月刊短波2024年10月号(第4版)
編集 赤林隆仁  時間  JST

◎RNEIが久しぶりに日本向日本語番組  4版新規
 
Radio Northern Europe International(RNEI)の51回目の日本語番組は台湾の褒忠送信所より9900kHzで10月20日(日)の18:25-18:55に放送する。新しい曲と、日本の曲、90年代の懐かしい歌、ダンスミュージックのDJミックスを集めた。(RNEI 10/19)

◎Radio Sound of Africaが試験送信  4版新規
 
Radio Sound of Africaという局が新たに短波で試験放送を実施する。スケジュールは以下の通り。
 2024年10月18日13:00~10月21日07:00
 13:00-14:00 6175
    23:00-01:00 6170
    05:00-07:00 6170
   受信報告の宛先は<radiosoundofafrica @ gmail.com>。
(HCDX 10/18)

◎Atlantic 2000が10/12に特別短波放送  3版新規
 
フランスのAtlantic 2000は2024年10月12日の17:00-18:00にドイツChannel 292より6070及び9670kHzで10月の特別短波放送を実施する。なおオンライン放送はhttp://radioatlantic2000.free.fr上で24時間行われている。受信報告は<atlantic2000international @ gmail.com>へ。(WORIG 10/10)

◎Radio Vanuatuが9960kHzで復活  3版新規
 ギリシアのZacharias Liangas氏によれば、Radio Vanuatuは2024年10月1日より7260kHzの代わりに9960kHzで復活した。ビスラマ語と英語の番組が15:30頃受信できる。米国のRon Howard氏によると、終了は20:02で、キャリアは20:30頃まで出ている。(WORIG 10/1 10/4) 日本では夕方非常に強力に入感しています。

◎Radio Caroline Northの10月特番  3版新規
 
英国のMike Terry氏によると、同国のRadio Caroline Northは2024年10月12-13日に、ラジオ船Ross Revenge号の船上から特番を行う。内容は1960年代から1990年代初めまでのヒット曲が中心で、同局Web Shopの商品の抽選も行われる。英国、オランダ、ベルギーなどでは648kHzを、欧州北部・北西部ではManx Radioで中継される1368kHzで聞くことができる。勿論アプリによりオンラインで聴取することもできる。詳細はhttps://radiocaroline.co.uk/#home.htmlを参照のこと。(WORIG 10/8)

◎ITUのB24スケジュール公表  2版新規
 インドのJose Jacob氏によると、ITU登録のB24スケジュールが公表された。
https://www.itu.int/itu-r/eterrestrial/ebroadcasting/ehfbc#/schedules より閲覧できる。(WORIG 10/4) 届け出団体別に226波が登録されています。日本はNHKとラジオ日経(NSBと表示されている)が登録されています。HFCC非加盟国のスケジュールも見ることができます。


◎Jazz AMが高出力放送
   2版新規
 
英国のAlan Roe氏によると、同国のJazz AMは普段はドイツChannel 292より放送しているが、Channel 292の仲介により、英国Woofferton送信所より以下のように高出力放送を実施する。
 10/6 06:00-07:00 3995kHz DRM 85kW
    10/7 06:00-07:00 3995kHz AM 125kW
    なお通常は同局はChannel 292より日曜19:00-20:00 に9670kHz(10kW)で出ている。
(WORIG 10/1) URLはhttps://gbradio.uk、E-mailは<admin @ gbradio.uk>。

◎From the Isle of Music / Uncle Bill's Melting Potの10月スケジュール
 
  2版新規
 
米国From the Isle of Music / Uncle Bill's Melting Pot両局の経営者Bill Tifford氏によると、両局の10月の短波送信スケジュールは以下の通り。
 
From the Isle of Music 10/12
    Uncle Bill's Melting Pot 10/19
    放送時間・周波数は両局ともに以下の通り。送信はドイツChannel 292。
  13:00-14:00 9670kHz 米国向
  翌日02:00-03:00 9670kHz 南アジア向
  翌日04:00-05:00 3955 6070kHz 欧州向
(WORIG 10/1) 受信報告は<tilfordproductions @ gmail.com>へ。

◎モンゴルの声日本語放送ハムフェア2024特番
 2024年8月24-25日に開催されたハムフェア2024では日本短波クラブ(JSWC)のブースをモンゴルの声の元インターンであった秋田真歩氏が来訪し、会員数人にインタビューを行った。その模様が2024年10月2日(3日に再放送)、10月7日(8日に再放送)の2回に分けて放送される。この放送の受信報告に対しては特別eQSLが発行される。宛先は<mnb_vom @ yahoo.com>。また日本短波クラブでもこの放送の受信報告に対して2024年用クラブQSLを発行する。eQSL希望の場合は<jswcqsl @ live.jp>へ、紙のQSLカード希望の場合は110円分(10/1より郵便料金改定に注意)の切手を貼ったSASEと発行手数料84円分を切手にて同封(これらは必須)し〒248-8691鎌倉郵便局私書箱44号 日本短波クラブへ。(JSWC事務局 大武逞伯氏)モンゴルの声日本語放送は 19:30-20:00 12085kHz 22:00-22:30 12015kHz。

◎Radio Thailandの日本語放送2ヶ月間休止
 Radio Thailandのアナウンスによると、同局は日本語放送を2024年10月1日~11月30日の2ヶ月間休止し、2024年12月1日に再開することになった。(埼玉県 林 義晃氏) ほぼ恒例になりましたね。22:00に一旦信号がオフになり、22:15-22:30に極東向(54°)にビームが切り替わり英語放送が出て、22:30に再びs/offします。

◎AWR B24シーズン以降KSDA以外の短波放送を中止
  
インドのJose Jacob氏によると、Adventist World RadioはB24シーズン以降、GuamのKSDA局以外からの短波放送を中止することになった。KSDAからの短波放送はB24も継続されるが、スリランカTrincomaleeからの短波放送(11:00-11:29 11905kHz)は既に2024年9月24日で中止されている。WRTH facebookでも通知されている。(WORIG 9/27) 
   WRTH facebookによると、オーストリア、ドイツ、マダガスカル、タジキスタン、台湾、ウズベキスタン、スリランカの送信所より中継されているすべての放送が廃止される見込みである。(RUS-DX #1309 via WORIG 9/29)  オーストリアのMoosbrunn送信所の主要ユーザーであったため、この決定を受けて同送信所の廃止も決断されたといわれています。廃止される放送についてはAWRのA24スケジュールhttps://awr.org/wp-content/uploads/2024/03/A24-AWR-Public-Broadcast-Schedule.pdfを確認して下さい。
 
