Vol.1 ホテルスタッフ紹介 編
*フロントマン
チェックインからチェックアウトまでゲストのご希望に答える為に、24時間体制。
特にチャックアウト時の対応の速さには目を見張るものがある。
*ベルボーイ
一度でも会話をしたゲストならば、車のナンバーでお名前を覚えてしまう記憶力はどうしてだろう?
*パーキングスタッフ
駐車場の潤滑な運営の為に、豪雨にも雷にも怯えず、活躍。
*ベッドメーク
気持ち良くゲストをお迎えする為に、清掃を短時間でこなしている。
*バンケットスタッフ 2000人分の宴会場のレイアウトを30分で作り変えてしまう、片付け上手。
新入社員の女の子は披露宴担当の時に必ずもらい泣きをする。
*バーテンダー
カウンターのカップルが別れ話をしていても、決して視線を向けない思いやり。
一人のゲストには、お酒を飲まずに飲み相手(?)もこなす。
*ナイトマネージャー
夜間のホテル運営の全権を与えられている。
ゲストのクレーム処理から、ホテル内のパトロール。
地震が起きたら? と、考えたりしてほとんど仮眠もできない。
そう、ホテルはゲストの生命、財産を確保するのが使命。
*そして、我々Chef!
これはもう言うまでもなく、こちらの都合より、ゲストに満足して頂くように、日々の修行の積み重ね。
フランス語、英語は業務上必修科目。
でも、料理は職場でしか作らない。
理由は簡単! 家庭で作ってもお小遣いはくれないから・・・
Vol.2 厨房で起きた事件簿 編
*Part 1 何年か前のある夜の出来事です・・・
レストランのコックM君は、ガスオーブンの前でデイナータイムを忙しく働いていました。
コース料理のメインデイッシュを作り終え、その料理がゲストのテーブルに置かれた頃、
「ボン!」と、大きな音がしました。
その音はゲストのフロア−はもちろんの事、かなり離れた宴会場まで響き渡りました。 M
君も周囲のスタッフも、いったい何が起きたのかしばらくの間さっぱり判りませんでした。
数秒後に大勢の従業員が集まって来て、その何十もの瞳に映ったのは、両手を火傷したM君でした。
僕はスクーバ・ダイビングのコースのカリキュラムで、救急処置の資格を取得していましたので、すぐに処置をしましたが、
原因を調べていたスタッフが見つけたものは、粉々になった殺虫剤のガスボンベでした。
何かの拍子にガスボンベがオーブンと床の隙間に入り込んで、徐々に高温になり爆発したのでした。
ゴミ収集車が、ガスボンベが原因で小さな爆発を起こしたニュースを聞いた事があると思いますが、
まさに同じ現象が起きたのです。
皆さんも家庭のガスボンベをゴミの収集日に出す時は、必ず残ったガスを出しきってからにしてくださいね。
友人のお父さんが、ある市役所勤務で収集車の作業をなさっているのですが、ニュースになるのはほんの少しで、実際は多く発生してるそうです。
ちなみにM君の火傷の跡は、応急処置が良かった!・・・ ので、今は完治してます。
*Part 2 M君の事件よりさらに数年さかのぼった冬の早朝の出来事です・・・
ホテルに宿泊されてるゲストの方々の朝食の調理を担当していたS君が、午前4時に出勤してすぐの事です。
今でこそ、ガスオーブンの点火は家庭のコンロのように、オートマチックになっていますが、当時のガスオーブンは手作業でした。
先輩達が出社する前に、ガスオーブンの火を着けるのが新人のS君の仕事でしたから、なかなか点火できずにイライラしていました。 しばらくして「ボン!」と、小さな音がしました。
どうやら、種火の為のガスが少し多めに出てから、着火したようでした。
その後、出勤してきた先輩はS君を見るなり、笑い転げてしまいました。
S君の眉毛とまつ毛、それにコック帽子から出ていたはずのモミアゲがまったく無くなっていたからです。
それから何ヶ月かの間、S君は目が悪くもないのに、妙に縁の太いメガネをかけていました。
*Part 3 シェフの友人が勤めている、他のホテルでの出来事です・・・
宴会場で100人ほどのランチを作り終わって、厨房のスタッフも昼食の為に社員食堂へ向かいました。
食事を済ませてしばらくした頃、そのホテルの警備員から食堂に電話がありました。
厨房のスプリンクラ−が作動したとの連絡でした。
まるで運動会の短距離競争の如く、全力疾走で厨房に戻ったスタッフが見た物は、水浸しの厨房でした。
原因は、揚げ鍋の火を完全に消さずに現場を離れてしまったそうです。
*Part 4 番外編 トックブランシュ
テレビの料理番組で、とても高いコック帽子をかぶったシェフ達を、皆さんは見た事がありますか?
