月刊短波2021年9月号(第3版)
編集 赤林隆仁   時間 JST


◎2021年ハムフェアは中止 3版新規
 JARL(日本アマチュア無線連盟)は9月13日、2021年のハムフェアを中止すると発表した。2021年ハムフェアは10月2日・3日の両日東京ビッグサイトの西3・4ホールで実施される予定であった(https://www.jarl.org/Japanese/1_Tanoshimo/1-3_Ham-Fair/2021/Ham-Fair-yoko.htm参照)。中止の理由は、新型コロナウイルスの急速な感染者数の増加に伴う緊急事態宣言地域の拡大、医療現場の逼迫状況等により、来場者・出展者・スタッフ等の安全を確保することが困難と判断したためである。発表内容はhttps://www.jarl.org/Japanese/1_Tanoshimo/1-3_Ham-Fair/2021/Ham-Fair_info.htmを参照のこと。
 なお例年参加していたJSWC(日本短波クラブ)は今年の出展を見送っており、講演会等は昨年に引き続き会員向けにZOOMで行うことにしている。(赤林)

◎中国国際放送多数の外国語短波放送を停止 2版新規
 
ドイツのWolfgang Bueschel氏によると、中国国際放送(CRI)は9月1日より多数の外国語短波放送を停止し、予定時間には音楽のみを流している。停止が確認されているのは、アルバニア語、廈門語、ベンガル語、ブルガリア語、広東語、潮州語、クロアチア語、チェコ語、フィリピン語(一部)、客家語、イタリア語、クメール語、朝鮮語(一部)、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語の放送である。またドイツ語短波放送は8月いっぱいで終了することが既に通告されている。従来通り行われているのは中国語、英語、エスペラント語、フランス語、アラビア語、ヒンズー語、ハンガリー語、インドネシア語、日本語、ラオス語、マレー語、モンゴル語、ネパール語、パシュト語、ペルシャ語、セルビア語、シンハリ語、スワヒリ語、タミル語、タイ語、トルコ語、ウルドー語、ベトナム語。しかしこれらの言語の放送でも一部音楽のみの場合がある。(WORIG 9/5) CRI短波放送に対する聴取者の反応を見ているとの見方があります。

◎CRIの呼図壁高出力中波放送休波中 2版新規
 
Dave Kenny、Tony Rogers 、Mauno Ritola氏らによると、中国国際放送(CRI)の新疆維吾爾自治区呼図壁(フトビ)送信所(烏魯木斉近郊)の500kW送信機から出ているCRIの1323及び1521kHzがこのところ休波中である。1521kHzでは09:00-11:00、20:00-05:00にCRIのロシア語放送が、1323kHzでは00:00-03:00に南アジア向英語放送が出るスケジュールであった。休波は数ヶ月に及ぶ可能性もある。なお他の送信所から出ている1323kHzのロシア語放送(黒竜江省双鴨山送信所200kW)・韓国語放送(吉林省樺甸送信所600kW)は継続している。 (BDXC Communication September via WORIG 9/5)

◎AITVが7590kHzの試験 2版新規
 
Afghanistan International TV は9月3日、Erevan-Gavar送信所から15:30-23:00に7590kHz(100kW 100度)でパシュト語による試験放送を行った。(Bulgarian DX blog 9/4)

◎ビルマ向秘密放送Radio NUGが放送開始  ~9月からは1日3回放送

 フランスのFranck Baste氏によると、ビルマ向秘密放送Radio NUG(NUGはNational Unity Government of Myanmarの略)が放送を開始した。放送開始時に英語のIDが出ている。放送はビルマ語。この放送については https://www.channelnewsasia.com/asia/myanmar-national-unity-government-radio-nug-2126341を参照のこと。(WORIG 8/20)
  同氏によればこれは試験送信で8月20日より以下のスケジュールで出ている。仲介は英国Encompass Digital Media Service社。
   10:30-11:00 17710 (台湾褒忠送信所 250kW 205度)
   22:30-23:00 17710 (Madagascar送信所 250kW 55度)
 ビルマ近隣での受信報告はMadagascar送信所を運営するMGLOBE社で受け付ける。宛先は〈qsl @ mglob.mg〉である。
(WWDXC TP 1476)
 英国のMike Barraclough氏によれば8月26日より本放送となった。また同局はfacebookを開設し、ストリーミング放送も行っている。 https://www.facebook.com/radionug/videos/162627365942331/。facebookでは最適な受信機の案内も行っている。(WORIG 8/26) 
 8月31日にスケジュールが改訂され、1日3回の放送となった。スケジュールは以下の通り。
 10:30-10:59 17710 褒忠送信所 250kW 205度
 21:29-21:58 17710 Madagascar送信所 250kW 55度
 22:30-22:59 12000 褒忠送信所 250kW 205度
(Bulgarian DX blog 9/1) 一時22:30の放送は15300kHzで行われていましたが、結局12000kHzになった。 NUGは軍のクーデターで政権を追われた旧与党「国民統一政府」。褒忠送信所からの放送は午前・夜ともに日本でも受信できます。

