月刊短波2024年7月号(第4版)
編集 赤林隆仁  時間  JST

◎SM Radio Dessauの7月特別短波放送 4版新規
 ドイツのThomas Becker氏によると、同国のSM Radio Dessauは7月には以下のスケジュールで高出力特別短波放送を実施する。
 7/14 20:00-21:00 6070kHz Moosbrunn 100kW
 7/20 19:00-20:00 6095kHz Nauen 100kW
 7/21 19:00-20:00 6070kHz Moosbrunn 100kW 6095kHz Nauen 100kW
 受信報告は<maxberger @ smradio-dessau.de>へ。(WWDXC TP 1585)


◎Uncle Bill's Melting Potが7/21に特別放送 4版新規
 ロシアのAnatoly Klepov氏によると、米国Uncle Bill's Melting Potは7/21にドイツChannel 292より特別短波放送を実施する。スケジュールは以下の通り。
 7/21 02:00-03:00 9670
 04:00-05:00 3955 6070
 08:00-09:00 3955
    1時間の放送全部を聴いた場合の受信報告(リモートSDRで受信した場合はその明細を記述すること)はeQSLを発行する。(RUS-DX #1297 via WWDXC TP 1585) 受信報告の宛先は<tilfordproductions @ gmail.com>。

◎Radio RealMixが高出力化・周波数変更試験 3版新規
 フィンランドのKari Kallio氏によると、同国のRadio RealMixは現地時間の2024年7月7日に高出力化・周波数変更試験をRaasepori送信所(フィンランド南部)より6195kHz(100W)で24時間実施する。放送内では7日18:45、8日02:45、05:45頃にSSTVの送信試験も行う予定である。受信報告は<realmix.sw @ gmail.com>へ。 (WORIG 7/5) 6195kHzには09:30-11:00にはBBC Oman中継局が、05:00-07:00にはVOA Botswana中継局が出ています。Twente UniversityのSDRでも受信でき、大成功だったようです。

◎フィンランドに新局Radio Blacksmith Knoll出現 
2版新規
 英国のMike Terry氏によると、フィンランドのPoriに新局Radio Blacksmith Knolが出現した。正式免許局で免許期間は2024年7月1日~8月6日である。周波数は6120kHz、出力は25W。アマチュア用(?)のトランシーバーを使い43m長のダイポールアンテナから送信されている。7月初旬現在現地時間の昼間及び夕方に試験送信を行っている。7月1日の22:40には同国内のリモートSDRで送信しているのが確認できた。https://blacksmith-knoll.blogspot.com/に同局からのメッセージが掲載されている。(WORIG 7/1) 創立者はかつてラジオ少年だったMarco Johansson氏、PoriはYLE Radio Finlandの短波送信所があった場所です。6120kHzは当時同局のメイン周波数でした!

◎南極LRA36が試験送信 2版新規
 スペインのManuel Méndez氏が、RAEのAdrian Korol氏から得た情報では、南極局LRA36 Radio Nacional Arcángel San Gabrielが特別試験送信を15476kHzUSBで2024年7月5日の10:00-13:00に実施する。なお同日03:00-05:00にはいつも通りの定時送信が行われる。受信報告を歓迎する。(WORIG 7/1) 受信報告は<qslrae @ gmail.com>へ。

