月刊短波2025年6月号(第2版)
編集 赤林隆仁  時間  JST

◎Radio Northern Star 5895kHzで送信機試験継続中 2版新規
 ノ
ルウェーNorthern Star MediaのSvenn Martinsen氏によると、同国Radio Northern Starは春よりLLE-3送信機(5895kHz、Askøy Kringkaster送信所、400W)の試験を継続中である。以前より変調が改善されていることが期待される。欧州以外で受信された場合mp3の録音クリップをつけて<1000 @ northernstar.no>へ受信報告を送ってほしい。(New Zealand DX Times June 2025 via WORIG 6/1)

◎SDRファイル解析ソフト「WavViewDX」 2版新規
 
ドイツReinhard Weiß氏開発の、SDR記録ファイル解析ソフト「WavViewDX」がリリースされている。このアプリはSDRで記録したファイルをインポートし、縦軸を時刻、横軸を周波数として5kHz(短波)、9、10kHz(中波)または50、100kHz(FM)のチャネル毎に受信信号をバーグラフ上にマッピング表示する。マッピングされた画面にカーソルを合わしてクリックすることでそのチャンネルでその時刻に記録された音声が再生される。中波帯ではData Base機能によりMWLISTのWebページ(https://www.mwlist.org/ul_login.php)と連携し受信局の特定・推定が容易になる。更にLogbookや受信音声の切り出しなど豊富な機能があり、使い勝手の良好でDX受信をサポートする。Windows版、Linux版、macOS版がリリースされているフリーウェアで、ダウンロードはhttps://rweiss.de/dxer/tools.htmlより行うことができる。周波数空間を保存できるELAD FDM-SW2、HDSDR、Perseus、Prseus22、WinRADIO、Winradなど使用されている多くの受信ソフトに対応している。(埼玉県 シエスタ氏)このように周波数空間を後から解析するソフトを「Playback Software」とも言います。

日本国内で夕方から夜間にかけて中波帯を記録しインポートしたメイン画面 9kHz間隔で受信信号が表示されており、時間経過につれ良好な受信状況を示すグリーン表示になっている
(横軸:周波数、縦軸:時間ー下に行くほど経過)



◎TV-FM受信ガイド2025年PDF版配布
 
VHF-DX専門のサークルJapan V・UHF DXers Circle(JVUDXC)では、毎年、前年迄の受信結果をまとめた「TV-FM 受信ガイド」シリーズを発行している。冊子版の発行は2011年で休止し、2012年以降はPDF版のみ発行となっており、一般へのVHF-DXの普及を目的に、会員以外にも無償で配布している。従来一般向け配布は受信編のみで、資料編は会員特典としていたが、2022年以降はJVUDXC発足40周年記念事業として、会員限定であった資料編も会員外に無償配布としている。2025年版の入手希望者は「VHF-DX blog 〜海外FMを聞く〜」《https://fmdx.blog.fc2.com》・4月27日記事に案内されているので参照のこと。
 尚、JVUDXCでは、随時、会員を募集している。月刊会報「OVER-HORIZON」(印刷版)では、最新の受信情報、開局情報、各国TV-FM状況、会員近況などを提供している。TV-FM受信に興味がある方で、年会費(4000円、高校生以下2000円)納入が可能な方なら、どなたでも入会可能。
入会を考えている方は、代表の福永光洋氏(mitu9@muc.biglobe.ne.jp)まで連絡のこと。
(JVUDXC代表 福永光洋氏)

◎Gandar VOLMETが廃止に
 
英国のMike Cooper氏によると、カナダのGandar VOLMETは2025年6月12日の18:00で短波による航空気象情報の提供業務を中止する。カナダ民間航空連盟は廃止により航空機の運航に支障が出ることはないと表明した。原記事はhttps://www.navcanada.ca/en/flight-planning/service-notices/2025-06-12-gander.aspxを参照のこと。(WORIG 5/5) Gandarはカナダ北東部Newfoundland and Labrador州にあります。短波のVOLMET放送は毎時20-29分と50-59分に3485/6604/10051/13270kHz、コールサインVFGで行われています。受信報告の宛先は<service @ navcanada.ca> 。

◎Radio Ondaがルクセンブルグより送信試験開始 ~当初はスイスRadio Gloriaを中継!
 