8月28日の放送内容を案内したNUGのちらし(同局のfacebook)より。7.00-7.30pmは正しくは8.00-0.30amの筈である。8:00-8:30pmの放送はこの時点では15530kHzと表示されている。



◎ビルマ軍短波ラジオを押収
 英国のAlan Pennington氏が、タイにある亡命ビルマ人向メディア 「The Irrawaddy」の報道として伝えたところによると、Radio NUGの放送開始に伴い、ビルマ国軍はその受信を阻止するために電気店から短波ラジオを押収しており、政令を出して短波ラジオの輸入も禁止する見込みである。 これは最近開催された国家安全保証会議で決定された。国軍は4月に衛星放送の受信アンテナや受信機器の押収を行っている。インターネットも衛星TVも禁止されたため、人々は短波ラジオでRFAやBBCの放送を聴いて情報を得ている状況である。(WORIG 8/26)

◎秋葉原BCLクラブより「ABC50's No.9」発行
 秋葉原BCLクラブはBCLファンの情報誌「ABC50's No.9」を発行した。pdf版は無料で公開されている。https://www.abc50s.net/。(秋葉原BCLクラブ 伊藤 晃氏)
 No.9の内容は、ボリビアの鉱業、ベリカードにまつわる 小話・戯言・エトセトラ、ベリカードの中の風景②秋田県男鹿市、2021.6 沖縄・九州Eスポ大オープン、Eスポによる遠距離FM局受信、Eスポによる遠距離FM局受信リスト、BCL旅日記 2020年10月~2021年3月、2020年度に開設されたコミュニティエフエム放送局、ROK技術倶楽部の受信戦略 (2) 、WOZN/WVON 入感時の電波伝搬状況 、ポケットラジオを改造して遊ぶ、読み物紹介「十五の夏」等等多彩です。A4版71ページ。

表紙は女性BCLによる「デコラジ」



◎タリバン支配直後のアフガニスタン中波放送の状況
 フィンランドのMauno Ritola氏によると、8月15日現在のアフガニスタン中波局のモニター状況は以下の通りである。
   621 10:00-04:00 US AGM Deewa Radioがそのまま聞こえていた
   1007   09:30-04:30 「Emarat Islami Afghanistan」というIDと「Radyoe Afghanistan」のIDが併用されていた
   1296   09:30-02:30 US AGM VOA Ashna Radioがそのまま聞こえていた、7495kHzと01:00頃はパラ
(WWDXC TP 1476)

◎ロシアRadio Liberty罰金への批判に反論
 ロシアのLavrov外相は、Radio Libertyへの罰金問題について、6月に行われたプーチン・バイデン会談の合意に従っただけだと反論した。Radio Libertyに対してロシア政府は「外国の手先」であることの宣言を求めたが、米国ではロシアのメディア「Russia Today」と「Sputnik」に対して同じ事をしている。6月に行われたプーチン・バイデン会談ではこのような事は好ましくなく撤廃するべきとの話し合いがなされた筈で、ロシアはその手順に従うだけだとしている。またRadio Libertyを「外国の手先」としたのは客観的事実で、他に数人のジャーナリストも認定されており、不公平ではないとしている。(RUS DX 8/1 via WORIG 8/1)

◎ロシアがRFE/RLに200万ドル以上の罰金
 ロシア当局は米国の民主化メディアRFE/RLに、「外国の手先」法違反で、1億6900万ルーブル(227.7万ドル)の罰金を課した。支払命令はRoskomnadzo(ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁)により行われた。これは2020年9月23日以降放送で「外国の手先」であることを知らせることを義務付けた法令に違反したためである。これを不服として、RFE/RLは欧州人権裁判所(ECHR:European Court of Human Rights)に、ロシアの法令が正当性を欠くとして提訴した。(RUS DX  8/29 via WORIG 8/29)