◎「あーゆぼーわん No.10」のオンデマンド印刷版先行販売 ~秋葉原BCLクラブ
 
秋葉原BCLクラブではBCLファンの交流誌「あーゆぼーわん No.10」を発行するが、このほど印刷版を先行販売することになった。No.10では「ベリカード特集」と題して多くの投稿を頂き過去最高のページ数となった。情報誌「ABC50's」とは違った緩い感じの書籍となっているので、BCLや仕事で疲れたとき読んで頂けると良い。No.10の内容は以下の通りである。■ベリー レア ミステイク ベリカード、■お色気(?)ベリカード、■人生88年のBCL懐古、■My Favorite QSL Card、■欧州短波放送のそっち系eQSL、■BCL的ノベルティ、■私のベリカードコレクション、■思い出のベリカードを紹介します♪、■送信所がテーマのベリカード、■遠原ベリカードコレクション、■今はもう無い放送局シリーズ、■中学生が集めた短波放送のベリカード・記念品、■今となっては・・・・、■大きいベリカード、■テレビ局ベリカードギャラリー、●BCLの集い in 信州佐久、●台湾への旅をふりかえって、●日本ラジオ博物館訪問、●我が家の愛犬たち、● 原さんちのみーこちゃん=^_^=、●Kobayashiさんちのシロちゃん、●ギャラリー パピオン Kei、●かぴとうラジオからのお知らせ、◆秋葉原BCLクラブからのお知らせ、◆あとがき。 A4版126ページ・カラー印刷で販売価格は送料別で2,750円(本体2,500円+消費税)である。オンデマンド印刷版販売ページ https://www.seichoku.com/item/DS2006319 より購入ができる。なお無料PDF版の公開日は未定となっている。(秋葉原BCLクラブ 伊藤晃氏)



◎USAGMがSāo Tome及びマリアナ中継局の廃止を検討
 
米国のDan Robinson氏によると、米国USAGMは近い将来に現在のSāo Tome、マリアナ(Saipan/Tinian)中継局を廃止する検討を行っている。理由はUSAGM/VOAに対して政府が十分な予算を認めず、維持が困難なためとされている。この予定は正式に決定・発表されたものではなく、必要な予算が付けば維持できるという「アピール」の可能性もある。(WORIG 6/24) 同氏によればまず手始めにTinian送信所を廃止することが検討されている。(WORIG 6/25) Tinian送信所はSaipan送信所が隣にあるため廃止しても影響は少ないと見られます。

◎対北放送「国民統一放送」の現状
 
米国のRon Howard氏によると、対北放送である国民統一放送(국민통일방송、National Unity Radio)は現在7340kHz(台湾淡水送信所らしい)で放送されている。同局のURLはhttps://www.uni-media.net/、メルアドは<umg.info @ uni-media.net>、住所は〒04-018 大韓民国서울特別市麻浦区東橋路59배영building3階である。(WWDXC TP 1538) 放送時間は21:00-24:00。



◎Shan News Radioが短波放送
 ビルマの反政府局Shan News Radioが短波中継を開始した。毎日21:50-22:30に17720kHz(Dhabbaya送信所)でビルマ語放送が出ている。(ドイツ Wolfgang Bueschel氏)同局のURLはhttps://shannews.org/、メルアドは<shan @ panglong.org>です。


◎WRTHの電子ブック版を発行
 ドイツのRadio Data Center社は新たにWorld Radio TV Handbookの電子ブック(e-book)版を発行した。電子ブック版のWRTH2024にはA24スケジュールがすべて反映されている。オンライン版は従来webアプリの形式で提供されていたが、電子ブック版はKindle Readerで読める形式となっている。冊子版のWRTHと同様にオフライン状態で「読む」ことができ、色々なキーワードで検索できる機能、フォントの大きさを自由に変えて読むことができる機能が特徴である。読み終えた後も場所をとらずに保存しておける。価格は1冊US$29.90、2024年版はhttps://shop.radiodatacenter.net/product/wrth-2024-e-book/より直接注文できる。(Radio Data Center 6/28) WRTH2025が最初から電子ブック版で提供されるかは不明です。円安と物価高でWRTHの価格が1万円に迫る中では選択肢となりうるかも知れません。

◎Weekend Music Radio ScotlandがURLとメルアドを変更

 ドイツのLesley Illingworth氏によると、現在ドイツにあるWeekend Music Radio Scotlandはwebサイトのアドレスをhttps://www.wmrscotland.com/からhttp://wmrscotland.de/に変更した。またメルアドも<wmrscotland @ mail.com>に変更した。この局はアイルランドにあると見られる送信所から6295kHzで音楽を繰り返し放送している。他にはドイツShortwaveradioより以下のスケジュールで放送している。
 土曜 05:00 3975 6160
    日曜 00:00 6160 05:00 3975 6160 19:00 6160
 月曜 00:00 6160 07:00 3975
 火曜 07:00 3975
(WORIG 6/1)