◎ORSが短波放送を年内で廃止 ~Moosbrunn送信所も同時に閉鎖

 カナダのTony Pavick氏の得た情報では、オーストリアORSは現在Moosbrunn送信所から行われている短波放送を2024年末に廃止することになった。財政上の理由によるものである。(WORIG 9/24)
 Moosbrunn送信所は2024年末に廃止・閉鎖されることになった。すでに送信アンテナの一部は撤去が始まっている。この送信所では古くなった300kW送信機が2023年が廃止され、100kW送信機2基が残存していた。なおORS自体はこのことについてwebサイト上などでの公表を行っていない。Moosbrunn送信所からORS自体が短波送信を行っている時間はわずかで殆どは他の送信ブローカーに時間貸しをしている現状がある。原情報はhttps://radiodiscussions.com/threads/ors-moosbrunn-austria-site-to-close.773309/を参照のこと。(Ian Shortwave sites 9/28)  上記記事の通り「財政上の理由」とはメインユーザーであったAWRが短波から撤退することらしいです。ORS自体は毎日15:00-15:35に国内向第一放送の中継を6155kHzにて欧州・アフリカ向けに細々と放送しています。2023年に使用停止となったのは1983年導入のAEG社製S4005短波送信機、残っている2基は2000年導入のThales社製TSW2100短波送信機です。

Moosbrunn短波送信所の鉄塔群 (ORSのHPより)


◎オーストリアORFが放送100周年記念短波特番
 オーストリアのHarald Suess氏によると、同国ORFは放送開始100周年記念特別短波番組を2024年10月6日(日)の17:00-18:00にMoosbrunn送信所より6055kHzで実施する。2021年に死去した有名作家Wolf Harranth氏とのインタビューで放送開始時からの歴史を偲ぶ。この放送に対する受信報告には特別QSLカードが発行される。宛先はORF CARO,1136 Vienna, Austriaまたは<caro @ oe1xrw.radio>。(RUS-DX #1309 via WORIG 9/29)

◎BCLファンの情報誌「ABC50's No.15」発行

 秋葉原BCLクラブではBCLファンの情報誌「ABC50's」の2024年秋版(No.15)を発行した。内容は以下の通りである。●My hobby、●B23シーズン受信のベリカード、●世界のベリカード、●BCL旅日記2023年10月~2024年3月、●スタジオのある風景 カンボジアの仏教放送局、●ROK 技術倶楽部の受信戦略(4)、●魔改造 KR-009AWFSW をバンドスプレッド化、●中学生が聴く「朝鮮の声、その他。pdf版はhttps://abc50s.net/books.htmlより無料でダウンロードできる。なお秋葉原BCLクラブのHPは現在更新工事中である。(秋葉原BCLクラブ 伊藤 晃氏)

表紙は髙野俊也氏のシャック


◎モンゴルは長波放送を廃して「デジタル短波放送」に
 フランスのMichel FREMY氏がRadio Worldの報道として伝えたところによると、9月初旬、モンゴルMNB本局内で担当大臣を交えて今後の長波放送を含む放送のあり方についての会議が行われた。大臣は長波送信設備のメンテナンスが困難であり、現在国土の55%しかカバーできておらず、電波が届かない地域の人々はラジオを聴くことさえできないと語った。MNBの会長は現在のままでは災害時等の情報伝達に大きな支障をきたす、10年前からデジタル技術の採用を試みているが成果をあげていないと語り、解決策としては国土全体をすぐにカバーできる短波放送の拡充して更に放送をデジタル化することが必須であると強調した。これが実現すれば国土の95%をカバーできるようになり、350万人がラジオ放送にアクセスできるようになるとしている。
 現在長波送信機1基をDRM送信も可能な短波送信機に置き換える作業中であるが、他の長波送信施設はいまだ1960年代に設置された古い送信機で運用されている。また現在のモンゴルでは長波が受信可能な受信機の復旧率も低い状況なので、早急に短波送信施設を整備するのが最もコストのかからない方法と考えられるという結論であった。(WORIG 9/15) 国土の大半が草原で、首都Ulaanbaatar以外に主要な都市が存在しないモンゴルでは首都から少し離れるだけでFM放送も携帯の電波も届かなくなり、164kHzなどの長波放送しか聞こえない実情があります。

海峡之声広播電台が番組スケジュールを変更 ~短波放送の放送時間も
 2024年9月中旬に台湾で中国の海峡之声広播電台をモニターしたところ、番組スケジュールが変更されていることが分かった。正確な変更時期は不明である。従来週末は別番組スケジュールで放送されていたが、新スケジュールでは7日間毎日同じ番組スケジュールとなり、放送時間は従来07:25-01:00であったのが07:55-24:00に短縮された。水曜日はメンテナンスのため12:55-24:00の放送となっている。毎日の放送の内8時間25分(52.3%)は新しく制作された番組で、他は再放送となっている。新しい番組の比率は従来より多くなった。
 周波数は以下の通り。
 中波: 666kHz(福州松南村第107送信所 600kW) 783kHz(泉州福田后徐村 600kW) 1296kHz(南平第802送信所)
 短波: 4900kHz (夕方のみ、福州万里村第552送信所 50kW 140°)
 FM: 90.6MHz(福州) 99.6MHz(福州) 97.9MHz(厦門)
 実際の番組を聴いたところ、公式番組表と異なっている点がいくつか認められた。また番組開始前の07:40-07:45には1kHzの試験音声が出ている。
 公式HP・インターネット放送 https://www.vos.com.cn/shiting.shtml。
(Cahcn的自留地 9/19) 4900kHzは従来20:40-22:00の放送でしたが、実際に確認したところ17:45(s/on)-20:35(s/off)となっていました。

