの開始部分


◎Global Radio Guide 2020年夏版発行
 Teak Publishing社の社主Gale Van Horn氏によると、同社から、2020年夏(第14)版Global Radio Guideが発行された。Gale Van Horn(W4GVH)氏自身の編集で、第14版では、第13版の読者からの要望に基づきSDR受信機選択ガイド、SDR受信機の使い方に関する情報に力を入れたとのことである。例えばMike Chace-Ortiz氏による「リモートSDR受信機を使用した短波電波の方向探知方法」、Tom Witherspoon氏による「AirSpy HF+受信機の屋外活用法」などである。SDR受信機の基礎、最新製品の紹介やレビューを幅広く行っている。メイン部分は500局に及ぶ放送局(長波~短波)の時間別スケジュールである。またDX番組一覧、各局のURLの情報、時報局の情報の他、短波気象FAX局の情報も掲載している。詳細は同社のweb サイトhttp://www.teakpublishing.comを参照のこと。Kindle電子版のみの提供で、アマゾンからすぐにダウンロードして利用できる。(WWDXC TP 1427) 742ページで価格はUS$8.93。

Global Radio Guide Summer 2020


◎NBC Bougainvilleに有力者が寄付
 NBC facebookによると、北ブーゲンビル地域代表のWilliam Nakin氏はNBC Bougainvilleに放送局維持費用として5万キナ(約150万円)の寄付を行った。寄付された資金は放送機材の購入等同局の維持に必要な費用として使われる。ブーゲンビル島はパプアニューギニアから今後独立する見込みが強く、その時にはNBC Bougainvilleは唯一の国家放送メディアとなる。なお他に同局のKJ Komo局長、南ブーゲンビル地域代表で通信大臣のTimothy Masiu氏、パプアニューギニアNBCのKora Nou会長も寄付を行った。(Australian DX News May-June via WORIG 6/3)

◎Ampegion社第三世代のソリッドステート短波送信機発表
 スイスのAmpegion社は、第三世代のソリッドステート短波送信機を発表した。旧世代のものと比べると著しく省エネとなっており少ない消費電力で高出力・高品質の放送が可能になるとしている。短波放送でも中波・FM放送並の品質が実現でき、有用性が高いという。また同時に100~500kW送信機稼働用の発電システムも提供する。同社では前身のThales or Thomson社時代の送信機や送信システムからのアップグレードを期待している。(Australian DX News May-June via WORIG 6/3) 省エネや高品質はDRM送信時のことを示すと思われます。出力は1.5/3/6/12/25kWとQRPで、小規模送信所向です。カタログは https://ampegon.com/wp-content/uploads/2019/12/Leaflet_Solid- State_Shortwave_Transmitter.pdfからダウンロードできます。

Amegion社第3世代短波送信機(同社のカタログより)


◎新型コロナウイルス対応でNBC Morobe復活
 4月初旬、新型コロナウイルスに関する情報を提供するためにパプアニューギアのNBC Morobe(在モロベ州Lae)の送信機修理が行われ、810kHzの中波放送を復活した。この放送の復活で、モロベ州、マダン州、東部山岳州や南部の一部等広範囲で中波放送が聞こえるようになった。(Australian DX News May-June via WORIG 6/3) 

5月29日に行われた再開所式に掲げられた局名板(同日EMTVがYou Tube上に公開したビデオより)

 
◎ノルウェイ最後の中波AM局送信機を更新
 英国のMike Terry氏によると、ノルウェイに残る最後の中波AM局であるNRK Svalbard 1485kHzの送信機が5月27日、新型に更新された。旧送信出力は1kWであった。当面出力は1kWのままだが、更に更新作業を継続し今年夏には3kW程度に増力される予定でSvalbard地区でのサービスエリアが拡大するとされている。(WORIG 6/3)

◎インターネットラジオ放送の歴史本出版
 インドのJaisakthivel氏によると、インターネットラジオの歴史について記述した「Sound Streams - A Cultural History of Radio-Internet Convergence」(Andrew J. Bottomley著)が米国ミシガン大学出版局から発行された。338ページ、価格はUS$49.95、pdf版もある。詳細は https://www.press.umich.edu/9978956/sound_streamsを参照のこと。(WORIG 6/2)