◎Radio RealMixが送信機と周波数を更新
 フィンランドのKari Kallao氏が同国のQRP短波局Radio RealMixの社長Joakim Weckström氏から受け取った情報によると、同局は5月中に最初の免許が切れるため、6月以降は6195kHzに周波数を変更して放送を継続する予定である。現在出力の高い新送信機が到着したところで、今後はもう少し受信状態良く放送できる見込みである。(WORIG 6/1) 今までは10Wで、隣国でも難しかったです。7月7日に6195kHz、100Wの試験放送が行われました。

◎「ロシア語放送ハンドブック」第36版発行
 ロシアSt. Petersburg DX ClubのAlexander Beryozkin氏によれば、同クラブより"Broadcasting in Russian" Handbook第36版が発行された。A24スケジュールをカバーしており、次の内容からなる。
 ①用語集・略語集、前版(2023年10月)以降「外国の代理人」として情報がブロックされたメディアの一覧表。
 ②33カ国51局のロシア語放送の周波数、放送時間、送信所、出力、ターゲット地域、宛先、電話/FAX番号、URL、SNS、メルアド等の情報。
 ③19カ国22局のインターネット上でのロシア語放送(電波放送から切り替わった放送を含む)の情報
 ④放送の歴史:今回はTrans World Radioの続き。
 言語はロシア語で、A5版75ページである。冊子版はUS$11または€10、pdf版はUS$4または€3。支払いはPayPalで<dxspb @ nrec.spb.ru>へ。(RUS-DX #1292 via WORIG 6/2)

◎モルドバ中継のロシア局について
 ロシアのAndrey Molokov氏によると、モルドバGrigoriopol送信所より999kHzと1413kHzで中継されているRadio RossiiとVesti FMについて、各局のwebサイトには何の記述もないことがDXerの間では疑問となっていた。ロシアの放送管理当局VGTRKから見れば、これはモルドバのPridnestrovian Radiotelecenterが勝手に中継しているもので、VGTRKは中継の依頼も支払もしていない事によるものである。(RUS-DX #1292 via WORIG 6/2) Grigoriopol送信所はロシア系住民が多数を占める東部トランスニストリア地方にあり、モルドバ政府の支配が及んでおらず事実上ロシア領となっています。

◎ペルーRadio Pitumarcaが復活する予定
 コロンビアのRafael Rodoriguez氏によると、同氏はペルーRadio Pitumarca(在Cuzco州Pitumarca、出力1kW)のマネージャーよりfacebook上で次のような情報を得た。同局は4930kHzで放送していたが、ペルー防衛当局により送信アンテナの移設を命じられたため一時放送を停止中である。理由は送信アンテナ周囲で都市化が進み危険となったためである。今後数ヶ月以内に新たなアンテナ用地を確保して放送を再開する予定である。(WORIG 6/2) この局は2023年11月号で復活が伝えられた「Radio Sur Andina」と同一局のようです。「Radio Pitumarca」というアナウンスも出ていたようですので。WRTH2024にはRadio Pitumarcaの名称で掲載されています。

◎Radio Sawaが短波で
 英国のTony Rogers氏によると、米国のスーダン向Radio Sawaの短波放送は現在でも01:00-01:57に15445kHzで行われている。開始時には5分間簡単なニュースがあり、その後はアラブ向TV放送Alhurraの制作によるドキュメンタリー番組が続く。番組内では「Alhurra」のアナウンスのみがあり「Radio Sawa」のアナウンスは出ない。但し内容はスーダン向Radio Sawaのインターネットストリーミング放送と一致している。HFCCによると、15445kHzの送信地はKuwaitである、言語は登録では「中国語」となっている!(BDXC "Communication" June 2024 via WORIG 6/5)