英国のDave Kenny氏がRadio Magazineの報道として伝えたことろによると、2025年5月14日早朝よりベルギーのRadio OndaはルクセンブルグのJunglinster送信所より6140kHzで試験送信を開始した模様である。ただしDave Kenny氏自身は実際に受信できていない。このことは歴史的なJunglinster送信所に短波が戻ってきた点で意義がある。Radio OndaはベルギーでのDAB+の放送に加えて欧州全体を安定的にカバーできるようになる。ベルギーには短波放送の制度がなく短波放送の申請ができなかったためオランダで申請し現在までも6140kHzで放送してきたが、色々と障害があった模様で、たの適切な送信所を探していた。これに対してルクセンブルグではすぐに免許申請が認められた。また同送信所のアマチュア無線家の職員が設備の設置に全面的に協力したことも大きい。なお番組制作は従来通り首都ブリュッセルで行われる。(WORIG 5/13)
 英国のDasvid Kernick氏によると、2025年5月20日現在はスイスの宗教局Radio Gloriaを中継している。米国のRon Howard氏がリモートSDRで確認したところによると、この放送は毎日15:00-04:00に行われており、送信所はJunglinsterであると同局のURL(https://radiogloria.ch/radio-gloria-auf-der-kurzwellen-frequenz-6140-khz-am/)に記述されている。内容は宗教的な音楽や歌(「ハレルヤ」など)である。ただし同局にはもう一つのURL https://radiogloria.ch/?qtajax=trueがあり、こちらで流されている内容は6140kHzとは別の内容である。(WORIG 5/20)
 スペインのManuel Mendez氏によると、2025年5月27日の04:00頃にRadio Ondaが6140kHzでLuxembourgのJunglinster送信所より自局のフランス語番組を出しているのを確認した。それ以前はスイスのRadio Gloriaの番組を中継放送していた。(WORIG 5/26)

◎EUがRFE/RL存続のため緊急資金提供
 英国のMike Cooper氏がAP電の情報として伝えたところによると、2025年5月20日、欧州連合(EU)は、トランプ大統領のRFE/RLへの資金提供停止に対して、リベラルなメディアへの弾圧と非難し、550万ユーロ(8.8億円)の「短期緊急資金」を支出して支援することを決定した。この金額では世界中(RFE/RLの放送対象国は23カ国、放送言語は27カ国語)での活動を穴埋めできないが、重要な活動(国民が外からの情報から遮断されている地域への情報提供)とその機能は支援できるとしている。EUでは加盟27カ国が更に長期的な支援することができる資金提供を行うことを望んでいるとしている。またこの支援は米国が対外援助を次々に停止する中での「戦略的領域」(strategic area)であると評価している。原記事はhttps://apnews.com/article/europe-radio-free-trump-funds-9e6283df860222e825c81ff0c1c0ef9bを参照のこと。(WORIG 5/21)

◎RFE/RLに4月分の資金のみをやっと支払い ~5月分は拒否
 
英国のMike Cooper氏がAFP通信の報道として伝えたところによると、RFE/RLに対してUSAGMより4月分の運営資金1,200万ドルが支出された。これは議会によって承認された7,700万ドルのごく一部に過ぎない。RFE/RLは2025年5月13日「これは歓迎すべき一歩であるが、RFE/RLは議会が今年度予算に計上したすべての資金を確保するため、引き続き訴訟を続ける。」という声明を発表した。4月分の資金提供が6週間も遅延したため「重要な番組とスタッフの削減を余儀なくされ、閉鎖的な社会の視聴者から世界のニュースや情報を奪うことになった。」ともしている。(WORIG 5/14)
   英国のMike Cooper氏がRFE/RLの報道として伝えたところによれば、2025年5月30日、米国連邦地裁はUSCGMに対しRFE/RLへ2025年5月分の資金を直ちに支払うように命じた。USAGM側はEUが資金供給を決めた事を理由にこの命令を拒否した。RFE/RLによればEUからの資金提供はまだ開始されておらず、資金提供がなければ、6月末までにすべての機能が停止し、回復不可能な状況に陥るとしている。原記事はhttps://www.rferl.org/a/rfe-rl-order-lamberth-court-funding-/33429896.html。(WORIG 5/30)

PragueのRFE/RL本部 米国・チェコ・RFE/RLの旗が立っているが、米国が今や最大の「敵」となった!(同局のHPより)


◎VOA全従業員に対して解雇通知
 
米国のGlenn Hauser氏はPolitocの報道として伝えたところによると、2025年5月末までにVOAの全従業員に対して解雇通知が出されることになった。既に600人の契約社員は解雇されているが、残り800人の正社員も全員解雇となる3月15日の閉鎖以来従業員は連邦裁判所に憲法違反として提訴し勝訴の判決を得たが、トランプ政権は裁判所に国の政策に対する命令権はないと主張、結局連邦裁判所はこの件に介入しないという決定を行った。一部の従業員(30名)が復帰していたが、一時的なものであった。VOAホワイトハウス支局長Patsy Widakuswara氏は「仕事をしたいというだけで殴られるというトラウマを克服するには時間がかかる。今後何らかの形で組織が存続するとしても時間がかかるだろう。『怖れ』や『えこひいき』を排した報道を今後取り戻すのはイバラの道だ」と語った。原記事はhttps://www.politico.com/news/2025/05/28/voice-of-america-rif-terminations-trump-00372238を参照のこと。(WORIG 5/29) 2026会計年度にUSAGMの予算が盛り込まれていないことから閉局、ネットワークの廃止は確実と考えられます。