◎オランダRadio Casanovaがニュージーランドで受信される

 ニュージーランドのStuart Forsyth氏によると、同国南島南端のHinahinaに同氏がセットアップしたリモートSDRでオランダのRadio Casanova(6020kHz 400W)が8月18日に受信できた。同局のスケジュールは毎週金曜・土曜・日曜(現地時間)の14:00-18:00 6020kHz、土曜・日曜・月曜の02:00-08:00 6070kHzである。(NZ DX Times September 2024 via WORIG 9/1) オランダ南西海岸沿いのVeereから、移動船舶無線機器を使用して出ている海賊局です。受信報告の宛先は<radiocasanova @ hotmail.com>。

◎ロシアに「Radio Sputnik」を中継する短波局出現
 ラジオ団体「UHF HOLD」(代表Ivan Stepin氏)は「Radio Center Selyatino」と協定して「Radio Sputnik」の番組を近日中に短波10kWで中継することになった。またNaro-FominskyにFM中継局も設立することにした。これで「Radio Sputnik」をロシア中部、ウラル山脈東麓地域、St.Petersburg、Kaliningrad地域ではラジオ受信機で聴くことができる。手始めに6850kHzで9月3日04:00まで1.5kW送信を行い、以降9月9日まで100Wで送信した。1.5kW送信の結果、欧州西部、日本、ロシア中部での受信が確認された。なお「Radio Sputnik」の中継は純粋に技術的なもので、その内容には関知しない。「UHF HOLD」では将来的には独自に制作した音楽番組を放送することにしている。局の予定はすべてTelegramで通知される。(RUS-DX 1305 via WORIG 9/1) Selyatinoはモスクワ近郊の小都市。西側に向けたプロパガンダの可能性もあります。

◎2024年版世界通信規則公開
 インドのAlokesh Gupta氏によると、ITUより2024年版国際通信規則「Radio Regulations」が公開された。これは1995年に世界無線通信会議で採択された内容を元に改訂を重ねた最新版である。https://www.itu.int/hub/publication/r-reg-rr-2024/。(WORIG 9/1) メルアドの登録などが必要です。

◎チェコとスロバキアが放送協力関係を停止
 チェコ国営放送(CRo:Ceský Rozhlas)スロバキア国営放送(STVR;Slovak Television and Radio)とチェコ国営放送(CRo:Ceský rozhlas)が協力関係を今後無期限に停止することになった。スロバキアでは公共放送RTVS(Radio & Tlelevision Slovakia)が解散し、国営化されたが、チェコ側がこの動きを嫌い表現の自由や放送の独立性が損なわれるとして警戒していた。スロバキアSTVRのラジオ放送Slovenský Rozhlas/SRoは従来ウクライナ戦争等に関してCRoの記者の取材に大きく依存していたが、スロバキア側は今後他の情報源で補うために問題ないとしている。元記事はhttps://spectator.sme.sk/c/23369356/news-digest-czech-radio-no-longer-cooperates-with-slovakias-stvr.html。(Aug-Sept WWDXC DX Magazine via WORIG 9/2) チェコとスロバキアは元々同じ国でしたが、スロバキアでは近年右派政権となりウクライナ戦争でも親ロシアの立場をとっており、西側のチェコとの齟齬が大きくなっています。

◎フィンランドPori送信所からロシア向高出力中波放送の計画
 キリスト教団体Alfa Media Groupは、使われていないフィンランド旧Pori送信所より963kHz・600kWでロシア向ラジオ放送を実施する申請を提出した。この団体は2022年に倒産したChristian Alfa TVを継承する団体である。計画によれば宗教番組と西側メディアからの情報番組をロシア西部に向け、旧Pori送信所内に残存する600kW送信機より放送するという。(Arctic Radio Club mv-eko items Sept 2 via WORIG 9/2)

◎英国Droitwitch送信所が90周年
 英国のMike Terry氏によると、BBCの長波放送(第4放送)198kHz等を送出している同国Droitwitch送信所は1934年9月の送信開始から90周年を迎えた。(WORIG 9/6) England西部のWorcestershire北郊にあります。現在198kHz(BBC 4 500kW)、693kHz(BBC 5 Live 100kw)、(Talksport 500/125kW)の送信を行っていますが、長波198kHzの送信は2025年6月30日で停止されることになっています。

Doitwich送信所の鉄塔群 (Wikipediaより)


◎中国がAmpegon社製送信機のDRM試験を大規模に実施
 米国のRon Howard、オーストラリアのJayce Gilbert、Craig Seager氏らによると、中国は8月中旬より所有しているAmpegon社製送信機を動員して大規模なDRM送信試験を実施している。周波数は15590、15460、19005、17700、21650、15455、21830、17700、15670、19015、17640kHzなどである。IDは「4D2」。(WORIG 9/6) 原情報は「DRM短波デジタル放送の世界」に掲載された以下の情報です。http://drm.mediacat-blog.jp/e155120.html。DRM送信モードはジャミングにも使用できるため、米国ではジャミング強化のための試験という見方がされています。

◎8月の太陽黒点数23年振りに最高値
 英国のMike Terry氏によると、2024年の相対太陽黒点数の平均値は215.5となり、2001年9月以来初めて200を突破した。2001年の最高値の後2003年末には史上最大の太陽フレアが記録されたのだが。原情報はhttps://spaceweather.com/。(WORIG 9/6) 2024年8月10日には268となっています。

◎Radio Andorra関連サイト
  英国のMike Barraclough氏によると、Mixcloud上に「Radio 428:Night Radiowaves from Andorra」というサイトが開設されており、Radio Andorraで放送された番組を英語及びフランス語の解説付で聴取できる。https://www.mixcloud.com/AquiRadioAndorra/radio-428-night-radio-waves-from-andorra/。なおRadio Andorraの歴史についてはhttps://www.aquiradioandorra.com/で閲覧できる。(WWDXC TP 1590)
 
◎韓国政府民間対北放送への支援拡大に
 オーストラリアのCraig Seager氏が韓国聯合ニュース(8/29)の報道として伝えたところによると、韓国の統一相は対北放送を実施している民間団体に対する支援を拡大すると発表した。具体的内容は今後の南北統一プランに沿った番組コンテンツ制作と人事育成の支援である。
 これは8月15日の解放記念日に尹錫悦大統領が発表した7つの重要政策に基づくもので、これらの団体に対する政府補助金の増額が示されていたが、具体的な金額は明らかにされていない。北朝鮮では外部の情報を遮断するために国民に対する監視を強化しており、外部の文化を持ち込んだものは重労働10年、聴取したり配給したものは死刑となる。(ARDXC ADXN Magazine #683 via WWDXC TP 1590)