あの、高い帽子をトックブランシュと言いますが、実はとても非実用的なのです。
ガス台の事を我々はストーブと言いますが、ストーブの上には大きなダクト(換気扇)があります。
その周囲には家庭のレンジフードと同じような、ダクトフードが設置されているのですが、
高い帽子だとフードに当たってしまい、とても仕事にならないんです。
それにかなり重いので、一日中かぶっていると、肩がとても凝るんです。
だから、あまりにも高いコック帽子をかぶっている人は、あまり現場で仕事をしてないと思っていただいて間違いないですよ。
あっ、ちょっと書き過ぎちゃいましたが、僕の上司がこれを読まない事を祈って、終わりにしますね。
シェフの独り言・・・ 新人のコックさん達、暑くても袖を伸ばして長袖で調理しましょう。
火傷防止の為の長袖なんだからね。 皆さんも、殺虫剤や使い捨てライターは、ガスを抜いてから捨てましょう!
火傷をした時は、氷で急激に冷やさずに、殺菌の意味もあるので必ず水道の流水で冷やしましょう。
これも新人のコックさんへ。 どんな時でもコック帽子はかぶりましょう。 衛生面だけでなく、身を守る為にもね。
S君が帽子をかぶってなかったら、どうなってたんだろう?
ご家庭で、天麩羅を作った時は火を消したかどうか、確認しましょう。
一般家庭の火災原因に、天麩羅油は毎年上位に入っています。
最後にシェフの勤めるホテルは、防火対策は完璧ですので、ご安心を・・・
Vol.3有名人 編
初めに・・・
我々ホテルマンはゲストの皆さんの生命と財産をお守りする事と同時に、
プライバシーを尊重する事も大きな使命なのです。
このような理由でVol.3 有名人編は、フィクションもかなりある事をご承知おき下さい。
*Part 1 スポーツ選手
ホテルにはいろいろなスポーツ選手のゲストがいらっしゃいます。
プロ野球、Jリーグ、大相撲、バスケット等のプロ選手から、高校、大学のアマチュア選手・・・
この各界の選手の方々の食生活を少しだけご紹介します。
初めに、プロ野球の選手は肉類を好まれる方が多いのですが、球団側の管理下の元で栄養面に注意をなさっていると言うよりも、 各選手の方々が個人で配慮されているようにお見受けします。
もちろん、社会人としての生活が長いからか、お酒も好きな方が多いようです。
食事の量としては、特に多いようには感じません。
アマ野球の選手は倍量は召し上がる感じです。
Jリーグの選手はというと、チームトレーナーの栄養面の配慮がメニューの細部にも及んでいます。
朝食、ブランチ、ランチ、アフタヌーン、デイナー、夜食と、1日6食のメニューが用意されます。
無脂肪乳、バナナ、ヨーグルト、チョコレートケーキ、パスタ、おにぎり、肉料理、野菜料理と、栄養学に基づいたメニュー構成で、
少量づつ食べるよう工夫されています。
特に試合前日、当日は管理が行き届いていると思います。
ただし、選手の皆さんは好き嫌いもあるようですが。
大相撲の方々は、地方巡業中のせいなのか、あの「ちゃんこ鍋」を食べ続けるイメージとはかけ離れています。
ただ、身の回りのお世話をなさる部屋の後輩の方々が、食事中も関取の傍で待機していらしてホテルのサービス員のようです。
子弟関係が予想通り根強いと、いった感じです。
バスケット選手は、その運動量が背景にあるのでしょうが、女子選手の食事の量は唖然といった感じです。
高校、大学のスポーツ選手、これは成人の倍量の食事量です。
シェフがスポーツ選手の食事内容を分析すると、やはり運動配分に合わせた食事を採っていると思います。
持久力を必要としているのか? それとも瞬発力なのか? それによってカロリー摂取量も、おのずと違ってきますから・・・
*Part 2 芸能人
プライベートでいらっしゃる方、コンサートでいらっしゃる方、ロケでいらっしゃる方。
テレビで拝見する芸能人の方のご利用もよくあります。
プロダクションや、マネージャーの方が別のお名前でご予約される場合が多いです。
これは、「追っかけ」等のファンの方々との混乱を避ける為になさっているのですが、
ホテルスタッフにはどんな方ががいらっしゃるか、 すぐに判るのですがトップシークレットが常識です。
友人、家族にも他言はしません。
ただ、コンサートの終了時間と、翌日のコンサート地からファンの方が「宿泊してるだろう」と予想して、
ホテルのフロント周辺で待ち伏せされる事が度々あります。
そのような状況時は、従業員用の出入り口を使ったりします。
まるで子供時代の、かくれんぼや追いかけっこを彷彿します。
ホテルではデイナーショーも行われ、従業員用の廊下ですれ違う事もありますが、
「おはようございます!」と、明るく声を掛けられたりします。
テレビの芸能番組で取り上げられている素顔と違ったイメージで接すると、嬉しい感じがします。
*Part 3 VIP
あえてVIPと表現しますが、警察関係の厳戒な警備下の元にお見えになられるVIPのゲストの場合は、
何度も予行演習を行います。 ホテル周辺の駐車場の車両チェックも行います。
幌付きのトラックがホテルに後ろを向けて駐車してると、所有者、盗難届の有無など所轄署に問い合わせたり、
ホテルの敷地内のマンホールには封印テープが張られて、厳重なパトロールが続きます。
我々ホテルスタッフも、警備の方に解るようにIDカードを身につけます。
秒単位で移動の時間も計ります。 VIPの方を先導する係の歩幅、速さも制限されます。
エレベーターも、目的階までノンストップにします。
それに併せて要所要所で、神経を尖らせている多くのSPがいらっしゃるのです。
海外で度々起こるような事件は、あってはならない事ですから。
もちろん、我々シェフが作る料理も普段にも増して吟味されます。
何ヶ月も前から極秘の中で打ち合わせを重ねて、滞りなくチェックアウトされた日にはスタッフ一同安堵感と共に、
どっと疲れが噴出するものです。
Vol.4 皆さんだけに内緒で・・・
客室にある冷蔵庫、ご存知ですか?