◎Grimenton Radio SAQ定例送信
 英国のMike Terry氏によれば、スウェーデンの保存無線局Grimenton Radio SAQは今年も「Alexanderson Day」に当たる7月5日にAlexnader Alternatorから17.2kHzにて超長波のCW送信を行う。スケジュールは18:00と21:00の2回で、30分前から調整信号を送出する。 送信の模様はYou Tubeでも中継される。受信報告はAlexander Association, Radiostationen, Grimeton 72, SE-432 98 Grimeton, Swedenで受けつける。同時にアマチュア無線局SK6SAQが開設され、7035kHz CW、14035kHz CW、3755kHz SSBで交信を行う。詳細はhttps://alexander.n.se/alexanderson-day-2020/?lang=enを参照のこと。(WORIG 6/9)

◎AM Radio Log第41版発行
 米国National Radio ClubのWayne Heinen氏によると、同クラブは「AM Radio Log」第41版を出版する。米国及びカナダの中波放送の情報を網羅しており、州、周波数、コ-ルサインから引けるようになっている。AM放送の内容をそのまま中継しているFM中継局も掲載されている。体裁は21.6×28cm、3穴の米国ルーズリーフ形式、302ページ。12ページにわたる使用法説明付。一般海外向価格は航空送料込みでUS55.00である。詳細及び注文方法はhttp://www.nationalradioclub.org/を参照のこと。(WORIG 6/10)

◎Warsan Radioがハムバンド内に出現
 米国のBruce Churchill氏によると、7600kHz等へのQRVを繰り返していたソマリアのWarsan Radioが6月12日ついにハムバンド内の7110kHzUSBに出現した。ニュージーランドのリモートKiwiSDRで確認した。(WORIG 6/12)
   米国のDan Robinson氏、フィンランドのMauno Ritola氏らも00:00頃同一周波数で確認した。Bruce Churchill氏は、アイコムが海外向けに販売していたマリンバンド用トランシーバーIC-M700を送信機として使用していると推定している。氏がこの件で同局のHassan Tubey氏に問い合わせたところ、ハムバンド内で混信を起こすことは認識しているので、元の7750kHzに戻す努力をするとのことであった。 (WWDXC TP 1428)

◎B20 HFCC会議新型コロナウイルスで中止
 カナダのRichard Langley氏によれば、8月にブルガリアで開催される予定であったB20のHFCC調整会議は、新型コロナウイルスの影響で中止されることになった。B20の周波数調整は電子的手段で行われることになった。(WWDXC TP 1428)

◎REEコスタリカ中継局の資料
 かって存在したスペインREEのコスタリカCariari中継局に関する資料が以下のサイトに集約されている。https://app.box.com/s/3vwxwkwxaqr92h38xtjvf1fos5zpjcxd。特にREE-Costa_Rica.pdfが貴重である。(WWDXC TP 1428)

◎USPS海外向郵便停止を継続
 英国のMike Terry氏が米国ARRLからの情報として伝えたところによると、米国のUSPS(US Postal Service)は新型コロナウイルス流行の影響で米国から世界の殆どの国宛の郵便物の引き受けを停止している。そのため米国から発送されたQSLカード 等は「Mail Service Suspended - Return to Sender」と押印されて送付者に送り返されてくるか。そのまま廃棄されてしまう状況となっている。(WORIG 6/14) 日本から米国宛には送付されますが、返信はUSPS以外の方法(国際宅急便など)を使用しない限り期待できない場合があるようですRFAのQSLカードなどは郵送で届いています。

◎新秘密局Radio La Voix du Djiboutiが開始
  シブチの秘密局Radio La Voix du Djiboutiが、6月21日より放送を開始した。スケジュールは毎週日曜日の23:00-24:00 17870kHz(Kostinbrod送信所、100kW、195度)。言語はフランス語、ソマリ語、アラビア語、アファール語である。ベルギーの Broadcast Belgium(BRB)の仲介。(Bulgarian DX blog 6/21)
  英国のDave Kenny氏によると、同局のURLはhttps://lavoixdedjibouti.info。同局は5月22日に「Radio Vendredi」という名称で試験送信を行ったが、URL上ではその内容が公開されている。なお10年前にも同一名称で放送していたことがある(2010年1月8日開始毎週金曜日00:30-01:30 15165kHz)。 (WORIG 6/21)(WWDXC TP 1430)