◎AWRがDushanbe送信所からも放送
 ドイツのHansjörg Biener博士によると、フランスの仲介会社Media BroadcastはA21でタジキスタンDushanbe送信所の送信時間をAdventist World Radio用に確保し、HFCCに登録した。スケジュールは11:00-12:00、23:00-24:00の1日2回2時間15515kHz(Dushanbe送信所、100kW、125度)、言語は英語。7月31日・8月1日に確認したところ番組はTV番組 「Unlocking Bible Prophecies」の音声で、11:00からの放送は1時間行われたが、23:00からの放送は23:30に途中終了してしまった。送信所か依頼者のどちらかが間違えていると考えられる。(WORIG 8/2)

◎Radio Aids to Marine Navigation 2021
 カナダ政府は「Radio Aids to Marine Navigation 2021」を無料で提供している。カナダ海岸局の短波・VHF通信について詳細に記述している。https://www.ccg-gcc.gc.ca/publications/mcts-sctm/ramn-arnm/docs/ramn-arnm-2021-eng.pdfよりダウンロードできる。(CIDX Messenger August via WORIG 8/3) 301ページ。直接ダウンロード出来ない場合はhttps://www.ccg-gcc.gc.ca/にアクセスし、publicationのページに移り、上記資料名を探します。



◎The Signal Identification Guide
 ユーティリティー局を受信している場合に音調から信号の種類・形式を判別しおよその出所を推測できるページが、SigIDWiki内に開設されている。「The Signal Identification Guide」で、オーディオクリップ、信号形式、出力、波形、所在地等すべての情報が網羅されている。https://www.sigidwiki.com/wiki/Category:Utility。(CIDX Messenger August via WORIG 8/3) 

◎北朝鮮ではTV受像器の台数を厳格監視
 Radio Free Asiaの報道では、北朝鮮政府は首都平壌の市民に対してTV受像器の数の届け出を義務付けた。平壌では韓国のTV放送の聴取を阻止するために当局が各家庭を定期的に査察しているが、韓国のTV放送を見るための受像器を別に隠し持って聴取する例が後を絶たないためである。今後当局は査察の際にTVの数を検査し届け出外の受像器があれば、韓国の放送を見ているとされ、党や職場から放逐され10年以上の収容所送りとなる。元記事はhttps://www.rfa.org/english/news/korea/tv-05252021155129.html 。(NZ DX Times August via WORIG 8/3) 

◎Radio Kuwaitがウルドー語放送
 ドイツのHansjoerg Biener博士によると、Radio KuwaitはA21スケジュールで01:00-03:00に15540kHzで行われていたDRM放送に代わってAMのウルドー語放送を実施している。 ウルドー語放送は2018年にも一度放送されたことがあったが、その後は実施されておらずHPも存在しなかった。(WORIG 8/3) クウェートの人口の60%は外国人労働者で、パキスタンからも多くの人が出稼ぎに行っています。

◎WRMIが欧州海賊局・低電力局を集中中継
 ブルガリアのIvo Ivanov氏によると、米国のWRMIは今秋毎週土曜日に欧州の海賊局及び低電力局を集中的に放送する。これはTexas Radio Shortwaveの特集番組(1時間)を中継する形式で行われ、今回で2回目となる。放送は以下の期日の09:00-10:00に5950kHz(100kW 355度)で Okeechobee送信所から行われる。言語は英語。
 9/5  Radio Clash
 9/12  Radio Merlin (英国)
 9/19  Crusin’ Radio (英国)
 9/26  CoolAM Radio (オランダ)
 10/3  Radio Monique International (オランダ)
 10/10  Radio Blackstone International (オランダ)
 10/17 Charleston International Radio (ドイツ)
 10/24 KR1 (オランダ)
    11/7 Radio Pamela
    11/14 Radio Jingle Bells
    11/21 Free Radio Service Holland(オランダ)
 11/28 The Vault
 以上の放送の受信報告に対しては中継された各局から特別のeQSLが発行される予定である。なおTexas Radio ShortwaveからはQSLを発行しない。
(WORIG 8/24)

◎インド情報放送省のAnnual Report
 インドのJose Jacob氏によると、インド情報放送省の「2020-21 Annual Report」が発表された。放送に関しては57~78ページの第5章で触れられているが、AIR各局の地図以外にBCLに興味のある内容は掲載されていない。https://mib.gov.in/sites/default/file/Annual%20Report%202020-21.pdf?fbclid=IwAR254a35eO1KgSUIMkFY7QjnpR0HcsozneZWQv1VCfwJyI0Czwd0OpW5yjc。 (WWDXC TP 1474)