チェックアウト時にお客様が自己申告で、ご利用した分を清算するシステムです。
実際は、ご利用の1割は申告されず回収できません。
チェックイン時にお名前、ご連絡先などを記入していただいていますが、
ホテルはお客様の秘密厳守の姿勢がありますし、冷蔵庫の取りもれも予想しての料金設定なのです。
従って後日、追加の請求書が送付される事は、ほとんどないのです。
Vol.5 ホテル用語集(フロント・ホテル全般)
1 アコモデーション(ACCOMMODATION)
ホテル施設の総称。
フロントで使う場合は客室を意味する。
2 アジョイニングルーム(ADJOINING
ROOM)
2室または3室続きの部屋(内側のドアで行き来が出来るのは、No12のコネクテイングルーム参照)
3 エージェント(AGENT)
正式にはトラベルエージェント。
宿泊、交通機関の手配等、旅行業務を代行する旅行代理店のこと。
4 アシスタントマネージャー (ASSISTANT
MANAGER)
総支配人を補佐するホテルマン。
業務内容は多岐にわたり
5 バゲージ コレクション (BAGGAGE
COLLECTION)
団体客のチェックアウトに際して、荷物を一括して送り出すために前もって集めること。
6 ベルマン (BELLMAN)
到着したゲストの荷物を持って、フロント、客室に案内したり、
逆にチェックアウトするゲストの荷物を玄関まで運んだりする。
ベルマンを監督指揮するのがベルキャプテン(BELLCAPTAIN)といい、
フロント近くにベルキャプテンデスクを設けている。
別称、ベルポップ、ベルマン。
7 バイ ハンド (BY HAND)
DELIVERY BY HANDの略。
宿泊客宛の小荷物一時預かり。
逆はNo
8 チェックイン (CHECK IN)
ゲストがホテルに到着し、宿泊手続きを終了して客室を占有する事。
チェックインタイムは客室の準備さえ完了していれば多少早目の到着でも差し支えない。
9 チェックアウト CHECK OUT)
ゲストが客室を明け渡し、支払を済ませてホテルを出発する事。
チェックアウトタイムは宿泊料金での占有限界時間をいい、
ホテルによっては、延長料金を徴収して時間の延長ができることもある。
10 コンプレイン (COMPLAINT)
ゲストからの苦情。
11 コンプリメンタリー (COMPLIMENTARY)
俗にコンプといい、諸事情によりホテルの招待や接待にして無料にすること。
12 コネクテイング ルーム (CONNECTING
ROOM)
本来は別々のゲストに販売する客室だが、内部のドアの施錠を外して大きな一部屋として使える客室。
13 デイ ユース (DAY USE)
宿泊しないで時間で客室を販売すること。
結婚式への参列で着替え室や、会議、食事で利用される。
14 デポジット(DEPOSIT)
保証金、前金の意味で、チェックイン時にゲストから預かる。
15 ドアマン (DOOR MAN)
ホテル玄関前に立っていて、車でいらっしゃるゲストの車のドアをあけてお迎えする係。
16 エクスチェンジ (EXCHANGE)
フロント横にある、外貨を日本円に両替する係。
17 エキストラ ベッド (EXTRA
BED)
客室に増設する、補助ベッド。
18 フォーキャスト (FORECAST)
客室販売予想。
客室を無駄なく販売し最高稼働率にするために日々刻々と変わる資料。
19 ゲストロケーション (GUEST
LOCATION)
宿泊客から外客への伝言(帰館時刻、所在等)。
電話交換台、フロントにて取り扱う。
20 ハウスキーパー (HOUSEKEEPER)
客室係の総称。
21 ハウスホーン (HOUSE PHONE)
館内電話で通常ロビーの一角に設置されている。
22 ハウスユース (HOUSE USE)
ホテルスタッフが業務上客室を利用する事。
23 ランドリーバック (LAUNDRY
BAG)
宿泊客が洗濯を依頼するビニール又は紙製の袋。
24 ランドリーサービス (LAUNDRY
SERVICE)
宿泊客の衣類を対象とした洗濯サービス。(有料)
25 メイド (MAID)
ROOM MAID・CHAMBER−MAIDの略で、客室の清掃ベットの片付けの係。
26 ノー ショウ (NO SHOW)