◎サラワク秘密局の推移
 米国のRon Howard氏によると、11890kHzで放送していた秘密局Radio Nyawa Sarawakは現在短波放送を中止しているが、どうもRadio Free Sarawak(RFS)と同一の模様だ。最近Radio Free Sarawakはオンラインの放送のみを実施している。現在Radio Free Sarawakはhttps://radiofreesarawak.org/上とスマホのアプリ上でのみ1日1時間放送している。(WORIG 6/16)

◎激化するロシア・ウクライナ間の電波戦争
 International Amateur Radio UnionのNews Letter5月号によると、7MHzのアマチュアバンド内でロシアとウクライナの間で熾烈な電波戦争が行われている。中心周波数は7055kHzLSBで、±5kHzに拡大することもある。ロシア語による扇動的な音楽が流されており、電波のウォーターフォールを見ると時々髑髏マークなどが挿入されている。それに対して5月には12-15kHzの帯域幅を持つデジタルジャミングが発射されバンド内を乱している。このようなアマチュアバンドを利用した国家間の争いに対してアマチュア無線団体は何も手を下すことができず、自国の政府を説得して両国に注意してもらう他にはない。(WORIG 6/16)

◎米空軍MARCが「放送」
 米国の C. Gessner氏によると、米空軍MARS特別オペレーショングループの軍事ネットワーク支援部隊は、ハムやBCLもモニター可能なメッセージ放送を開始した。6月13日の08:00には11121kHz、08:20には7324kHzで行われた。毎週土曜の早朝(米国では金曜の夕方)に実施される。 (WORIG 6/15)

◎Hurdy Gurdyラジオ博物館のPat Herbert館長死去
 英国のMike Terry氏によると、アイルランドのHowthにあるラジオ博物館「Hurdy Gurdy Museum of Vintage Radio」のPat Herbert館長が死去した。Pat Herbert氏は1950年代よりラジオ関係のジャンク品の収集を開始し、ラジオの歴史百科事典のような人で、話術にもたけていた。2003年に同博物館を開館し、博物館はMartello Towerと呼ばれる円形の塔の中にあり、「魔法の洞窟」のような入り口で入場者を歓迎し、またアマチュア無線局EI0MARを運用できるようになっており、ラジオファンの注目を集めていた。(WORIG 6/19)

Marthello Tower (Hurdy Gurdy Museum of Vintage RadioのHPより、2020年6月現在新型コロナウイルスの影響で閉館中)


◎ドイツに新短波局Radio SE-TA ~大出力で再登場
 スペインのManuel Méndez氏によると、ドイツに新局Radio SE-TAが誕生する。同局は国外にいるドイツ人向に、ドイツや世界の音楽を提供して母国とのつながりを維持してもらうのが目的であるとしている。放送は7月4日より開始され、初日は「Let's Go Rock'n Roll」という番組がオンエアーされる。放送はドイツNauen送信所から6095kHz(125kW)で欧州向に行われる。放送は4回確定しておりスケジュールは次の通り。
 7月4日  10月3日   4月3日  19:00-20:00
    1月2日   20:00-21:00
  受信報告の宛先はSE-TA @ web.de。
(WORIG 6/19)
  同局のChristoph Gerber局長によると、2019年12月25日にChannel 292からクリスマス放送(18:00-19:00 6070kHz)を行っており、その時2020/21年には大出力で放送すると約束していた。(WWDXC TP 1429)