掲載されているAIRの地図


◎パプアニューギニアに国外短波送信所活用を提言
  オーストラリアのMartin Gallas氏によると、同国のシンクタンクLowy Instituteはパプアニューギニアのラジオ放送について次のような提言を行った。
 太平洋諸国ではデジタルプラトフォームへの移行が進んでいるが、国土面積が広いパプアニューギニアでは現在でもラジオ放送が重要なメディアの位置を占めている。同国の人口の4/5はデジタルプラトフォームの恩恵を受けられない状態なためである。電気も電池もない地域が大半で、手巻き発電式または太陽電池式の受信機で短波放送を聴くのが最も適している。パプアニューギニアのNBCは故障して使えなくなった国内の短波放送局を復活する計画であるが、資金不足で一向に進展していないし、地方局の小電力送信機を数台整備したところでその周辺地域でしか有効でなく全国的に放送することは難しい。その解決策は不要になった周辺諸国の大規模短波送信施設からパプアニューギニア全体をカバーする短波放送を実施することである。この試みは2015年のパプアニューギニア大統領選挙の時に当時Radio Australia用に使用されていたQueensland州Brandon送信所から実際に行われた。ところが2017年にRadio Australia自体が廃止されてしまい、Brandon送信所の活用はコストに合わないとされて中止された。Brandon送信所の活用が無理なら ば、Guam、New Zealand、Singaporeなどの短波送信所の活用が考えられる。この方法と併用して国内地方局の短波送信設備を再整備して行けば良い。全国ネットワークをまず実現し、その上で各地域でのデジタル化を進展させて行けばNBCは全国メディアとして確固たる地位を確立できる筈である。原文はhttps://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/keeping-png-connected-investing-radioを参照のこと。(WORIG 8/4)

◎ベネズエラROCV復活
 スペインのManuel Méndez氏によると、ベネズエラのRadio Onda Corta Venezuela(ROCV、在El Tigre)のエンジニアGregorio Kina氏から、同局が短波6205kHzで短波放送を復活したとの連絡を受け取った。BonaireにあるリモートSDRでチェックしたところ、8月8日の22:00に確かに同周波数で確認できた。IDは「Somos Radio Onda Corta Venezuela, El Tigre」と言っている。(WORIG 8/8)

◎オランダの新局2局が試験送信開始
 英国のDavid Kenny氏によると、新たに免許を申請したオランダの2短波局が試験送信を開始した。
 Radio Jong Europaは登録では24時間送信、6170kHz、1kWである。以前には5940kHzで試験送信を行ったこともあった。送信所はオランダ南部のAlphen aan den Rijn、中波の801kHzも使用している。
 RockpowerはNimengen送信所より7220kHzで放送している。登録は6170・7215・13685・15270・17515kHzであった。7/31及び8/1には17:30-20:00にノンストップのロック音楽が確認されている。なお同局のURLはhttp://www.n3tx.com/である。HP上では7215kHzも使用していることになっている。(BDXC Communications August via WORIG 8/8)

◎サウジアラビアが24時間のウルドー語放送を計画 ~将来は日本語も?
 英国のAlan Pennington氏によると、Saudi Radioは来る9月23日より24時間のウルドー語放送を開始する。放送内容はイスラム教、コーラン、ハディース(モハメッドの言行録)、歴史や世界の話題等である。同局のウルドー語放送は1950年9月の放送開始(当時は1日15分)以来行われてきた。短波の他、FM、衛星、SNS、You Tubeでも行われる。同局はロシア語、スペイン語、日本語、ヘブライ語、中国語でも放送を開始する計画を持っている。(BDXC Communications August via WORIG 8/8)
 
◎海賊局音楽文化をオランダが文化遺産に登録
 オランダの無形文化遺産センターは同局の「海賊局音楽文化」(海賊局自体ではない!)を、将来に渡って保護すべき文化遺産のリストに加え、UNESCOの世界文化遺産として申請する。同国の海賊局が長く育んできた音楽文化が正式に文化遺産と認められた。オランダ最初の海賊局は1930年Overijsselに出現し、戦後はオランダ東部や北部の多く出現した。音楽文化の主流は1960-70年代に当時の労働者等によって口ずさまれていたオランダ語の歌で、当時普通のラジオ放送では放送されないものであった。現在では「海賊局」はインターネット等で合法的に放送するようになり、10万人程度のファンがいるとされており、「Twentse Piraten Party」などのフェスティバルも開催されている。UNESCOでは違法な海賊放送自体は文化遺産として認められないため、あくまで海賊局が生み出した音楽文化を登録の対象とする。詳しくはhttps://www.dutchnews.nl/news/2021/07/pirate-music-added-to-dutch-intangible-cultural-heritage-if-its-broadcast-legally/を参照のこと。(BDXC Communications August via WORIG 8/8)