◎「Radio Data Medium Wave 2024」発行
 米国のWilliam Scott氏は「Radio Data Medium Wave 2024」(RDMW-24)を電子出版で発行した。米国・カナダの中波局すべての送信パターンを地図上に表記している。他に局のコールサイン、技術的データ、太陽黒点数の予想、メキシコ局及び一部のバハマ、バーミューダ、カリブ海各国の局についてのデータ、490kHz及び518kHzのNAVTEX局、昼夜マップ等多彩な資料が含まれ、検索機能も豊富についている。送信パターン図のサンプルはhttps://mwcircle.org/north-american-mw-coverage-maps/ を参照のこと。価格は£3で、https://mwcircle.org/radio-data-mw-rdmw-2024/ より注文できる。(WORIG 9/8) ソフトウェアとデータのセットとして提供されます。

◎短波金融トレーディング実験局WL2XFUが1MWの送信可能に
 デラウェア州DoverのFarside Communications社は短波で投資家に株価データ等を提供する短波金融トレーディング実験局WL2XFUの4回目に当たる実験免許更新を行いイリノイ州Aurora送信所及びワシントン州Everett送信所より1MWの試験送信が可能となった。使用周波数は4438-24890kHz間の周波数。FCCは商業目的で利用しないこと、サービス実験は50人以下の範囲で行うこと、国際放送に混信を生じさせないことを実験条件としている。(WORIG 9/7)

◎サウジアラビアに新リモートKiwiSDR
 カナダPop Shop RadioのTony Pavick氏によると、サウジアラビアのRiyadhに新たなKiwiリモートSDRが設置された。http://21472.proxy.kiwisdr.com:8073/。中東地域のモニターに適している。(WORIG 9/7)

◎「On The Shortwave」のwebサイトが11月で閉鎖
 英国のMike Barraclough氏によると、短波放送の歴史サイト「On The Shortwave」(http://www.ontheshortwave.com)が2024年11月15日で閉鎖されることになった。同サイトはMcFarland社より出版された「On the Shortwaves, 1923-1945: Broadcast Listening in the Pioneer Days of Radio」のコンパニオンサイトとして1999年9月に開設され、その後はJerry Berg氏、John Herkimer氏により短波放送の歴史に関する資料を収集・公開してきた。それらは「Listening on the Short Waves 1945 to Today」、「Broadcasting on the Short Waves 1945 to Today」、「The Early Shortwave Stations:A Broadcasting history through 1945」の3冊にまとめられてMcFarland社(https://mcfarlandbooks.com/)より出版され現在も入手可能である。短波放送の歴史を調べるのには今後https://web.archive.org/などを利用すると良い。(WORIG 9/7) 膨大な局資料、QSLカードなどが閲覧できなくなり、短波放送の歴史に興味を持つ者にとっては大きな影響があります。

サイトには「さよなら」メッセージが表示される


◎旧RadioShackのカタログ閲覧サイト
 コロンビアのYimber Gaviria氏によると、かつて米国で一世を風靡したRadioShack社の64年間のカタログを閲覧できるサイトが開設されている。
 全体解説はhttps://www.openculture.com/2024/08/browse-64-years-of-radioshack-catalogs-free-online.html。
 個別閲覧はhttps://www.radioshackcatalogs.com/#google_vignette。
(WORIG 9/11) RadioShack社は1921年に設立された無線・家電の製造販売会社で、1936年からカタログの発行を開始しました。DXシリーズなど数々のBCL用受信機も開発販売し、BCLブームの1970年代には日本にも販売店があり、BCL受信機や米国仕様のTVアンテナなどを購入することができました。その後も家電販売店として残っていましたが2015-17年に倒産しました。

1939年のRadio Schackカタログ(上記HPより)


◎IRCA Mexican Log 2024秋版発行
 International Radio Club of America(IRCA)のPhil Bytheway氏によると、同クラブは「IRCA Mexican Log 2024秋版」(第27版)を発行した。メキシコの中波局すべての周波数、コールサイン、所在地、送信所、出力、スローガン、スケジュール、番組形式、系列、webサイト等の情報が網羅されており、コールサイン、周波数、所在地、送信所から検索することができる。https://www.ircaonline.org/editor_upload/File/2024-25_IRCA_Mexican_Log.pdfより無料でダウンロード可能。(WORIG 9/11)

◎日本側短波金融トレーディング実験局の現状
 米国の短波金融トレーディング実験局の相手側となる日本側の短波金融トレーディング実験局は現在4社あり、送受信所はすべて千葉県の袖ヶ浦市及び南房総市にあることが確認された。詳細は以下の通りである。1)~3)は2024年1月1日に再免許され、期限は2027年3月31日。周波数は共用である。
 1) DATACOM SERVICES(IMC Asia Pacific B.V.の子会社) 袖ヶ浦市久保田(35.446436N 140.019599E)
  JS2RA シカゴ向 電波型式 12K0D1D/12K0D1D  6864 6900 9081 9126 10845 10953 12117 12159 14673 14736 16119kHz 10kW
  JS2RB フィリピン向 6864 9081 10845 12117 14673 16119kHz 5kW
 2) 4HF(Raft Technologiesの子会社) 南房総市コスモクラシッククラブ(35.11472N 139.955582E)
  JS2SA シカゴ・ロンドン・シンガポール向 電波型式 12K0A1d/12K0D1D/12K0G1D/12K0K1D 周波数はJS2RAと同じ(共用) 3kW
 3) High Bar Communications(New Lines Networks LLCの子会社) 南房総市千倉町川戸(34.94630950N 139.936893E / 34.3633071N 139.9364527E / 35.9635544N 139.9372038E)
  JB2XH ジョホルバル・ロンドン・シカゴ向 電波型式 12K0F1D/12K0G1D 周波数はJS2RAと同じ (共用)1.5kW
  別にシカゴ向受信所1か所(南房総市御殿山 35.081944N 139.944834E)あり
 4) Nuvo Networks(DRW Holdings LLCの子会社) 南房総市和田町海発(35.0179484N 139.9834505E) コール、周波数等未定 シカゴ向?のアンテナは設置済
 詳細はhttps://jj1wtl.seesaa.net/article/504743515.htmlを参照のこと。