◎Shortwave RadioがEurope 24の送信所からも放送
 英国のAlan Roe氏によると、ドイツShortwave Radioは自前のWinsen送信所からの6160kHzとパラレルでEurope 24のDatteln送信所からの6150kHzで同一番組を6月20日の21:30に流していた。試験送信を行っていたものらしいが、今後定期的にEurope 24の送信時間をリースするかも知れない。 (WWDXC TP 1429)
   ドイツのHansjörg Biener博士によると、Shortwave Radioは6月19日、翌日の20日よりEurope 24から試験的に放送を行うと発表した。開始時間は16:00で3975、6160kHzに加えて6150kHzが明示されていた。これと関係があるか不明だが、Europe 24は6150kHzで行っていたRadio Marabuの中継を6月7日で停止した。両局間に意見の不一致が生じたため6150kHzのオペレータが自分の判断で中継を中止したされている。Shortwave Radioの中継も同じオペレータが行っている。(WORIG 6/20)
 
◎6070kHzのChannel 292の話題
 ドイツのBernd Seiser氏によると、6070kHzのChannel 292(10kW)に関する各局の話題は次の通り。
 ■SM Radio Dessauは7~8月に次のように放送する。
  7/5  23:00-24:00 6070 10kW
    8/1  23:00-24:00 6070 100kW (Channel 292ではなくMoosbrunn送信所) 
  8/3  01:00-02:00 6070 10kW (8/1の再放送)
 ■Korches-Radio Altenkunstadtは7/5、7/19、8/2、8/16の19:00-20:00に放送する。受信報告はQSL @ Korches-Radio.deへ。局長には1歳の娘Jubileeがいるので、プレゼント等はSabrina Sander-Petermann, Erlenweg 4, D-96264 Altenkunstadt, Germanyに。
 ■Radio Power Rumpelの連絡先私書箱は現在使えないので、メールのみ受けつける。次回の放送は7/12の21:00-22:00、再放送は7/18の03:00-04:00である。
 ■Jake FMの次回放送は7/21 21:00-22:00、再放送は8/1の17:00-18:00である。
 ■Dacade AMの次回放送は7/11 23:00-24:00である。
(WWDXC TP 1429)

◎Quantum Loopアンテナの発明者Gerry Thomas氏死去
 米国のDave Hochfelder氏によると、長波・長波用の小型回転式ループアンテナ「Quantum Loop」の発明者、発売者であった米国のGerry Thomas氏が6月19日死去した。氏はフロリダ州Pensacolaに「Radio Plus+」を設立し、「Quantum Loop」のシリーズ多くのハムやBCLに提供してきた。(WORIG 6/21)小生も1台持っています。ご冥福をお祈り致します。

同氏の傑作 QX LOOP V2.0 (中波・長波用、再生機能付、Radio Plus+のHPより)


◎世界海岸・気象FAX局リスト発行
 米国商務省のNational Weather Serviceは世界の海岸・気象FAX局のスケジュールをまとめた「Worldwide Marine Radiofacsimile Broadcast Schedule」の最新版(2020年2月)を発行した。A5版122ページで、国別のFAX局の周波数、コールサイン、出力、送信形式、放送時間、連絡先等が記述されている。https://www.weather.gov/media/marine/rfax.pdfより無料でダウンロード可能。 (RUS-DX 6/21 via WORIG 6/21)



◎Nexus IBAが新放送中継開始 ~カシミール向及び東アフリカ向
 Nexus IBAのPatrick Travers氏によると、同団体の管理するイタリアIRRSは6月下旬以降カシミール向放送を新たに開始する。
 毎週日曜日 12:30-13:30 7355(150kW) カシミール向カシミール語
 また東アフリカ向オロモ語放送は時間が変更され、別放送により毎週火・木・日曜日の01:30-02:30に11990kHz(250kW)となる。
 受信報告はreports @ nexus.orgに、COVID-19のQSLカードが引き続き発行される。 (WORIG 6/24)
   IRRSがカシミール向に開始した放送は「Radio Free Kashmir」と称している。(Bulgarian DX blog 5/28)
   東アフリカ向オロモ語放送は「Radio Uddataki」と称している。送信所は「秘密」とされているが、Kostinbrodと推測される。(Bulgarian DX blog 6/30)
   英国のAlan Pennington氏によると、11990kHzのオロモ語放送について、Oromia National Media-Arraata Biyyoolessa Oromiyaa(ONM-ABO) のfacebookには6月23日に11990kHzの短波放送の件が明記された。多分「Radio Uddataki」はこの団体によるものであろう。同団体はYou Tube上でプロモーションビデオを発表している。https://www.youtube.com/watch?v=cllQFjP3txU& feature=share。(WWDXC TP 1430)