◎ロシアの時報局廃止へ ~反対意見も
 ロシアRTRS(国営ラジオTV局)は配下の時報局を2024年迄に廃止する計画である。ロシア技術標準度量局(Rosstandart)は時報局が軍事上重要な役割を果たしているとして廃止に反対している。時報局の内RBU (66.6 kHz)・RTZ(50 kHz) ・RWM (4996 9996 14966kHz) は正確な測定時刻と標準時刻との差の情報を提供しているがこれが軍事上重要であるとしている。時報局の運営は科学デジタル省から2020年にRTRSに移管されたばかりであったという事情もある。Rosstandartはこの件を次回の無線周波数調整会議でも議題として取りあげて反対する予定である。 (RUS-DX8/8 via WORIG 8/8)  軍事上、科学上重要でも放送局にとっては無用ということのようです。

◎VOM 2020年年次報告
 Mongolian National Public Radio and Television (MUONRT) は2020年の年次報告を発行した。その中で国際放送Voice of Mongoliaについて、総放送時間は1680時間、内制作番組が784時間、再放送は896時間であったとしている。再放送が多かったのは新型コロナの影響である。2020年に受け取った手紙は35ヵ国から1630通で、2019年と比べて34%減少した。最も手紙が多かったのは日本からで日本での受信が盛んであることがわかる。中国からの手紙も注目すべき多さであった。中国のリスナーとの間は専用のチャットシステムや「VOM中国放送リスナーズクラブ」で結ばれている。また英語放送はドイツの小電力短波送信所で引き続き中継されているが、欧州でのリスナーの増加に貢献しているとMUONRTでは評価している。 ロシア語放送についての言及はない。同局は現在モンゴルからは12015及び12085kHz、ドイツから6085kHzで放送している。(RUS- DX8/8 via WORIG 8/8)

◎NASBの年次総会延期デルタ株で延期に
 9月9日及び10日にアラバマ州BirminghamのWEWN局で開催予定であったNASB(National Association of Shortwave Broadcasters)の年次総会は、同州での新型コロナデルタ株感染拡大によって延期されることになった。延期期日は発表されていない。(WORIG 8/10)

◎オーストラリア旧Shepparton短波送信所の現状解説ビデオ公開
 米国のJoe Hanlon氏によれば、オーストラリアのRob Wagner氏が制作・出演するRadio Australiaの旧Shepparton短波送信所の現状を説明するビデオが8月9日に公開された。ビデオによれば、同送信所の鉄塔群や送信機群は完全には解体されておらず同局の短波放送廃止から4年たった現在でも存在していることがわかる。送信棟には2基の送信機が残っている。なお同送信所を博物館として保存する動きもある。ビデオ閲覧はhttps://youtu.be/AIuaWiEgjaMで。(WORIG 8/11)

Shepparton送信所の鉄塔群(同ビデオより)


◎アイスランドの長波用鉄塔撤去
 アイスランドReykjavíkの東南にあるVatnsendi送信所の長波鉄塔2基が8月11日に撤去された。これらは1930年代に建設されたもので、1950-60年代からスイスのBrown Boveri社製100kW送信機が使用されていたが、1997年にGufuskálar送信所に300kW(現在は100kW)送信所が開設され、周波数も207kHzから189kHzに変更されたために廃止されそのまま放置されていた。なおGufuskálar送信所は1994年に廃止されたLoran-C用の412m鉄塔を利用している。(Ydun's Medium Wave Info via WORIG 8/14)

◎AWRの受信報告先
 南アフリカのVashek Korinek氏によると、Adventist World Radio(AWR)は<QSL @ awr.org>で受け取った受信報告に対してeQSLを発行している。(WWDXC TP 1475)

◎アイルランドの長波放送再開
 英国のAllan Penington氏によると、設備保持のため6月11日より休止していたRTEの長波放送252kHzについて、RTEは8月14日迄に再開すると発表していた。アイルランドのParaic Nolan氏によればその後RTEは8月16日の19:30に再開すると発表した。フィンランドのMauno氏はオランダのリモートSDRにより8月16 日の18:00過ぎに強力なキャリアが出ているのを確認した。(WWDXC TP 1475)