(JJ1WTL 本林良太氏)

◎KSKOが50周年記念QSL発行
 米国のCraig Allen氏によると、現在ブルガリアのKostinbrod送信所からも中継放送されているKSKOは放送開始50周年を迎える。同氏は局のQSLマネージャーを引き受け50周年記念特別QSLカードを制作した。KSKOは現在土曜の06:00-07:00にKostinbrod送信所から5900kHz(50kW)で放送されている。また番組ディレクターのPaul Walker氏からは50周年記念ステッカーも送られる。正確な受信報告を書いて、「50周年記念QSL及びステッカー希望」の旨を明記して送って欲しい。(WORIG 9/12) KSKOは米国アラスカ州McGrathで放送中の公共FM局(95.5MHz)。

◎ブラジル海賊局情報
 ブラジルのRudolf Grimm氏によると、同国では新たな中波海賊局が560kHzで出現した。サンパウロ州Santa IsabelのRadio Guardiã da Noticiaで、10月に行われる同市の市長・市議会議員選挙候補者の宣伝スピーチが主内容である。同地では560kHzは宗教局Radio Deus é Amorが24時間放送を長期間l行っていたが現在は放送を停止している。その隙をついて海賊局が出現した。こんな名称の局はかつて存在せず、番組のフォーマットも他のサンパウロ州の放送局とは全く異なっている。
 他の海賊局としては7350kHzのRadio Scall、7550kHzのRadio Ameixinhaの他、7677kHzで「Suble(南の)Beach」と称する新たな海賊局も入感している。(WORIG 9/12) 「Guardiã da Noticia」は「ニュースの守護者」というような意味。

◎インドPort Blairが改名
 インドのJose Jacob氏によると、インドAndaman & Nicobar Islandsの首都Port Blairはインド政府の命令で2024年9月13日以降Sri Vijaya Puramに改名した。同地にはAkashvaniの支局があり、中波648kHzとFM100.9MHzで出ているが、短波の4760kHz(10kW)で出ていたのを覚えているBCLも多いであろう。Akashvaniの局名も変更されると思われる。(WORIG 9/13) 「Sri Vijaya」とは7世紀頃この地域を含む、インドネシア、マレー半島を支配していた「シュリヴィジャヤ王国」のこと、「Puram」はヒンズー語で「町」のこと。Port Blairは18世紀にこの地を占領した英国軍人Archibald Blairにちなんで英国によりつけられた地名。

◎RMCのRoumoules送信所開設50周年
 英国のMike Terry氏によれば、2024年9月11日フランスAlpes-de-Haute-Provence県にあるモナコRadio Monte Carlo(RMC)のRoumoules送信所は開設50周年を迎えた。その記念式典が現地で行われ、モナコ公国の王子Albert2世が出席し、県知事、市長、RMCの会長・副会長が出迎えた。この送信所は当時Radio Monte Carloの技術責任者であったLucien Allavena氏の発案で同局の聴取者をフランス、イタリアに拡大する目的で建設され、目論見は成功し、RMCは欧州全体に大きな影響力のあるメディアに成長した。この地はフランス領であるが、モナコのMonegasque王家とは18世紀以来深い関係がある。王子は町の入り口に、同地がモナコの「Grimaldi史跡」の一部であることを示す看板を設置した。詳細記事と写真はhttps://www.monaco-tribune.com/en/2024/09/prince-albert-ii-pays-historic-visit-to-roumoules-to-celebrate-50-years-of-radio-monte-carlos-transmitter-centre/を参照のこと。(WORIG 9/13) 同送信所はRMCの全欧向長波放送216kHzの送信所として使用されましたが、長波が廃止された後はTrans World Radioの1467kHz用送信所(1000kW)として使用されています。

Roumoules送信所の鉄塔 (Wikipediaより)


◎BFBS70年の歴史を語るpodcast
 英国のMike Terry氏によると、1943年第二次大戦中のアルジェリアで放送を開始してから70年を迎えるBritish Forces Broadcasting Service(BFBS)の歩みについてPatrik Eade氏が解説を行ったpodcastが公開されている。危険地域、紛争地域で活動する軍隊のモラルを保つためにBFBSが必要であることが力説されている。https://radio.bfbs.com/radioplayer/podcast/f8f3954f-fceb-5ccf-a951-cd6da663b6e1。(WORIG 9/13)

◎エチオピア向Voice of Fanoスケジュール変更か?
 英国のTony Roger氏によると、エチオピア向Voice of FanoはWRMIの仲介で木・日曜 02:00-03:15 15215kHz Isooudun 500kWで、2024年5月1日以降実際に放送されている。最近のHFCC改訂版では2024年9月22日以降火・金曜の同時刻・同周波数になると記述されている。(WWDXC TP 1592) エチオピア人Hailu Amare Kesto氏の経営するメディア集団の局でURLはhttps://voiceoffano.com/。

◎Voice of Indonesiaが受信画面のビデオを要求
 フィンランドのMauno Ritola氏によると、Voice of Indonesiaは3325kHzの同放送の受信画面を30-60秒位に納めたビデオによる受信報告をも求めている。受信場所、受信機、アンテナ、受信時刻の情報とともに、WhatsApp +62 821-2381-2130に送付する。(WWDXC TP 1591)

◎北朝鮮からのDRM波
 北朝鮮からのDRM波が6140、3205kHzで2022年頃より長期間発信されているが、波形だけが確認でき、音声・画像・メッセージはデコードできない。ニュージーランドのChris Mackerell氏によれば、DRMモードでの送信だけが命じられている可能性が高い。別の可能性としては暗号化された特殊なメッセージを送信している可能性もある。ドイツ海軍が同様のDRMを使用した暗号通信の試験を行ったことがあるからだ。勿論その時にはIDは表示されていた。カナダのTony Pavick氏によれば、2024年4月23日の21:20にはID「조선중앙방송」(朝鮮中央放送)が表示された。(WWDXC TP 1591)