◎インドのリスナーがAkashvaniの北東サービス短波放送復活嘆願書

 インドのリスナーはAkashvani(旧All India Radio)の北東サービスの短波放送復活を求める嘆願書を提出する予定である。この地域ではShillongから4970kHz(夜)と7315kHz(昼)で短波放送が行われていたが、2019年に廃止されFMの100.1MHzのみとなった。嘆願書ではFMでは全域カバーできず、この地域は携帯電話の電波も届かないところが多くネットでの聴取もできないとしている。嘆願書の内容はhttp://www.change.org/ReviveNESAIROnSWを参照のこと。(ADXR May 2025 via WWDXC TP 1616)

◎Vatican Radio一部のMadagascar中継を復活
 ウクライナのAlexander Miatlikov氏によると、Vatican Radioは一部の放送のMadagascar中継を2025年5月1日より復活した。スケジュールは以下の通り。
 月曜 01:00-01:30 13830 250kW 317°アフリカ東部向スワヒリ語
 毎日 01:30-02:00 13830 250kW 258°アフリカ南部向英語
(WORIG 5/2)

◎Radio Pilipinas公式に短波放送停止を発表
  ブルガリアのRumen Pankov氏によると、同氏はRadio Pilipinasより以前行われていた短波放送のeQSLを受け取ったが、同時に「米国大統領Donald Trumpが全世界でのUSAGM/VOAの活動停止を命じたため、同局は短波放送の送信ができなくなった。番組制作は続いているのでFacebookやYouTubeで”Radyo Pilipinas World Service”を検索するか、ストリーミング放送を利用して欲しい」とのことであった。(BDXC "Communication" May 2025 via WORIG 5/3) ストリーミング放送はhttps://radyoph.com/station/radyo-pilipinas-world-service/で聞くことができます。

◎スイスではアナログ放送を聞く人はごく少数に
 英国のMike Terry氏がスイスのOFCOM(Federal Office of Communications:連邦通信省)の発表として伝えたところでは、同国でのデジタルラジオ聴取率はすべての地域・年齢層・聴取場所で増加し、2023年現在で自動車ラジオユーザーの70%が利用している。国民全体では81%がデジタルラジオ放送を利用しており、41%はDAB+、40%はインターネットで聞いている。55歳以上ではDAB+の聴取率が半数以上である。従来のアナログFM放送のみを聞く人は8%に過ぎず、ラジオを聞く習慣のない人は11%である。2023年前半でのDAB+用ラジオは670万台とスイス全体のラジオ受信機の54%に達している。原記事はhttps://www.bakom.admin.ch/bakom/en/homepage/electronic-media/technology/digital-transmission/switzerland-listens-to-digital-radio-only-8-out-of-100-people-listen-exclusively-to-fm-radio.htmlを参照のこと。(WORIG 5/4)

◎モンゴルにロシアのラジオ局
 ロシアの音楽ラジオ局「Russkoe Radio」がモンゴルの首都Ulaanbaatarで2025年5月1日より90.5MHzで放送を開始した。ロシア語の歌を主として放送するが、アナウンスはモンゴル語で行う。ロシアは同様の局ををベラルシ、カザフスタン、アルメニア、キプロス、モルドバのドニエストル川東岸地域、ジョージアのAbkhazia地域等に展開中で、既に2,300万人のリスナーがいるとしている。ある。ロシア音楽や文化を外国にPRすることが目的である。(RUS-DX #1340 via WORIG 5/4) モンゴルでは「南の国」より「北の国」の方が好まれているようです。

◎Mix Radio International
 米国のEric Fetters-Walp氏によると、同局の海賊局Mix Radio Internationalは6.9MHz帯の「海賊局バンド」外で放送している。周波数は12075kHzUSB、12010kHzUSB、9755kHzUSBなどである。(WORIG 5/5) 連絡先は<Mix.Radio.International @ protonmail.com>。



◎Radio 4TRPが短波ステレオ放送を計画
 オーストラリアRadio 4TRPのChristopher O'Reill社長によれば、同局はC-QUAM形式のAMステレオ放送を行うことにしている。現在120mbのみだが、今後60mbの周波数免許も取得してステレオ放送を実施する予定である。(ADXN May 2025 via WWDXC TP 1617)