◎Victor Goonetilleke氏のSLBC QSL発行基準
 Walter de la Mare氏によると、スリランカのVictor Goonetilleke氏はSLBCのQSL発行業務を代行しているが、受信報告の宛先は<victorg.broadcaster @ gmail.com>となっており、以前に使用されていた<victor.goonetilleke @ gmail.com>は使用できなくなったので注意が必要である。なおVictor氏は最近のQSL発行基準について次のように述べている。
 リモートSDRの普及で、世界のどの場所の受信状況も確認できるようになったため、受信報告の必要性は本当はなくなっている。また放送局はドイツや南アフリカにいるDXerのために放送している訳ではないので、放送局厚意にすがってQSLを発行してもらうことも最近では難しくなった。これからもQSL発行代行を継続するが、受信報告の際に次の点に気をつけて欲しい。
 ①受信後すぐに受信報告を送ること。何ヶ月も前の報告は全く不要である。
 ②1時間半の番組を詳細に聴いている必要はない、数分間良く耳を傾けて聴いた受信報告で充分である。
 ③番組詳細では確かに同局だという証拠を示すこと、15-20秒程度のオーディオクリップを添付するのが最適である。
 ④自分の受信設備で短波または中波で聴いたことを示すこと、インターネットやリモートSDRで聴いたのならばそのことを明らかにすること。
(WWDXC TP 1475)

◎Tropical Band Monitor8月改定版発行
 DSWCIが発行しているTropical Band Monitorの8月改定版が公開されている。http://www.dswci.org/tbmonitor/2021.pdfより無料でダウンロードできる。(WORIG 8/16)

◎Radio Europe Netherlands周波数変更
 オランダのRadio Europe Netherlandsは8月15日以降周波数を6170kHzから6115kHz(Alphen aan den Rijn送信所、1kW、無指向性)に変更した。スケジュールは23:00-08:00、欧州西部向オランダ語。(Bulgarian DX blog 8/16)

◎FCCがDPA Macのデータ短波放送申請を受理
 米国FCCはDPA Mac社から提出された短波データ放送局の申請を受理した。申請受理の条件をパスしただけであり、申請が認可されるとは限らない。DPA Mac社の申請によると、短波放送には若干の音声コンテンツがあるものの、大半は投資家向のデジタルデータで、本来は私的なネットワークで提供されるべきものである。FCCの国際短波放送規則は古い時代に制定されたもので、このようなデータの提供サービスは許されていないが、DPA Mac社は敢えて申請に踏み切った形である。原文はhttps://docs.fcc.gov/public/attachments/DOC- 375024A1.pdfを参照のこと。(WORIG 8/19)

◎WMRの15790kHz復活
 World Music RadioのStig Hartvig Nielsen社長によれば、中断していた15790kHzの送信が8月21日に復活した。スケジュールは土曜16:00-月曜05:00で、出力は10W。Hvidovre送信所からの927kHzは8月16日~9月2日の予定で休止している。代わりに5930kHz(200W)と 25800kHz(100W)が24時間出ている。
 またRadio208の方は1440kHzが現在半分の出力の250W、5970kHzは100Wで24時間出ている。(WWDXC TP 1476)

◎Welle 370が10月に特別短波送信
 オーストリアのPaul Gager氏によると、ドイツのラジオ博物館の放送Welle 370は、来る10月6日の21:00-23:30に6035kHzで特別放送を行う。(WWDXC TP 1476)

◎DWがアフガニスタン向放送を復活
 Deutsche Welleは8月24日よりアフガニスタン向のパシュト語とダリ語の放送を復活させた。スケジュールは以下のとおり。
 23:00-24:00 15230(Nauen 250kW 96度)15390(Dhabayya 250kW 45度)
 前半30分がダリ語、後半30分がパシュト語である。15230kHzは15180kHz(Dhabayya 48度)で代替されることもある。
(Bulgarian DX blog 8/25)

◎WBCQによるWHRIの買収はご破算に!
 FCCによる不認可の決定を受けて、8月13日、WHRIを運営するFamily Broadcasting Corporationは昨年WBCQとの間で締結した送信所等の売却契約を破棄すると発表した。(WORIG 8/24)