夜間3205kHzのDRM波形 復調できず「Data Unknown Service」と表示される


◎Uncle Bill's Melting PotがChannel 292より特別放送
 米国のUncle Bill's Melting PotのBill Tilford氏によると、同局は来る2024年9月22日、ドイツChannel 292のRohrbach,送信所より、ブラジルのSanta Caratia州とRio Grande de Sul州の音楽特集を特別に放送する。スケジュールは次の通り。
 02:00-03:00 9670kHz 南アジア・欧州東部向
 04:00-05:00 3955 6070kHz 欧州向
 08:00-09:00 9670kHz 南米向
(WORIG 9/17)

◎短波とインターネット
 米国のJohn A. Figliozzi氏は短波とインターネットについて次のような見解を述べた。ベテランBCLの中には短波がもはや主要国際メディアの座から転げ落ちたと失望している人もいる。現実は短波局といえどもインターネットという「海」にどっぷりと浸かっている状態で、存続している局はうまく泳いでいるだけにすぎない。主要な興味がDX受信の場合はそれと組み合わせたり、業務局、VOLMET局、中波局、リモートSDR受信など別の側面を新しい対象としてこれを克服しようとしている。ベテランBCLには国内で提供されないユニークな情報を短波にのみ求めることができると信じている人もいる。たしかに初期の頃のインターネットではこのような情報にアクセスするのは難しかったが、今や簡単に見つけられるようになり特に短波と組み合わせると効率的である事は否定できなくなっている。このような情報にアクセスすることが目的ならば手段としてもはや短波は第一義的ではなくなっている。
我々は「Worldwide Listening Guide」計画を通じて、短波とインターネットの融合を試みてきた。Radio NetherlandsやDeutsche Welleが消えたと言って嘆く人もいるが、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アイルランド、米国等の公共ラジオ部門では同様の品質の番組が行われているし、Deutsche Welleでもインターネット放送では同じような番組が今も継続されている。米国ではWRMI、WBCQ、WWCRがもはや独自の短波送信施設を待たないレガシー短波局の放送を中継している。すばらしい過去は尊重すべきだが、新たにやってきた未来のものに抵抗するよりは、受け入れて適応してしまう方が良い。両方から良いものを取り入れることができるからである。(WORIG 9/17) BCL情報もSDR受信機もインターネットに大きく依存している現実があります。

◎海上保安庁が海上交通センター放送を廃止に
 海上保安庁は全国の海上交通センターで中短波帯で実施している船舶通航情報の放送を以下のように廃止すると発表した。
  2024年10月1日 以下の情報の停止:船舶交通の制限又は禁止の状況、海難の内容及び措置の状況、操業漁船の状況、霧が発生した場合の視程の状況 
 2025年7月1日 放送全体の廃止
 またインターネットで提供している情報についても、2024年10月1日操業漁船の状況(但し大阪、備讃瀬戸は継続)、霧が発生した場合の視程の状況(但し名古屋港は継続)は廃止する。廃止される各項目はVHF無線電話・AISメッセージでは継続して提供される。
 原情報は東京湾海上交通センター(2024/9/18発表)がhttps://www6.kaiho.mlit.go.jp/tokyowan/oshirase/0001_20240918100954222_JA_401_OTH.html、大阪湾海上交通センター(2024/9/10発表)がhttps://www6.kaiho.mlit.go.jp/osakawan/oshirase/0004_20240910131128052_JA_401_OTH.htmlなど。
 各局の放送はJRC製TWM-5A送信機(出力10W)によりH3E方式(搬送波添加下側波帯方式)で次のように行われている。MARTIS(マーチス): Maritime Traffic Information System、HR(ハーバーレーダー): Harbour Rader。1665/1651kHzは日本語、2019kHzは英語。 
 東京MARTIS 〒231-8818 横浜市中区北仲通5-57 1665kHz 毎時00/30分 2019kHz 毎時15/45分
 名古屋HR 〒455-0848 名古屋市港区金城埠頭3-1 1665kHz 毎時00/30分 2019kHz 毎時15/45分
 伊勢湾MARTIS 〒441-3624 愛知県田原市伊良湖町古山2814-38  1665kHz 毎時15/45分 2019kHz 毎時00/30分
 大阪MARTIS 〒650-0047 神戸市中央区港島南町7-2−22 1651kHz 毎時15/45分 2019kHz 毎時00/30分
 来島MARTIS   〒794-0003 愛媛県今治市湊町2-5−100 1651kHz 毎時15/45分 2019kHz 毎時00/30分
 備讃MARTIS   〒769-0200 香川県綾歌郡宇多津町青の山3810−2 1651kHz 毎時00/30分 2019kHz 毎時15/45分
 関門MARTIS 〒800-0064 北九州市門司区松原2-10−11 1651kHz 毎時00/30分 2019kHz 毎時15/45分
(赤林)AISとは船舶自動識別システム(Automatic Identification System)のことで、呼出符号、船名、位置、針路、速力、目的地などの船舶情報をVHF帯電波で自動的に送受信し、船舶局相互間、船舶局と陸上局間で情報の交換を行うシステムのこと。

◎イラクBaghdadにもリモートKiwiSDR設置
 英国のTony Rogers氏によると、イラクの首都BaghdadにリモートKiwiSDRが設置された。http://21988.proxy.kiwisdr.com:8073/。Iraqi Radioの792kHzを受信するにはもってこいである。(WORIG 9/19)

◎米国で自動車へのAMラジオ設置を義務づける法案を検討
 英国のMike Terry氏が、米国National Association of Farm Broadcasting (NAFB)の報道として伝えたところでは、米国で製造された車にAMラジオの設置を義務づける法案が米国下院で可決される見通しが出てきた。下院エネルギー・商業委員会では45対2の大差で法案として提案することが決まった。重要視されたのは自然災害時のAMラジオの役割で、連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency)は数百万ドルを投じて整備中の緊急警報システム用基幹情報機器として自動車用AMラジオを位置づけている。NAFBでは事前災害時の役割に加えアメリカの農村部の農家に農業ニュースや情報を届ける上でも重要なツールとなるとしている。一部の自動車メーカーはAMラジオだけでなくFMラジオも自動車から撤去し、災害情報等を有料でデジタル情報として提供することを企てているが、NAFBはこれに反対している。原記事はhttps://www.agrimarketing.com/s/151153。(WORIG 9/19) テスラ車のEVカーはラジオを完全に排除して提供されています。