◎RFAは5月末で資金枯渇
 Radio Free Asiaの報道によれば、同局は2025年5月2日、現在残っているスタッフと一時帰休者のほぼ全員を5月9日付で解雇することを発表した。RFAの各言語サービスの番組・HPの制作も5月末で停止せざるを得なくなった。連邦裁判所の判決にも拘わらずUSAGMが上訴し資金支払いが行われないままのためである。RFA局長のBay Fang氏は「もはやUSAGMに頼ることはできなくなった。アジアの対象地域各国での不正や言論弾圧と戦って真実を伝えてきたRFAのジャーナリストの息の根を止めることで米国に何の利益があるというのだろう。」と語った。(ADXN May 2025 via WWDXC TP 1617)

◎欧州の小電力民間短波放送局
 2025年5月現在の欧州における正式免許が与えられ毎日放送している小電力民間放送局は以下の通りである。なおこの他に週末等決めらた日のみ、あるいは不定期に放送する局も存在する。
 24H デンマーク World Music Radio 5930, 15700 (14:00-07:00), 25800kHz
    24H ドイツ HCJB Weenermoor 3995, 5920, 7365kHz(ドイツ語 3995/5920 kHz ; ロシア語 7365kHz)
 24H ドイツ Radio Channel 292 3955, 6070, 9670kHz
    24H オランダ Radio Europe 6130kHz
    24H オランダ Radio Veronica 5955kHz
    24H ノルウェー'Radio Northern Star 5895kHz
    16:00-01:00 ドイツ Europa 24 6150kHz
    16:00-02:00 スペイン Radio MiAmigo Int'l 6085kHz (via Shortwaveservice Kall Eifel, Germany)
 19:00-24:00 ドイツ Shortwaveservice-Kall Eifel 6005kHz (Radio Slovakia)
(WWDXC TP 1617)

◎SM Radio Dessauの6月放送予定
 ドイツのHansjoerg Biener博士らによると、SM Radio Dessauの2025年6月の放送スケジュールは以下の通りである。
 6/8 20:00-21:00 6070(Rohrbach 10kW) 6095(Nauen 100kW)
 同局のURLはhttps://www.smradio-dessau.de、受信報告の宛先はE-mail<maxberger @ smradio-dessau.de>、S-mailではMax Berger, Saalestrasse 44, 06846 Dessau, Germany。印刷されたQSLカードの郵送を希望する場合は郵送料€1.25が必要である。(WWDXC TP 1617)

◎Lao National RadioでVOAの中継継続を確認
 米国のRon Howard氏によると、567kHzのLao National Radioは5月8日現在もなおVOAの英語番組「Teaching Tips」を12:47頃放送しているのが確認できた。(WWDXC TP 1617)

英国の中波・長波事情
 英国のDave Kenny氏によれば、同国で198kHzの長波を利用しているRadio Teleswitch Serviceが2025年6月30日にサービスを終了することになっている。同時にこの波に番組を載せているBBC Radio 4も長波サービスを停止する。ただし5月現在Radio 4で198kHzの停止のアナウンスは行われていない。
 中波では2025年4月8日でTalkSportの7中波局(1053kHz Southwick; Rusthall; Stockton on Tees、1071kHz Mansfield、1089kHz Lisnagarvey、
1107kHz Duxhurst; Lydd)が停波し、残るのは11局(1053kHz Droitwich; Postwick、1071kHz Wrekenton、1089kHz Brookmans Park; Westerglen; Moorside Edge; Washford; Dartford T.、1107kHz Boston; Fareham; Wallasey)となった。(BDXC "Communication" May 2025 via WWDXC TP 1617)

◎EDXC 2025いよいよ開催
 European DX Councilの2025年ミーティングが、Sveriges DX Forbund (SDXF)の年次総会と一緒にスウェーデンのUllaredにて、いよいよ2025年6月13-15日に開催される。今回は遠足として世界遺産超長波局Grimeton Radioの送信所見学も行われる。参加申し込みは<secretary @ sdxf.se>のMichael Andersson氏に。詳細はEDXCのHP https://edxcnews.wordpress.comを参照のこと。(WWDXC TP 1617)