◎中国交通広播が江西省南昌に開局 ~24局目
 中国交通広播が7月30日江西省南昌に開局した。周波数はFM107.5MHz。計画中のものを含め全局リストは以下の通り。
 99.6 京津唐地区・河北省廊坊・張家口
 101.2 河北省の大部分の都市
 98.8 河北省雄安新区
 96.5 河北省滄州
 107.2 河北省唐山
 91.1 河北省保定
 90.5 湖南省
 94.8 湖北省武漢
 95.5 上海市
 100.6 内蒙古自治区呼和浩特
 103.5 陕西省西安
 106.5 山西省太原
 91.7 甘粛省蘭州
 101.9 寧夏回族自治区銀川
 91.7 新疆維吾爾自治区烏魯木斉
 104.7 河南省鄭州
 101.4 黒竜江省哈爾浜
 87.5 江蘇省
 94.1 山東省済南
 87.7 四川省成都
 88.7 広西壮族自治区南寧
 90.5 吉林省長春
 87.5 浙江省杭州
 88.3 貴州省貴陽
 100.4 安徽省合肥
 99.3 遼寧省瀋陽
 107.5 江西省南昌
 107.0 雲南省昆明(計画中、現在は「中国之声」を送信中)
 98.6 河北省石家庄(計画中)
 89.2 江蘇省南京(計画中、「中国交通広播長三角之声」として開局予定)
 広東省、海南省、重慶市、西蔵自治区、青海省にはまだ未設置である。(Cahcn自留地 8/1) 「京津唐地区」とは北京・天津・唐山の大都市圏のこと、「長三角」とは長江(揚子江)下流のデルタ地帯(15の大都市を含む都市圏)のこと。

◎中央アジア3国のMW/SW周波数
 Radio HeritageのBruce Portzer氏によれば中央アジア3国の中波・短波は以下の様に出ている。
●タジキスタン
  549 Sadol Dushanbe (TR-2) Dushanbe Karotegin送信所 12:00-04:00 ロシア語・タジク語 15:00-17:00 23:00-01:00 ロシア語 出ていない可能性あり
   702 Radioi Tochikiston (RT-1) Orzu Khatlon送信所 150kW  08:00-05:00
   819 Radioi Tochikiston (RT-1) Khujand送信所 15kW 08:00-05:00
   927 NHK World Radio Dushanbe Karotegin送信所 500kW 01:00-002:45 (01:00 ロシア語 01:30 ペルシャ語 02:00 ウルドー語)
   972 Radio Aap ki Dunyaa Orzu Khatlon送信所 500kW 23:00-11:00 ウルドー語(04:00-09:00の毎正時に英語VOA News)、Deewa Radio 05:05-06:00 09:05-10:00 パシュト語
 1143 Voice of Tajik Dushanbe Karotegin送信所 150kW 11:00-03:00(11:00 タジク語 13:00 ペルシャ語 15:00 ダリ語//-7245kHz 17:00 ロシア語 19:00 ウズベク語 20:00 ヒンズー語 21:00 アラビア語 22:00 英語 23:00 タジク語 01:00 ペルシャ語)
 1161 Sadol Dushanbe (TR-2) Orzu Khatlon送信所 40kW 12:00-24:00
 1251 BBC World Service Dushanbe Karotegin送信所100kW 11:00-13:30(11:00 タジク語 11:30 ペルシャ語) 18:30-19:30(18:30 タジク語 19:00 パシュト語〈日・月//-12065kHz〉英語〈火-土〉) 22:00-00:00(22:00 ウズベク語〈月ー金〉パシュト語〈土・日〉 22:30 ウズベク 23:00 タジク語) 02:00-04:00(02:00 英語 03:00 タジク語 03:30 パシュト語 //-1413 5875 5970kHz)
 1323 TR 1 Radioi Tojikiston Dushanbe Karotegin送信所 7kW 08:00-05:00
 4765v Radioi Tochikiston (RT-1) Dushanbe Karotegin送信所 100kW  08:00頃-03:00過ぎ 
 7245 Ovozi Tochik (Tajik R 1) Dushanbe Karotegin送信所 11:00-??(17:00-19:00 ロシア語) 現地の夜間は放送なし
●トルクメニスタン
  279 Turkmen Radiosi (Watan) Ashgabat Ahal送信所 150kW 24H(英語ニュース 22:00) 送信機のトラブルで2020年より不調
  576 Turkmen Radiosi (Watan) Ashgabat Ahal送信所 24H
 1080v Turkmen Radiosi (Watan) Serhetabat Balkan送信所 24H
 1233 Turkmen Radiosi (Watan) 24H //-279kHz
 1476v Turkmen Radiosi (Watan) Balkan送信所 10kW 24H
●キルギスタン
   612 TWR/Kyrgyz Radyosy 1 Bishkek送信所 200 kW Trans World Radio 22:57-01:30 キルギス語 カザフ語 ウズベク語 ロシア語 Birinichi Radio 09:00-21:00 //-4010kHz
   693 Kyrgyz Radio 1/Birinchi Radio Osh送信所 50kW
 1404 Kyrgyz Radyosy 1(Birinji Radio) Ala Mishik送信所 7kW/Cholpon Ata Issyk-Kul送信所 1kW/Dedemel Issyk-Kul送信所 20kW/Hydarkan 7kW  08:00-03:00 キルギス語・ロシア語 //-612kHz(21:00迄)
 1431 Kyrgyz Radyosy 1 (Birinji Radio) Jalal-Abad送信所 40kW 08:00-03:00 キルギス語・ロシア語 //-612kHz(21:00迄)
 1467 Trans World Radio Bishkek送信所 150kW 22:30-02:30 南・中央アジア諸言語 02:30-03:00 ロシア語
 4010v Kyrgyz Radio 1/Birinchi Radio Bishkek Chuy送信所 15kW? 09:00-03:00(02:30〈日曜は01:30〉-03:00はロシア語)
 4820v Kyrgyz Radiosu Krasnya Rechka Chuy送信所 15kW 09:00-03:00
 5130  Radio Maranatha (Sadaye Zindage) Bishkek送信所 15kW 00:00-03:00 ダリ語 パシュト語 
( RUS DX #1147 via WWDXC TP 1476)