◎横山幸雄元中佐の『潜流実録』 ~鳥居英晴氏が掲載
 メディア歴史研究家の鳥居英晴氏によると、同氏は「メディア展望」の2024年3-6月号に連載で「横山幸雄元中佐の『潜流実録』」を掲載した。記事内ではBBC日本語放送開始時のアナウンサーであったクラーク伊藤(伊藤愛子 1912-1973) や公安調査庁の秘密無線傍受局などの興味ある事項について触れられている。https://www.chosakai.gr.jp/project/media/上で無料で購読できる。同氏の手がけている「日本インテリジェンス秘史」の一環で、旧日本陸軍の中佐で、電波情報の収集や分析に当たった横山幸雄(1903-1988)の手記を中心に記述している。(赤林)

左:鳥居英晴氏( 「メディア展望」より) 
右:BBC日本語放送で放送中の伊藤愛子氏(1983年「BBC日本語放送の歩み」より)英国外交官と結婚していたため、英国のスパイとして1940年9月20日日本の北京憲兵隊に一時拉致逮捕され、「クラーク愛子拉致事件」として問題となった,。1943年7月に開始されたBBC日本語放送ではアナウンサーを務めた。

  


◎「Behind the White House Curtain」~VOAを巡るホワイトハウスの内幕
 米国のDavid Cole氏によると、VOAの主任特派員であるSteve Herman氏がトランプ政権時代のホワイトハウス(大統領)とVOAの関係を回顧録の形式で記述した「Behind the White House Curtain」が発行された。VOAの本来の報道姿勢は「正確で偏りのない情報」を伝えることであるが、そのために米国政府によってVOAのジャーナリストはしばしば「国民の敵」とされてきた経緯がある。特にトランプ政権(2017-2021年)下では、VOAは「モスクワや北京の利益を支持する代弁者」と見なされ、VOA幹部は機密保持権を失い、政府からはSteve Herman氏を当時のホワイトハウス支局長から解任することを命令する文書が出された。当時著者は自分のキャリアよりも、ジャーナリズムの独立性や「VOAの魂」が脅かされていると感じた。フェイクニュースが横行する現在、氏は本著を通じて、正確な情報を公開することが民主主義にとって不可欠であり、報道の自由が米国人の基本的権利であることを主張している。248ページ、The Kent State University Press発行、価格$29.95。詳しくはhttps://www.kentstateuniversitypress.com/2023/behind-the-white-house-curtain/を参照のこと。(WORIG 6/6)



◎Radio Vanuatu一波のみに
 オーストラリアのChris Martin氏によると、Radio Vanuatuは短波送信に支障が生じたらしく、5月中旬には短波放送が途切れていた。下旬になって7260kHzは復活したが、3945、5040kHzでは聞こえていない。(ADXN June 2024 via WORIG 6/6)
 米国のRon Howard氏によると、6月に入り16:00前後に7260kHzでは良好に受信できている。(WORIG 6/6)

◎IRCA Slogans List最新版公開
 米国のKraig Krist氏は米国・カナダの中波局4,757局のスローガンを網羅した「IRCA Slogans List」の最新版を制作・公開した。なお中には既に放送を中止した局もあるが、FCCに登録している局はそのまま掲載している。https://misc.kg4lac.com/irca/よりpdf形式でダウンロードできる。全68ページ。(WORIG 6/6) なお米国・カナダ中波局のQSL発行状況(宛先、発行者など)を記載した「Recent MW Station Contacts for Reception Report Verifications」もhttps://misc.kg4lac.com/irca/Recent%20MW%20Station%20Contacts%20for%20Reception%20Report%20Verifications.htmlより参照できる。(WORIG 6/6)

◎西寧市広播電視台の2FM放送が閉局に
 中国青海省の西寧市広播電視台の発表によると、同局の都市生活広播(FM101.3MHz)と旅遊広播(FM102.7MHz)は2024年6月14日01:00を持って廃止される。廃止後は綜合広播(FM95.6MHz AM1476kHz)、交通文藝広播(FM104.3MHz)のみが残り、番組の一部は交通文藝広播に統合される予定である。この結果西寧市広播電視台は省都局としては西蔵自治区の拉薩広播電視台に次いでラジオチャンネル数の少ない局となる。この措置は2020年11月に中国国家広播電視総局が出した「ラジオ・TVメディアの発展的な融合を推進し、影響力が少なく、聴取者数の少ない放送を停止せよ」という指令に基づくものである。この指令の元、合肥市、済南市、貴陽市など13の省都(近々では2023年12月南昌市)で放送チャンネルの削減が実施された。(Cahcn的 6/7)