◎米国小AM局の嘆きとBCL
 米国のScott Fybush氏は、米国内の小さなAM放送局のエンジニアやコンサルタントを務めている立場から現状を以下のように語った。
 米国のAM局のおそらく9割は専任のエンジニアなしで運営されている。またおそらく75-80%の局は利益を出していない。こんな状況の中で、米国国内のみならず、カナダ、メキシコに施設を有する局も含めて閉局が増加している。混信防止のための昼間電力と夜間電力の規制なども意味の無いものになりつつある。またFM中継局を補完するだけの「ゾンビ」のような存在のAM局も数千存在し、設備の補修が十分でないため品質が低下した電波をまき散らすこともある。FCCは現実に混信の苦情がない限り取締まりは行わない。誰もこの状況を良いとは思わないが、閉局や電力低減だけでは問題は解決する筈はなく、放送局自体の構造改善が必要である。BCLという趣味の立場からいうと、我々は自分たちではコントロールできないビジネスに趣味の根幹を依存しているが、放送局から見ると本当のターゲットではないというジレンマを感じる。単なるメッセンジャーなのだろうか?(WORIG 9/18)
◎VOA South Sudanの現状
 ドイツのHansjoerg Biener博士によると、USAGMの大幅な放送時間カットの後、南スーダン向VOA South Sudanは9月第2週現在以下のように放送している。放送は英語。
 火-土曜 01:30-02:00 11910(Botswana 100kW 10°) 13590(Dhabbaya 250kW 255°) 15660(Lampertheim 100kW 132°)
 URLはhttps://www.voaafrica.com/southsudan。
(WWDXC TP 1592)

◎VOA Studio7の今
 英国のTony Rogers氏によると、ジンバブエ向の「VOA Studio 7」の放送は7月の大幅改編の後火ー土曜の02:00-04:00(02:00 ショナ語、02:30 Ndebele語、03:00 Live Talkに11735、4930、6045kHzで出ている。この内4930、6045kHzはBotswana送信所からのものであるが、11735kHzはこれらと数秒遅れており、暫定の新周波数でMadagascar送信所から出ている。
 なおB24では次のスケジュールがHFCCに予約されている。すべて火-土曜のみ。
 02:00-04:00 4930 Botswana 15460 Udon Thani
 02:00-03:00 13860 Udon Thani
 03:00-03:30 13860 Botswana
 03:30-04:00 13860 Santa Maria di Galeria
(WWDXC TP 1592) Udon Thani送信所をアフリカ向に使用、他の放送局の送信所の借用などの調整をしているようです。



◎Radio BandeirantesはFM化
 ブラジルのRudolf Grimm氏によると、同国Sao PauloのRadio Bandeiratesは最後まで残っていた中波の840kHzの放送を2024年8月5日で終了し、FMの86.3MHzに完全移行した。終了に当たり何のアナウンスメントもなかった。(BDXC "Communication" September 2024 via WWDXC TP 1592) かつては短波放送もあり、日本でも頻繁に受信されました。"bandeirantes”とはブラジルカーボーイ、荒くれ男というような意味。


 
◎SM Radio Dessau 10月の特別高出力短波放送
 ドイツのThomas Becker氏によると、同国SM Radio Dessauは2024年10月に特別高出力短波放送を実施する。
 10月13日(日) 18:00-19:00 6070 (Moosbrunn 100kW)
 10月20日(日) 17:00-18:00 6095 (Nauen 100kW)
 受信報告はMax Berger, Saalestrasse 44, 06846 Dessau, GermanyまたはE-mailで<maxberger @ smradio-dessau.de>へ。
(WWDXC TP 1592)

◎VOAは玉音放送より前に終戦を放送
 米国のAndrew Ross氏が朝鮮中央日報(9/19)の報道として伝えたところによると、1945年8月15日の正午に玉音放送で終戦が伝えられた4時間前にVOA朝鮮語放送がこの事実を伝えていたことが「国民の力」党の裵賢鎮(Bae Hyun-jin)議員によって明らかにされた。米国記録管理庁(U.S. National Archives and Records Administration)の公式サイトに掲載された該当の放送ファイルによって判明したもの。英語、中国語、韓国語による放送が残っており、玉音放送の4時間前に放送された韓国語放送では後に国会副議長となった黄聖秀(Hwang sung-soo)氏が日本の無条件降伏と米国大統領の停戦命令を伝えるとともに愛国歌(現在の韓国の国歌)が流れた。韓国歴史博物館では貴重な資料として韓国への資料移管を進めるとしている。原記事はhttps://koreajoongangdaily.joins.com/news/2024-09-19/national/diplomacy/Voice-of-America-radio-broadcast-first-to-announce-Japans-1945-surrender-historians-find/2137108。(WORIG 9/23) 黄聖秀氏(1917-1997)は1940年に渡米し戦時中はそのまま米国に留まっていました。戦後韓国に帰国し政界で活躍した後1971年に再び渡米し米国で没しました。

◎チリ海賊局RCWの現状
 チリにはLa Voz de Chileなどの短波局はなくなってしまったが、海賊局Radio Compañía Worldwide(RCW)の海外放送は元気である。RCWは自称「RCW RADIO COMPAÑIA MUNDIAL」であり、まさに「世界放送」を行っているのである。海賊局ながらロゴも旧RNW(Radio Nederland Wereldomroep)に似たものを使用している。当初はチリの文化やニュース、音楽が番組の中心であったが、最近は他のチリ局の放送をそのまま中継していることが多くなり、より海賊局らしくなった。送信所は2カ所あり、Rodriguez Erdoiza送信所は150Wの送信機を45Wに減力し、AMモードでG5RV型逆Vアンテナから出ている。このアンテナは
90、75、49、41mbの送信が可能である。過去には使われていなかったが、最近使用が開始された。General Carrera送信所には1kW送信機が設置されており、41、43、49mbでの送信が可能で、現在は主送信所として使用されている。RCWは海賊局ながらチリを代表する短波局としての誇りを持っており、過小評価されている短波放送を今後も維持してゆく方針である。過去90、85、41mbで放送してきたが、現在は05:00-11:00頃に6925、7610kHzで放送している。放送は不定期に行われているが、スケジュールはその都度facebookに発表される。受信報告にはeQSLが発行されている。(Radio Magazine via WORIG 9/25) 7610kHzは7535kHzに変わっているようです。