◎BBCの198kHz長波放送停止に警鐘
 英国のMike Terry氏が、Radio Magazine Facebookからの情報として伝えたところによると、研究者のTobias Thornes博士はBBCの198kHz長波放送の廃止に対して次のような警告を発している。BBCは長波放送はエネルギーの無駄としているが現在アナログ放送の電力消費量の4%しか占めていない。FM放送は同じエリアをカバーするのに数百の送信所を必要とするため実際には長波の6倍のエネルギーを消費している。長波受信機のエネルギー消費量はデジタルラジオやインターネット機器よりはるかに少ない。また国家の安全保障に関していえば、停電やネットクラッシュに直面した時でも単一の送信機から英国さらに欧州全体に情報を伝えることができ、フェークニュースやサイバーテロに対して抵抗力が発揮できる。「時代遅れのメディア」と批判する人もいるが、電波の届かない農村地域、海上の船乗りなどデジタルへのアクセスが限られている人々には重要な情報メディアである。特に航海に不可欠な海上予報は現在でも198kHzの放送に依存している。またDroitwich送信所は1934年開設でここからの送信を維持することは歴史的な意義もある。長波放送の保存を求める嘆願書にはすでに5000人近い署名が集まり、英国や欧州の聴取者から「ライフライン」「不可欠な緊急救援」と評されている。博士は、長波放送を廃止することは、何百万人もの人々から信頼できるラジオへのアクセスを奪う危険性があるだけでなく、英国における緊急放送の回復力を弱めることになると結論づけ、BBCと政府に対し、彼らの立場を再考するよう求めている。(WORIG 5/13)

◎英国政府BBC-WSに予算の大幅削減を要求
 英国のMike Cooper氏がGuardianの報道として伝えたところによると、英国政府はBBC World Serviceに対して今後数年間に渡って、現在必要とされている予算額よりも年間7,000万ポンドを削減するように要求した。これは同じ時期のインフレ率を下回る数字で、放送削減は必須である。これに対して、トランプがVOAを廃止しよとしている中で、このような事を行うことは英国の国際的な評判を落とし、プロパガンダに対するBBCの闘いを台無しにするという批判がある。BBC World Serviceの資金の大部分は英国政府のODA(開発援助資金)から支出されているが、政府は国防費の支出増大に対処するためODAを半分に削減する予定で、削減要求はその一環である。英国国会外務特別委員会のEmily Thornberry労働党委員長は、「新たな戦争形態であるフェークニュースの流布に対してBBB World Serviceは世界中で信用される真実を伝えるメディアとして有効に対処している。BBC World Serviceが撤退した地域には即座にロシアや中国のメディアが入ってきてプロパガンダを開始する。」としてこの政府要求を批判している。原記事はhttps://www.theguardian.com/media/2025/may/11/ministers-demand-bbc-world-service-plan-for-cuts-as-aid-budget-slashedを参照の事。(WORIG 5/12)

◎gbradioの6月放送予定
 フィンランドのKari Kallio氏がNewsletter Jaz AMからの情報として伝えたところによると、英国のgbradioは2025年6月には次のように放送する。送信所はChannel 292Rohrbach送信所10kW。番組名は「Jazz AM」。
    6/1 19:00-20:00 9670
    6/2 06:00-08:00 3955
 同局のURLはhttp://gbradio.uk。(WORIG 5/12) 受信報告は<admin @ gbradio.uk>へ。

◎IRCA Reprintsアップデート版
 米国International Radio Club of America(IRCA)のNick Hall-Patch氏によると、IRCAのHP上では過去に発行された中波DX記事を「IRCA Reprints」として公開しているが、今回その点数を1200点以上にアップデートする。現在作業は進捗中である。IRCAのHP上にインデックスが公開されるので注目して欲しい。https://www.ircaonline.org/editor_upload/File/reprints/irca-reprint-index.pdf またはttps://dxer.ca/images/stories/2025-DA/irca-reprint-index.pdf。(WWDXC TP 1617)

◎米国短波実験局が金融データの実用試験
 米国の10Band LLCは同社の実験局WI2XNXはFCCの許可を得て設備をアップグレードし金融市場データを配信するための評価試験を実施した。同実験局はイリノイ州Elburnとワシントン州Humptulipsより385kW ERPで送信試験を行うことを許可されているが、今回West Chicagoに第三の送信所WO2XPYが追加された。この送信所にはRCA製10kW送信機、3基の八木アンテナ、ログペリアンテナによって構成されている。FCCは実用試験について、参加者は50人以下、株式取引に利用しないことを条件として、商用サービスを許可するものではないとしている。FCCは以前より短波で特定の外国地点へのデータ伝送は認めていない、また送信局が識別符号を送ることを要求しているが、RCAはこれは不可能としている。業界はFCCの規制を撤廃する活動を行っている。(WORIG 5/13)

◎RFAがビルマ語・朝鮮語放送を中止
 英国のMike Cooper氏がDemocratic Voice of Burma(DVB)の報道として伝えたところによると、Radio Free Asia(RFA)は2025年5月9日にビルマ語放送を中止した。米国政府が資金供給を停止していることが原因である。対象地域であるミャンマーは世界で最も言論弾圧が厳しく、報道の自由は大きく制圧され、ジャーナリストの殺害・投獄が続いている国である。関係者はこのような国に対する放送を中止することは大きな損失になるとの批判している。原記事はhttps://english.dvb.no/radio-free-asia-burmese-language-service-closes-permanently-myanmar-media-struggle-with-us-funding-cuts/を参照のこと。(WORIG 5/14)
韓国の東北亜放送研究会によればRFAの朝鮮語放送も2025年5月9日に停止された。最後の放送でも終了に関する言及はなかった。(WORIG 5/14)