◎タイ ラジオ放送デジタル化で新方針
 コロンビアのYimber Gaviria氏がタイBangkok Postの報道として伝えたところによると、タイで現在FM各放送局に与えられている放送免許は2024年末で満了する。以降放送を継続するためには①FMアナログ方式のNBTCラジオ免許制度に加入する、②DABデジタル放送に転換する、の選択をする必要があり、さもないと廃局となる。NBTCラジオ免許制度には現在313局が加入している。NBTCラジオ免許制度では、約3,000局まで対応可能だが、混信をさけるために周波数の再調整を行うため、周波数変更が必要となる場合が多い。詳しくはhttps://www.bangkokpost.com/business/general/2807234/radio-stations-face-new-regime-amid-digital-rejigを参照のこと。(WORIG 6/8) NBTCとはタイ国家放送通信委員会(National Broadcasting and Telecommunications Commission)の略。

◎Asian DX Reviewの入手方法
 Indian DX Club Internationalによると、同クラブでは毎月「Asian DX Review」を発行し無料で提供しているが、同クラブのwebサイトhttp://www.idxcl.inや他のブログサイトは容量に制限があるためサイト上からは提供されていない。そこでProton Drive上で最新号を提供することにした。https://drive.proton.me/urls/P0X9ZN0GXM#biGlQfg5a8ON。(WORIG 6/9)

◎5月10-11日に強力な磁気嵐
 英国のAndrew Brade氏によると、米国では2024年5月10-11日に、これまで記録された内で最も強力な部類に入る磁気嵐が観測された。またこの日には低緯度地方でもオーロラが観測された。これは2003年10月30-31日に観測されたフレア現象に伴う磁気嵐以来のものであった。その結果30MHz以下のHF帯の通信に著しい影響があった。米国FCCは被害の状況を把握するために、この日の通信障害の内容や程度についての報告を求めた(https://docs.fcc.gov/public/attachments/DA-24-493A1.pdf参照のこと)。主として中波放送への影響について調査するためと思われる。(WORIG 7/10) 一昔前でしたら国際通信が全面的に途絶し大騒ぎになっていたものと思われます。

◎Radio Romania InternationalがDRM機能を強化
 英国のMike Terry氏がDRM Consortiumの発表として伝えたところによると、現在世界最大規模のDRM送信を行っているRadio Romania Internationalとその送信オペレーターであるRadiocomは、このほどFraunhofer IISとSTARWAVESの協力でDRM ContentServerの機能を大幅に向上させた。具体的には音声コーディックをxHE-AACに切換え、Journalineアドバンスト・テキスト機能により数カ国語の最新ニュースがテキスト表示されるようになった。更新されたDRM機能はブカレスト近郊のȚigănești送信所に実装された。(WORIG 6/13)
 英国のRichard Langley氏によると、上記の改善の結果、11kbsのxHE-AACコーデックにてニュースの字幕を同時送信できるようになった。xHE-AACに対応している「DRM1000」モジュールで組み立てた受信機で15170kHZで06:45頃行われていたスペイン語ニュースDRM放送を受信した模様をhttps://drive.google.com/file/d/1VZ6MPqeKDxhzVURpAARml0pYzy33HtYt/view?usp=sharingjに示す。(WORIG 6/24)Dream2.2.1ではxHE-AACコーデックに対応していますが、Dream 2.1.1では未対応です。現在ネット上で公開されているDream2.2.1はそのままでは稼働しません。KiwiSDRには現在Dream2.2.1が搭載されています。

