あにばぁさりぃ

××下宿屋木村番外編　あにばぁさりぃ××

こんばんは。お元気でしたか？ボニです。

こんやは、ボニはとってもうれしいです。なぜかというと、ぱぱもそしてなかいくんも、いつもよりも早く、おうちに帰ってきてくれたからです。

おうちに帰ってきたのは、ぱぱの方が早かったです。

だいじそうにお酒のびんと、そしてごはんのざいりょうを持って帰ってきました。

ボニがいつもみたいにぱぱと遊ぼうと思って、ぱぱのところに行くと、ぱぱは

「ごめんな、ボニ。今日はちょっといそがしいから、またあとでな」

って言いました。････つまんないの。ボニは仕方ないから、大きなＴＶのあるお部屋でひとりでなかいくんの帰ってくるのを待っていることにしました。

ぱぱはとってもはりきってるみたいです。おようふくを着がえると、さっそくお料理の下ごしらえをはじめました。えっと、みなさんも知っているのかなぁ？ぱぱって、とってもお料理が上手なんです。「びすとろきんぐ」っていうのにも、何度もなったことがあるそうです。なかいくんもよく、ぱぱの作ったお料理を「おいしい、おいしい」って、たくさん食べます。ぱぱは、そんななかいくんを見て、とってもしあわせそうな顔をします。んっとね、お料理を作っていちばんうれしいのは、おいしそうに食べてもらえることなんだって。

そんな風にぱぱがしんけんにお料理をはじめて三十分くらいしてから、なかいくんもおしごとから帰ってきました。お台所で、色々やっているぱぱの方を見て、

「何やってんの？」

ってきくと、ぱぱは

「おかえり」

って言ってから、

「そっちのテーブル片付けといて」

って言いました。

「なんか手伝おうか」

なかいくんもお料理をします。ときどきお台所でぱぱにいろいろ教えてもらったり、ぱぱをお台所からおいだして、ひとりでいろいろ作ってみたりってことをするようになりました。なかいくんのお料理もおいしいんだと思います。ぱぱはとってもおいしそうに食べています。

だけど、今日は

「あともうちょっとで出来るからいいよ」

って、ぱぱは言いました。

　

ＴＶのあるお部屋のテーブルにたくさんのお料理がならびました。えっと、お酒のおつまみ、っていうお料理だそうです。そして、ぱぱは冷やしておいたお酒のピンを持ってきてふたを開けました。

「しっぱいしなかったじゃん」

なかいくんが言うと、

「しっぱいって、いったいいつの話だよ」

って、ぱぱは苦笑いをしました。

ほそながいグラスにそそぐと、小さなあわがキラキラして、うすいバラのお花の色のお酒はとってもきれいでした。シャンパンって言うお酒だそうです。

なかいくんは実はシャンパンはあまり好きじゃないそうですが、でも

「きょうはとくべつだしなぁ」

って、うれしそうに、とってもきれいに笑いました。

時計のはりがてっぺんでひとつになったとき、ぱぱとなかいくんはグラスをかちんと合わせました。

「いままでいろいろありがとう」

「これからもよろしく」

そういってから、もういちど二人はにっこりと笑いました。

「なぁ、さっき電話あったけど、明日仕事がすんだら、集まろうって。慎吾から。････時間とか、大丈夫？」

ぱぱが言いました。

「集まんねぇわけにはいかねぇだろ？」

そういうなかいくんの顔は、とってもうれしそうに見えました。

　

あとから、ぱぱはグラスに残ったシャンパンを手のひらにのせて、ボニにもごしょうばんさせてくれました。ボニは、シャンパンはあまり好きじゃないっていうなかいくんの意見にさんせいです。