ONM-ABOのビデオ上に表示された「11990kHz 25mb」


◎Rádio Congonhasは4775kHzで健在
 ブラジルのCélio Romais氏によると、Minas Gerais州CongonhasにあるRádio Congonhasは現在4775kHzで16:00-13:00に放送中である。同局は中波からFMに転換したが、短波の周波数は残している。Congonhas近郊ではFM波が届かないリスナーが多数おり、彼らが中波廃止の際に短波の存続を要望したためである。6月10日現在4775kHz の信号はブラジル国内で受信されているが歪みを伴っている。この件について同局のLuiz Evandro氏とコンタクトをとったところ、新型コロナウイルスの影響で他地域から技術者が修理に来るのは困難な状況であるとのことであった。 (WORIG 6/28)

◎グアムKUAMの630kHz廃止
 グアム島AganaのKUAM局は630kHzの放送を5月1日に停止した。財政的理由によるものである。同局は過去66年間にわたり「Isla 63」のニックネームでニュースや娯楽を島内に伝え、現地語の放送も行う等グアムの文化に大きく貢献した。今後はFM放送
「i94FM」、 TVチャンネル8(NBC),11(CBS),17(GNN/TV One)、デジタルプラトホームで放送を続ける。(New Zealand DX Times 7月号 via WORIG 6/29) 「Isla 63」のオンライン番組はhttps://www.elasticplayer.xyz/kuam/で聴くことができます。




◎マケドニアMRDの810kHz送信機をDWが利用契約 2版修正・追加

 ドイツのKai Ludwig氏によると、ドイツDWは5月26日マケドニアMakedonska Radiodifuzija(MRD)と協定を結び、MRDの810kHzの送信機からDWの放送を中継することで合意した。DWによれば同局は既にMRDの1314kHz(100kW、Madzar送信所)では中継を行っており、バルカン半島全体では外国放送の中で聴取率12%(BBCは9%、VOAは1%)を獲得している。現在DWのバルカン半島向マケドニア語・アルバニア語・セルビア語放送はHOTBIRD5衛星で中継されており、マケドニアでは25の放送局が中波などで中継しているが、1000kWの送信機を利用することで更に聴取率を上ることを目指している。ドイツのWolfgang Bueschel氏によれば、810kHzの送信機(1000kW、Ovche Pole送信所)はフランスThales社製でドイツDWLとEUが2002年MRDに供与したものである。7月初旬現在故障中で修理待ちの状態である。多分DWが費用を出して修理し、送信を再開するのであろう。(WWDXC TP 1430)
 ギリシアのZacharias Lianga氏によると、MRDの810kHzは7月初めよりQRTしていた模様だが、7月13日の02:30頃、約1.5週間振りに送信を再開しているのが確認された。IDは「Zborova Makedonske radio, Makedonja za stranski......」と出ていた、バルカン半島諸国語による海外向放送。(WORIG 7/13)

◎国際郵便送付可能状況更新
 
日本郵政は6月30日に各国向け国際郵便の引き受け可能状況を更新した。新型コロナウイルスの影響で、郵便サービスを停止する国が相次ぎ、また航空路が廃止・途絶されているため、多くの国宛の国際郵便の引き受けが停止されているが、欧州では再開されつつある。引き受け可能な国でも大幅な配達遅延が予測される。航空書状を送ることができる国は6月30日現在以下の通りである。詳しい状況はhttps://www.post.japanpost.jp/int/information/2020/overview.htmlを参照のこと。
 アジア地域 韓国 シンガポール タイ 台湾 中国 フィリピン ベトナム 香港 マカオ マレーシア ミャンマー
 オセアニア地域 ニュージーランド 米国領の各地域(グアム、サイパン、ミクロネシア等)
 北米・中米 米国 カナダ メキシコ プエルトリコ キュラソー ホンジュラス(予定) 米国領の各地域
 南米 ボリビア
 中近東 レバノン カザフスタン
 欧州 アイスランド 英国 イタリア エストニア オーストリア オランダ クロアチア スイス スウェーデン スペイン スロベニア チェコ デン マーク ドイツ ノルウェー ハンガリー ブルガリア ベルギー ポーランド ポルトガル フランス ラトビア リトアニア ルクセンブルグ
 アフリカ スーダン リビア
(赤林) 