◎チリのRCWが新周波数追加
 ブラジルのLucio Otavio Bobrowiec氏によると、チリの海賊短波局RCWが6925kHzに加えて新周波数7535kHzで放送している。2024年6月15日には06:30頃確認でき、「Radiogama」という名称のニュース番組を放送していた。従来の6925kHzとパラだが、7535kHzの方が強い。(WORIG 6/15) RCWはRadio Compañía Worldwideの略、チリSan Francisco近くの「Rodoríguez Erdoíza」送信所等から1kWで送信していると言われています。7535kHzは以前使用していた7610/7550kHzからQSYしたものと思われます。

◎カリーニングラードからのRadio Rossii中波放送スケジュール
 ロシアKaliningradのRadiocenter5からのRadio Rossii中波放送は2024年6/7月には以下のように行われる。すべて欧州東部、欧州北部、ベラルーシ、バルト3国向。
 火曜 23:00-24:00 549kHz 100kW
 水曜 23:00-24:00 1143kHz 150kW
 木曜 23:00-24:00 549kHz 600kW
 以上の時間以外に放送することもある。 (RUS-DX #1294 via WORIG 6/16)

◎ブラジルRádio InconfidênciaからeQSL
 ブラジルのRadioRádio Inconfidência(15190kHz)は受信報告に対してeQSLをポルトガル語で発行している。宛先は<gleisonferreira @ inconfidencia.com.br>。
(RUS-DX #1294 via WORIG 6/16) メイン周波数はFM100.9MHzと中波880kHz。

◎タリバンがアフガニスタン南部でもBBCの中継局を閉鎖
 英国のMike Cooper氏がBBC Monitoring、Afghan Islamic Press (AIP) news agencyの報道として伝えたところによると、タリバン政権はアフガニスタン南部Helmand州にあるBBCのFM中継局を2024年6月13日に閉鎖した。地元当局の指示によるもので、閉鎖理由は明らかにされていない。また他の州でも閉鎖されたのかについても不明である。Helmand州でのFM中継は2006年にRadio Television Afghanistan (RTA)の建物内に送信機を設置して開始され、タリバン政権成立以降も2人のエンジニアにより管理されていた。なおタリバン政権は2022年、VOA、BBC、DWが現地語で再放送を行うことを禁止している。(WORIG 6/16)

◎「Atlantic 252」の名称が英国でDAB局として復活
 コロンビアのYimber Gaviria氏によると、1989-2002年にアイルランドから長波の252kHzで放送され欧州で一世を風靡した長波局「Atlantic 252」の名称が今度は英国でDAB局として復活することになった。放送開始は2024年6月24日の現地時間08時となる。サービス地域は当初は英国北西部のStockport、Bury、Bolton、Tameside、Rochdale、Oldhamであるが、将来的に英国全土及びアイルランドをカバーすることを計画している。元記事はhttp://radiotoday.co.uk/2024/06/atlantic-252-name-to-return-as-digital-radio-station/を参照のこと。(WORIG 6/16)

長波時代のAtlantic 252のロゴ


◎KBS World RadioがAscension中継開始
 韓国のKBS World Radioは2024年6月2日より新たにAscension中継でアフリカ向フランス語放送を開始した。05:00-06:00 9765kHzである。(BDXC "Communication" June 2024 via WWDXC TP 1582) 125kW 27°。

◎HCJB-Germanyのロシア向放送
 現在HCJB-Germanyからのロシア向放送は以下のように行われている。
 日曜 00:00-00:30 ロシア語 00:30-01:00 チェチェン語 11700kHz Nauen送信所(125kW 100°)。
 従来通り、この放送の受信報告にはQSLカードが発行されている。

(WWDXC TP 1582) 宛先は 394036 Россия, Воронеж а/р 585, "Голос Анд", радиостудия "Откровение"ですが、現在日本からロシアへの郵便は届きません。