RCWのロゴ(左)と旧RNWのロゴ(右)配色が若干異なるが良く似ている
  

◎上海広播電視台が改革行動計画を発表
 上海広播電視台は2024年9月25日に改革発展大会を開催し、改革行動計画を発表した。その中では「4つのTVチャンネルと4つのラジオ周波数」を停止してスリム化する方針が打ち出されているが、具体的なチャンネルや周波数、実施時期は明確にされていない。なおTVの東方衛視は新たに4K放送のTVチャンネル新設を発表しており、この計画との整合性が不明である。2019年以降上海広播電視台は、ラジオ放送では東方都市広播と京広新聞資訊(情報のこと)広播を2020年10月28日「長三角(長江デルタ)之声」に統合している。またTVチャンネルは実に10チャンネルの統廃合を行っている。(Cahcn的自留地 9/27) 現在TVチャンネル、ラジオ放送ともに12チャンネルずつあります。



◎Radio RealMixが旧周波数6185kHzに戻る
 フィンランドのKari Kallio氏によると、同国のRadio RealMixは周波数を6195kHzから旧周波数の6185kHzに戻して放送している。ロシアとの国境方面から何者かが強力な妨害波を6199kHzで発信してぶつけてきているためである。(WORIG 9/28)

◎Trans World RadioがGrigoriopol送信所からの中継を停止
 Trans World RadioはモルドバのTransnistrian Radio and Television Center(Grigoriopol送信所)から中継している621kHzと1548kHzの放送を2024年10月1日以降停止する。(RUS-DX #1309 via WORIG 9/29) 
 ウクライナのAlexander Miatlikov氏によれば、両周波数は以下のように放送されていた。
  621kHz 150kW 02:30-03:30 ロシア語(木・日03:20-03:30 ベラルシ語)
  1548kHz 500kW 03:30-05:30 東欧各国語(ブルガリア語、ロマ語、ルーマニア語、ハンガリー語、ボスニア語、モンテネグリ語、セルビア語)
(WWDXC TP 1593) 同送信所はモルドバにありますが、Transnistria地域は事実上ロシア占領下にあり、西側の放送の中継はなくなりつつあります。

◎HCJB日本語放送B24スケジュール
 Reach Beyond Australiaから行われているHCJB日本語放送のB24スケジュールは以下の通りとなった。
 土・日 07:30-08:00 17650kHz 20:00-20:30 11905kHz
(京都府 永野正和氏)「いのちのみことば」も月~金の07:30-08:00 17650kHzで引き続き放送されます。

◎WRTH NewsletterでJSWCを紹介
 World Radio TV Handbookが登録者向に配布しているWRTH Newsletterの2024年9月30日版で「WRTH Club spotlight」として日本短波クラブ(JSWC)が以下のように紹介された。
 JSWCは世界で最も古いDXクラブの一つで、1952年に仙台で2人の大学生によって創設された。クラブでは当初から英語の会誌を発行していて極東地区のDX情報源として重宝されてきた。第1号の会誌にはWRTHの創設者O Lund-Johannsen氏が祝辞を寄せている。数々の活動を行ってきたが2006~2009年に実施された「Radio St.Helenaプロジェクト」では送信用の100Wトランシーバーと2000ユーロの資金を寄付したことが特筆される。
 72年の歴史の中で累積会員数は9,000名を超えている、現在の実際の会員数は300名である。年会費は4,000円で、外国への会誌郵送を希望する場合は追加料金が必要である。最近の会誌では国内局及び海外局のQSL情報が充実している。日本の場合コミュニティFM局がほぼQSLカードを発行しているため、それらの情報も充実している。放送局の所在地に実際に出かけて受信を行う人も多い。毎年ハムフェアに出展し、総会を開催しているが、新型コロナの時期の2020年より数年間はオンラインで総会を開催した。今年2024年は年初のHCJB日本語放送に会員が出演し2023年のBCL界の出来事を振り返った。また8月に開催されたハムフェア2024には例年通り出展を行った。AWR、WRMI、IRRSで放送される英語DX番組「Wavescan」中で5分間の「Japan DX Report」(英語)を制作して毎回オンエアしている。クラブでは毎年独自QSLカードも制作し、上記の制作番組や、各局から放送される会員出演番組に対する受信報告に対して発行している。eQSLは<JSWCHQ @ gmail>、印刷されたQSLはJSWC QSL, P.O.Box 44, Kamakura 249-8691, Japanで受付けている。外国から印刷されたQSLを請求する際にはIRC1枚または2ドルの発送手数料が必要である(註:日本からの場合は110円分の切手を貼ったSASEと発行手数料84円分の切手が必要)。(赤林)



◎Arctic 252の開局は11月初め
 フィンランドの新長波局Arctic Radio 252(在Inari、1kW)は2024年10月末に試験電波を発射し、11月に本放送を実施する予定である。既報の通り周波数252kHzは1993年に閉局したFinnish RadioのLahti局が使用していた周波数で、1975年のGeneva会議でフィンランドに割り当てられた唯一の長波周波数である。Finnish Traficomは2024年9月にArctic Radioに対して正式に252kHzでの放送免許を交付した。同局はInari在住の英国人Matthew King氏が運営しており、チェコから移送された送信機を現在自宅のガレージで調整中とのことである。アンテナは600mのロングワイヤーとなる予定だが、試験送信ではもっと小型のMarconi T型ないしはループアンテナを使用することにしている。本放送実施については広く安定した送信所を探しているところである。詳しい進行状況はhttps://arcticradio.net/ で発表する。(Arctic Radio Club mv-eko 9/30 via WORIG 9/30)

◎WRNロシア語放送スケジュール変更
 ウクライナのAlex Miatlikov氏によれば、World Radio Network(WRN)のロシア語放送のスケジュールは現在以下のように変更された。
 00:00-02:00(日曜のみ03:00) 13650kHz Dhabbaya
(WWDXC TP 1593)


出典の略称

   WORIG : World of Radio io group
   WWDXC TP:World Wide DX Club Topnews  
   HCDX: Hard-Core-DX  
   JSWC: Japan Shortwave Club  

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