◎Broadcasting in Russian Handbookの2025年夏季版発行
 ロシアSt. Petersburg DX ClubのAlexander Beryozkin氏によると、同クラブは「Broadcasting in Russian Handbook」の第38版(2025年夏季版)を発行した。長波・中波・短波で行われているロシア語放送のA25スケジュールを掲載しているが、インターネット放送(18カ国26局を掲載)、放送の歴史にも言及している。A5版80ページ、pdf形式で提供され、価格はUS$2で、注文・支払方法等は<dxspb @ nrec.spb.ru>に問い合わせること。(RUS-DX #1342 via WORIG 5/17)



◎キューバの電力危機とRadio Martí
 キューバにおけるRadio Martíの受信状況について同国Camagueyに住むPavel Milanes Costa氏は次のように報告した。キューバでは電力の供給不足が続いており現地時間の17:00-23:00には需要を満たすことができない。AM放送局はこれに対応するために出力を落とすか、放送を停止してFM放送(ディーゼル発電機で電力が供給されているが出力は落としている)に切り替えている。1180kHzのRadio Martíに対抗するためにキューバ各州には同一周波数でRadio Rebeldeを出しているが、電力不足で放送が停止されている時間には代わりにRadio Martíが入ってきて驚く場合も少なくない状況である。(WORIG 5/17)

◎スウェーデンがRFE/RLの支持声明
 ドイツのHansjörg Biener博士によると、スウェーデン外務省は2025年5月8日、同国政府がRFE/RLに対して2025年に年間2000万クローネ(約2.8億円)の支援を行うと発表した。スウェーデンは自由で独立したメディアを支援してきた(この分野では世界第3位の支援国である)が、その一環である。同局が「最も必要とされる場所で事実に基づいた情報を提供」してきたことを評価し、その継続を希望するとしている。RFE/RLはロシア・ウクライナ・イラン・アフガニスタン・中央アジア・南コーカサス諸国を含む23カ国で毎週約5000万人の視聴者を持つ独立した非営利団体で、1700人以上の従業員(うち1000人が正社員、700人が契約社員)を有している。詳しくはhttps://government.se/press-releases/2025/05/sek-20-million-in-support-to-radio-free-europe/を参照のこと。(WORIG 5/17)

◎Radio Classic Sundayが6月2日に特別放送
 米国のGlenn Hauser氏によると、オランダのRadio Classic Sundayは2025年6月2日の03:00-05:00に5990kHz(1kW)で特別放送を実施する。受信報告にはeQSLが発行される。これは2024年9月1日に放送された創立4周年記念放送の再放送である。詳しくはhtps://radioclassicsunday.com/を参照のこと。(WORIG 5/20) 受信報告の宛先は<radioqsl @ hotmail.com>。



◎VOA editorialsが復活
 カナダのTony Pavick氏によると、オンライン上の英語版「VOA editorials」が2025年5月12日より復活した。同時にペルシャ語、中国語版も復活している。https://editorials.voa.gov/。(WORIG 5/20) 「Reflecting the Views of the U.S. Government」ですので、現在のトランプ政権の意見が反映されています。右翼系メディアOANの制作かどうかは不明とのことです。




◎深圳人民広播電台が中波1287kHzの使用を中止へ
 中国広東省の深圳人民広播電台を管理する深圳広播電影電視集団は2025年5月20日に将来計画を発表し、テレビチャンネル2つと、1287kHzの中波放送を廃止することを明らかにした。正し具体的な廃止時期については言及していない。深圳人民広播電台は現在900kHz(50kW)と1287kHz(25kW)の中波放送を行っており、900kHzは新聞広播(24時間//FM89.8MHz)、1287kHzは生活広播(07:25-03:00 //FM94.2MHz)を送信中である。(Cahcn的自留地 5/21) 1287kHzは1999年5月10日に第三放送交通ラジオ用に開設された周波数で、2007年6月18日以降は生活広播に使用されていました。