◎米国各短波局で送信機が不具合
 米国のGlenn Hauser氏が、同国WTWWのGeorge McClintock社長から5月末に受け取った情報では、同局Lebanon送信所のHarris社製SW100短波送信機は、使用していない内に劣化が進み、インダクターはリーク、抵抗器やネジは錆び付いて接触不良、コントローラのICはショート、同調用モーターはまともに回転しない、水冷用のポンプも故障で働かないなどひどい状況である。同社長と息子で一つづつ修理をしているが、稼働状態になるためには最低2ヶ月を要する状況である。稼働状態になれば12015kHzで送信を再開する予定にしている。(WWDXC TP 1582) 
 米国のTony Pavick氏が、同国EWTNのGlenn Tapley氏から6月13日に受け取った情報では、同局の英語放送用のContinental社製送信機は真空管の交換が必要な状況だが、真空管が届くまでに8ヶ月かかる予定である。またスペイン語放送用の送信機も故障しており現在補修部品の調達を行っているところである。従って当面Vandiver送信所からの英語送信(15610kHz)とスペイン語送信(12050kHz)を停止している。(WWDXC TP 1583) WTWWのSW100は2010年にKNLSより寄付された古い送信機です。2022年8月までは稼働していました

◎Radio Sadaye Zindagiは変則運用
 ベラルーシのAlexander Myadel氏によると、アフガニスタン向キリスト教局Radio Sadaye Zindagiの放送(00:00-03:00 5130kHz、Bishkek送信所)は、現在毎月の前半2-16日のみ行われている。(WWDXC TP 1583)

◎RNZ Pacificの新送信機DRMでも試験放送
 カナダのTony Pavick氏によると、RNZ Pacificは新送信機の試験送信を17900kHzで随時行っている。AM送信は定周波数の音声信号のみが流されている。DRM送信の試験も行われており「Test Message」とのみ表示され、音声は聞こえない。(WWDXC TP 1583)

◎カナダIqaluit Radioが南米で受信される
 ブラジルのJosé Ronaldo Xavier氏によると、カナダの沿岸警備隊局VFF Iqaluit Radioが時報信号を送信しているのが07:00-07:37に6218kHzUSBで受信できる。通常は気象通報を流しているが、時報信号も定期送信となったらしい。(WORIG 6/24) カナダ西北部の北極圏に近いバフィン島にあります。最低気温-45度、年間平均気温-6度の極寒の地です。

◎コロンビアのTV放送70年 1954-2024
 コロンビアのYimber Gaviria氏によると、同国では1954年6月13日にTV放送が開始された。2024年がTV放送開始70周年になるため、TV放送がコロンビアに伝わった経緯とその社会的影響について記述した歴史書「70 años de la TV en Colombia 1954-2024」(スペイン語)が発行された。277ページのボリュームだが、pdf版はhttps://bit.ly/45BpYjMより無料でダウンロードできる。詳しくはhttps://www.senalmemoria.co/articulos/television-70-anos-libroを参照のこと。(WORIG 6/23)



◎英国でAM放送の帯域幅拡大認可へ
 英国のMike Terry氏によると、同国のOfcom(Office of Communications、情報通信庁)はAM放送の音質を向上するために帯域を拡大することを許可と発表した。1970年代のラジオ全盛期より放送局がAMバンド内にあふれたため、混信を防止するために帯域幅は6kHzに制限されてきた。このためAM放送は「電話品質」並の悪い音質で放送することを余儀なくされていた。現在欧州ではAM帯域に空きが出てきたことと、デジタル信号処理の普及でオーディオプロセッサーのフィルタリング機能が向上したため、スペインでは既に9kHzの帯域幅が認可されている。これを踏まえてOfcomでは必要な場合は音声帯域幅を広げること認可することにした。このことでAM放送需要が復活する可能性は少ないが、残存するAM放送事業者には廃止の「執行猶予」を与えたことになる。この変更は英国各地に中波送信所を持つMaxxwave Radio Communications社がAM各局の意向を代表して過去4年間に渡りOfcomの働きかけを行ってきた成果である。これを受けてRadio Seerah Leicester 1575とRadio Panj Coventry 1521はすでに申請を提出している。記事はhttps://radiotoday.co.uk/2024/06/ofcom-to-allow-wider-audio-bandwidth-on-am/を参照のこと。(WORIG 6/25)