◎BBC南極向冬期特別放送の目的
 
カナダのRichard Langle氏によれば、毎年6月に行われているこの放送は英国の南極観測施設にいる約40名の観測隊員向に真冬の楽しみとして放送されているもので、今年はCerys Matthew氏の制作で南極からのリクエストに答えた音楽や隊員の家族・友人からのメッセージが放送された。英国のAlan Pennington氏によれば今年の放送は、Bird島、King Edward Point、Rotheraにいる41名向に行われた。(WWDXC TP 1430)

◎中国が喀什送信所を大規模に修理
 オーストリアのPaul Gager氏によると、中国は新疆ウイグル自治区にある喀什(カシュガル)送信所で6月20日~7月4日に500kW短波送信機等の大規模な修理・メンテナンス作業を実施する。実は4月に最初のメンテナンスが行われたがこの時は異常な悪天候と低温でうまく行かなかった。烏魯木斉(ウルムチ)の呼图壁(フトビ)送信所の修理を終えたばかりの修理技術者が大量に動員されて作業に当たることになる。 
  このためCRIの欧州向短波放送のスケジュールがこの期間は一部変更される。(WWDXC TP 1430)


◎AM放送維持に努力するWMR ~寄付を募集中・中波送信機も販売
 デンマークWorld Music Radio(WMR)・Radio 208のStig Hartvig Nielsen氏によれば、同局は2018年以来5840、15805kHzで放送を継続してきており、今後は927kHzも加わる。またRadio 208(http://www.radio208.dk/)は2019年12月より1440kHz、2020年5月からは5805kHzを使用するようになった。短波や中波での送信には多くの手間と費用がかかるが、それだけの価値と面白さがあるのでこれからも行いたい。一基1万5千ユーロする送信機の他、アンテナや送信所の土地を管理する費用が発生するが、馬鹿にならないのは音楽の著作権料(450ユーロ/月)、電力料金(1300ユーロ/月)である。これを維持するために同局では聴取者からの寄付を歓迎する。Hartvig Media, Hovedvejen 17, DK 8920 Randers NV -IBAN  DK1093310007162081 - SWIFT KRONDK22に銀行送金するか、Paypalで送金して欲しい。25ユーロ以上送金した人にはWMR特製マウスパッドを進呈する。また同局では以下の送信機を販売する。中波送信機2基(未使用、300W、1.2kW PEP、詳細はhttp://pll.gr/product?pid=AM-300W)。希望者は
wmr @ wmr.dkにメールを。(WWDXC TP 1430)

◎Radio Verdadの現状
 米国のUlis Fleming氏は、グアテマラRadio Verdad(4055kHz)のEdgar Madrid局長よりメールを受け取った。それによると、同局のあるChiquimulaでは新型コロナウイルスの感染は起こっていないが、人々は外出を控えている。郵便は一応届くが、米国からの郵便が届くに4ヶ月を要している(注記:船便のみ)。同局は放送を続けているが、現地時間の夜には停波することがある。現在も米国、ボリビア、アルゼンチン、ブラジルから受信報告が来ている。米国での受信状況を改善すべく努力中である。今後はアンテナがなくても受信できる方法(注記・インターネットまたはSDR?)も模索中である。(WWDXC TP 1430) 受信報告等はE-mail:radioverdad5 @ yahoo.comで送るのが確実です。


出典の略称
   WORIG : World of Radio io group
   SRSB: Shortwave Reception from Sofia Bulgaria
   WWDXC TP:World Wide DX Club Topnews  
   HCDX: Hard-Core-DX  
   JSWC: Japan Shortwave Club  
   NDXC: Nagoya DXers' Circle  
   WRTH FB: World Radio TV Handbook facebook

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