◎東京新聞がRFAの危機を報道
 2025年5月23日の東京新聞は「人々の代弁者ー危機」というタイトルで、米国政府による資金提供停止で危機に陥っているRadio Free Asiaの状況を伝えた。その中で一時帰休中で現在他の職探しを行っている英語ニュース担当のジャーナリスト マルコム・フォスター氏(59)と、オーストラリアのRFA支局を解雇されパートタイム労働で家族を養っているカンボジア出身のジャーナリスト タ・タイ氏(32)とのインタービュー記事を掲載した。フォスター氏は「報道の自由がない国の人々に代わり、人権や政治、環境の問題を伝えてきたRFAがなくなれば、地元の人々にも世界にも問題が知られなくなる」、「政府の資金を得てきたが、米国のプロパガンダが目的ではない。報道の自由の価値を示し、民主主義を広げるためやってきた」、2017年にカンボジア政府の弾圧を逃れてオーストラリアに難民としてやってきたタ氏は「RFAがなくなれば、残るのは政府のプロパガンダメディアだけ。市民に真実が隠され、社会状況はもっと悪くなる」、「無給でも、報道の仕事をあきらめたくない」と語った。RFAの活動の縮小はアジアで闇を広げかねないと警告している。元記事はhttps://www.tokyo-np.co.jp/article/406631を参照のこと。(赤林)

◎Radio Tiranaがwebサイトを更新
 ドイツのBernd Seiser氏によると、アルバニアのRadio Tiranaは2025年4月4日よりwebサイトを更新した。英語はhttps://rtsh.al/rti/en、ドイツ語はhttps://rtsh.al/rti/deでアクセスできる。(WWDXC TP 1618) 現在国際放送は行われておらずwebサイトのみです。他にフランス語、イタリア語、ギリシア語、トルコ語、セルビア語でアクセス可能です。



◎Bay Islands Radio
 米国のRon Howard氏は、オーストラリアのRussell島から放送しているBay Islands Radioが5045kHzで放送しているのをBrisbaneにあるリモートSDRで2025年5月18日の15:00頃受信確認した。ほとんどが音楽番組で時々IDと地元の税務当局のCMが入った。Brisbaneの南東約40kmのMoreto湾に浮かぶ島で、対岸のQueensland州Redland市の一部である。(WWDXC TP 1618) 2019年よりShannon Shuttleworth氏が私的に運営している「低電力局」(LPON:Low-power Open-narrowcasting)局で、出力は100W。URLはhttps://bayislandsradio.com.au/、E-mailは<islandradio88 @ gmail.com>ですが。「QSLは発行していない」という返事が来るとのことです。



◎UVB-76は「心理戦」の手段?

 米国のKim Elliott氏によると、従来軍事通信手段と考えられてきた4625kHzのロシアの「ブザー局」UVB-76について、本家本元のRravda.Ruは、「実は心理戦の手段として使われている」との主張を自らとなえている。https://english.pravda.ru/news/society/162376-doomsday-radio-station/を参照のこと。(WORIG 5/27)

◎アルゼンチン南極局の現状
 このところ音沙汰のないアルゼンチン南極局Radio Nacional LRA36について、米国のGlenn Hauser氏がRAEのAdrián氏に問い合わせたとこと以下のような回答であった。現在15476kHzUSBn送信機Collins HF80は故障して現地では修理できないため、アルゼンチン本国Pachecoにある修理所にて修理中である。ここでは陸軍から同様な送信機を入手したため、その部品を転用できないか調査したところいくつかは利用可能なことが判明して修理がおこなわれている。Pechecoから南極までの航路は悪天候が続いているため修理が完了しても2025年10月以降にしか送り返すことができない。その間のPachecoから試験送信を行う可能性はある。またLRA36の放送は現在も24時間行われており、インターネットストリーミングで聞くことができる。FacebookやInstagramも応援メッセージを沢山送ってほしい。(WORIG 5/27)

◎BBC-WSポーランド語がAI採用で復活に
 ウクライナのAlexander Miatlikov氏によると、BBC World Service上でのポーランド語放送は20年前に廃止されたが、このほどAIによる翻訳技術の採用で「BBC News Polska」として復活することになった。BBCは「世界各地が偽情報の嵐と、メディアの自由、民主主義、地域の安全に対する増え続ける攻撃に直面しており、世界中のより多くの視聴者に信頼できるコンテンツを効率的に提供するための大きな一歩だ」としている。今回は試験的運用であり、2025年6月24日より、http://bbc.com/polska、Facebook、Instagram上で提供を開始する。ポーランドでのBBC World Serviceへの信頼度は高く、現在でも英語放送を中心に約510万人(成人人口の約1/5)の聴取者がいる。2017年にBBC News Serbianが開始されて以来の復活である。原記事はhttps://www.bbc.co.uk/mediacentre/2025/bbc-world-service-to-launch-new-offer-in-polishを参照のこと。(WORIG 5/27)