◎ロシアにラジオ文献のダウンロードサイト ~セキュリティに注意!
 スペインのJosé Hernandez氏によると、ラジオ文献や出版物がダウンロードできるポータルサイト「RadioHata」がロシアに開設されている。ロシアだけでなく世界中で発行されている無線雑誌(英語のものも多い)をダウンロードして閲覧できる。https://radiohata.ru/が入り口である。有料の場合と無料の場合があり無料の場合は、https://oxy.st/d/Ybjeからダウンロードすることになっているが、ロシアのこの種のサイトは ウィルス感染の恐れが強いため充分な注意が必要である。(WORIG 8/27)

◎合肥市でFM・TV局再編成 ~一挙に4局廃止
 中国安微省合肥(ヘフェイ)市の合肥広播電視台は8月29日、同市で放送中のFM放送合肥徽商広播(ビジネス放送、94.7MHz)、合肥資訊広播(ニュース放送、88.1MHz)、TV放送合肥影院頻道(映画チャンネル)、合肥文体博覧頻道(文化博覧チャンネル)を翌8月31日いっぱいで廃止すると発表した。国家広播電視台の指令によるもので、9月1日以降94.7MHzでは合肥総合広播の番組が、88.1MHzでは交通信息広播の番組が中継される。
 なお88.1MHzの合肥資訊広播は元々巢湖市人民広播電台新聞総合広広播であったものが、巢湖市の廃止に伴い2011年8月に、93.8MHzで放送 されていた城市交通広播を合併した形で再編されてできた放送「合肥広播電視台巢湖総合広播」が後に改称され放送であった。(Cahcn自留地  8/30)

(左)合肥徽商広播のロゴ (右)合肥資訊広播のロゴ
  
◎スイスFM放送の廃止を延期
 英国のMike Terry氏によると、スイスはラジオのデジタル化に伴いアナログFM放送を2022年3月で全廃する予定であったが、これを2024年末まで延期することになった。スイス政府は2014年に元々2024年末でFM放送を廃止することを決めていたが、昨年末の時点でラジオ受信機の3/4がデジタル化されたため、期日を早めることにしていた。スイスを構成するドイツ系とイタリア系社会の人々はFM放送廃止に合意していたが、フランス系社会については充分な合意ができたかがまだ明らかではないことと、聴取者に受信機切換の猶予を与えるために元に戻した。現在自動車ラジオは100%DAB+対応となっている。なお2024年12月31日以降はアナログFM放送は許可されないため、アナログFM放送とDAB+のマルチキャストは行われない。(WORIG 8/30)

◎Asian DX Review 9月号発行
 米国のRon Howard氏によると、インドのIDXCIよりAsian DX Reviewの2021年9月号が発行された。Alokesh Gupta氏による「All India Radio Leh 50周年」の記事が注目される。https://idxci.in/wp-content/uploads/2021/09/ADXR-Volume-39-No-563-September-2021.pdfよりpdf版がダウンロードできる。(WORIG 9/1) 巻頭特集は最近放送を開始したビルマ向けRadio NUG。




出典の略称
 
   WORIG : World of Radio io group
   WWDXC TP:World Wide DX Club Topnews  
   HCDX: Hard-Core-DX  
   JSWC: Japan Shortwave Club  
   NDXC: Nagoya DXers' Circle  
   WRTH FB: World Radio TV Handbook facebook


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