予約客が連絡なしで不着客となり、予約が自然破棄になること。
27 オーバーブッキング (OVERBOOKING)
意図的に宿泊可能数以上の予約を受けること。
ノーショウ(26)やキャンセルによる客室稼働率の低下を防ぐために行う。
28 ページング (PAGING)
館内呼び出し放送。
ホテルの静かな雰囲気を損なうのでレストラン等、場所によっては
客名入りの看板(ページングポスト)を持ち一巡して呼び出す場合もある。
29 パスキー (PASS KEY)
マスターキーの一種で、限定された階層や区域のみに使用可能なキー。
30 サービス エレベーター (SERVICE
ELEVATOR)
従業員ようのエレベーター。
31 サービス ステーション (SERVICE
STATION)
客室かかりの控室。
各階のサービス エレベーターの近くに設けてある。
32 スキッパー (SKIPPER)
無銭飲食客(宿泊も含む)。
33 ウオーク イン (WALK IN)
WALK−IN GUEST の略で予約なしで直接来館して宿泊するお客様。
フリー客とも呼ばれ、宿泊及び食事料金を見込んだ前金を請求する。
34 ウオッシュクロス (WASH CLOTH)
浴室に備え付けのタオルの中で一番小さな四角いタオル。
体を洗うための物。
35 ウイル コール フォー (WILL
CALL
FOR)
宿泊客から来訪者宛ての小荷物一時預かり。
フロントインフォメーションにて扱う。
Vol.6 ホテル用語集(料理・レストラン編)
1 アラカアルト (A LACARTE)
フランス語の一品料理。
2 アメリカンブレックファースト(AMERICAN BREAKFAST)
品数の多い朝食で、パン、コーヒー、ジュース、シリアル、卵料理、ハム、ソーセージ等が含まれる。
(パン、ドリンクのみの簡単な食事はNO 9 のコンチネンタルブレックファースト参照)
3 アペリテイフ (APERITIF)
食前酒のこと。
4 ビュッヘ (BUFFET)
立食形式の食事でバッフェ、バフェット、ブッフェとも発音される。
着席の正餐と比べ、大勢の出席者と懇談できる利点がある。
5 バスボーイ (BUSBOY)
レストランで食後の汚れ皿を下げるサービス員の見習い。
6 シェフズ サジェスション (CHEF’S SUGGESTION)
料理長のおすすめメニュー。
TODAY’S SPECIALとも言う、毎日または週替りの特別メニュー。
7 チッツ (CHITS)
正しくは単数がCHIT、複数がCHITSであるが通常はチッツと総称している。
レストラン、バーでお客様のサインを必要とする伝票の事。
広くBILLとも言うが、BILLは必ずしもサインを必要としない。
8 チップ (CHIP)
グラス、料理皿が欠けてる事。
9 コンチネンタルブレックファースト (CONTINENTAL BREAKFAST)
No2のアメリカンブレックファーストの反対で、パン、ドリンクだけの簡単な内容の朝食。
イギリスを除く、ヨーロッパ大陸(コンチネンタル)で生まれた料理。
10 クローク ルーム (CLOAK ROOM)
携帯品の一時預かり所、通称クローク。
レストラン入口や、フロント、宴会場に設けてある。
11 ハウスワイン (HOUSE WINE)
レストランデワインの選択に迷われているゲストにお勧めする、自社ブランドのワイン。
12 メインダイニングルーム (MAIN DINING ROOM)
ホテル内で最も格調高いレストラン。
13 ミールクーポン(MEAL COUPON)
一泊二食等、食事付きのゲストに発行される、レストラン利用券。
数カ所対応の場合はゲストがお好みのレストランを利用できる。
14 サービス料 (SERVICE CHARGE)
宿泊、飲食に対し一定の割合でゲストから頂く料金。
欧米のチップの概念を一律化したもので、日本のホテル、旅館の慣習となっている。
15 チップ (TIP)
心付け、係員のサービスに対してゲストから頂くお金。
欧米では日常の習慣になっているが、
日本のホテルではチップを廃止してサービス料として勘定書に表示される。
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