◎ArmstrongのFM放送元の周波数で ~メモリアル放送局
 米国のGlenn Hauser氏によると、New Jersy州のAlpineはFM放送の発明者Edwin Armstrong(1890-1954)が世界初のFM放送局W2XMN(42.8MHz、1949年7月にFMバンドが88-108MHzに変更されるまでこの周波数で放送)を1938年に開局・送信した有名で、放送用に使用されたAlpine Towerも残っている。今般同地の有志によりメモリアル放送局WA2XMNが設立され、当初の周波数42.8MHz(出力250W)で現地時間2025年6月19日の12:00より記念送信を実施することになった。周囲100マイルで受信が期待される。詳細はhttps://www.radioworld.com/news-and-business/armstrong-broadcast-returns-to-new-jersey-in-juneを参照のこと。(WORIG 5/26)

◎Radio SE-TA2がDRMで教育実験放送
 スペインのManuel Mendez氏によると、ドイツのRadio SE-TA2は2025年5月26日の21:30-23:00にDRMにより教育実験放送を6195kHzで行った。内容は15分づつの英語、フランス語、ドイツ語のレッスンの繰り返しであった。また音声はAIによるものであった。番組表示は「EduRadio」とされていた。送信所はWooffertonと見られる。(WORIG 5/26)

◎パプアニューギニアで全国向短波放送復活計画
 英国のMike Cooper氏がRadio New Zelanadの報道ちして伝えたところによると、パプアニューギニアのNational Broadcasting Coeporation(NBC)は、2030年までに全国を100%カバーする短波放送を復活させる予定である。FM放送や中波放送だけでは広い国土を100%カバーできずラジオ放送¥にアクセスできない地域が残ってしまうからである。また緊急時の役にも立ちコストも削減できるとしている。詳細はhttps://www.rnz.co.nz/news/pacific/561997/png-s-national-broadcaster-moves-to-reintroduce-shortwave-radio-for-nationwide-coverage-by-2030を参照のこと。(WORIG 5/25) 以前から分っていた事ですが。

◎VOA閉鎖でアフリカのパートナー局とリスナーに打撃
 英国のMike Cooper氏がBBC Monitoringの報道として伝えたところによると、アフリカ向に14言語で放送していたVOAの閉鎖は、同地域のパートナー局とリスナーに大きな打撃を与えている。アフリカでは多くのパートナー局がVOAから中継料を支給されてVOAのコンテンツを放送していたため局の財政的なピンチに陥っている。またリスナーに対する影響も大きく、あるメディア活動家は「VOAの閉鎖は独裁者・専制君主への報酬に等しい」と語った。メディアの自由はアフリカの多くの地域ですでに衰退傾向にあるが、VOA閉鎖の間隙を突いてロシアと中国のメディアが拡大のチャンスを狙っている。(WORIG 5/30)

◎Encompass社がBBC-WSの配信をIPベースに変革
 米国のGlenn Hauser氏がAIB Global Media Briefingの報道として伝えたところによると、英国のEncompass Digital MediaはBBC World Serviceの配信を従来の衛星からIPベースに変革する取り組みを進めている。衛星配信に比べて柔軟性、拡張性、費用対効果が大きいことがその理由で2025年3月には欧州全域でこれを達成した。今後米州、大平洋、アフリカ、アジアの順に同じ取り組みを行う。(WORIG 5/30)

◎The Mighty KBCのスケジュール変更
 英国のAlan Roe氏によると、オランダのThe Mighty KBCは以下の様にWRMIからの放送スケジュールを変更する。送信所はOkeechobee。
 火・水曜 08:00-09:00 5950 (5月末より)
    日曜 11:00-12:00 7570 (5月末より)
 土曜 18:00-19:00 7780 (6/14より)
 以下の放送は従来通りである。
 日曜 09:00-11:00 5950 21:00-22:00 15770
(WORIG 5/30)

◎RNZ Paficic太平洋向放送の周波数を変更
 イタリアのG.A.Marabello氏によれば、Radio New Zealand Pacificはは昼間の太平洋向放送のスケジュールを2025年5月23日より変更した。新スケジュールは以下の通り。
 09:00-14:58 17675
   全体のスケジュールはhttps://www.rnz.co.nz/international/listenに掲載されている。(WORIG 5/30)

◎Radio Veronica
 オランダのRadio VeronicaはHFCCに06:00-03:30で5955kHz(1kW)で登録されている。イタリアのGianni Serra氏は11:00過ぎに受信できた。
(WWDXC TP 1619) FMでは24H放送でオランダ各地から出ています。受信報告は<qsl @ radioveronica.nl>へ。短波の出力は実際には200Wとされています。




出典略称
   WORIG : World of Radio io group
   WWDXC TP:World Wide DX Club Topnews  
   HCDX: Hard-Core-DX  
   JSWC: Japan Shortwave Club  


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