◎スペインRTVEが新短波送信機の予算を承認
 スペインRTVEの取締役会は海外向短波放送Radio Exterior de España(REE)の新規短波送信機の購入、設置、運転を承認した。すでにREEを公共サービスとして継続維持する方針は決定されており5基の短波送信機を導新規入する方針が出されている。今回の措置はその第1基目となる。現用中の短波送信機は耐用年数をはるかに超えており故障が続発しており短波放送の継続が危ぶまれていた。新送信機はアフリカ西部、中東、北米、南米向の放送に使用される予定である。REEの放送は2014年に一時中止されたが、8ヶ月後に復活し2018年には1日8時間放送されるようになった。同局では短波放送の利点として①各国のリスナーが真実の情報を得る民主的権利を保障できる、②リスナーが無料で利用できる、③世界中に情報を伝えるための投資や設備が少なくて済む、④漁師、船員、宣教師、ボランティアなどインターネットの電波が届かない場所で仕事をする自国民に的確な情報を伝えられる点をあげている。(AER via WORIG 6/26)

◎Santa Maria di Galeria送信所に太陽光パネル設置
 AP通信によると、教皇フランシスコは2024年6月26日、ローマ北部にあるVatican RadioのSanta Maria di Galeria送信所の敷地に太陽光パネルを設置してVatican Radioの電力及びバチカン市国の電力をまかなう決定をした。送信所の敷地は430haで、ここはイタリア国内だがバチカン市国が治外法権を有している。この送信所では1990年代に発信される高周波による健康への影響を周辺住民が指摘して裁判となった経緯がある。2012年にVatican Radioは「インターネットの進展により短波需要が減少した」として同送信所からの送信時間を半減する決定をして現在に至っていた。(WORIG 6/26) SDGsに貢献するということで、短波送信は継続されるものと思われます。

◎合肥の中国交通広播電台安徽が突如停止 ~23日後に復活  
4版追加
 2024年6月19日、中国安徽省合肥からFM100.4MHzで送信されていた中国交通広播電台安徽の放送が突如停止された。現地リスナーからの報告では停止直前には自局番組の放送がすべて中止され北京のFM99.6の番組を終日中継していた。但しオンライン上での放送は継続されているようである。中国国家広電総局はこの2年間中国交通広播電台の縮小を命じてきており、河北省のFM101.2MHz及び湖南省のFM90.5MHzなどが停止された。中国交通広播電台安徽は元々中国交通広播電台長三角(上海市、江蘇省、浙江省)に属する局として開局したのだが、全く独自の番組を放送しており一度も中国交通広播電台長三角の番組を中継したことはなかった。(Cahcn的自留地 6/22)
    安徽省のリスナーからの報告によると同局は2024年7月12日正午に放送を再開した。(Cahcn的自留地 7/12)  安徽広播電視台交通広播(90.8MHz)とは別系統の中国交通広播電台の地方局です。リスナーに事前通告なく突如閉局したり再開したりするのは中国らしいやり方ですね。


◎台湾RTIがドイツ語の試験放送
 英国のAlan Holder氏によると、台湾のRadio Taiwan Internationalはドイツ語の試験放送を2024年7月7日より実施する。送信所は淡水である。時間・周波数は以下の通り。
 11995kHz 02:00-02:10 9545kHz 02:30-02:40 7250kHz 02:45-02:55
試験放送は以後7/13~15、7/20~22、7/27~29、8/3~5の02:00-02:30(上記の内の1周波数)、02:30-03:00(上記の内の別の1周波数)にも実施される予定である。受信報告は<deutsch @ rti.org.tw>へ、特別QSLカードが発行される見込みである。(WORIG 6/28)

◎Music Programmes on Shortwave第3版発行
 英国のAlan Roe氏によると、主要な短波放送で行われる音楽番組をまとめた「Music Programmes on Shortwave」の第3版が発行された。https://app.box.com/s/kbdxb4c5lwpju0kpoi27aiwc35br2g2a (or for short: https://bit.ly/3LgKNJ2)よりダウンロードできる。44ページ。(WORIG 6/29)


出典の略称
   WORIG : World of Radio io group
   WWDXC TP:World Wide DX Club Topnews  
   HCDX: Hard-Core-DX  
   JSWC: Japan Shortwave Club  

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